5話 これ、ハッピーエンドか?
ティッシュを手繰り寄せる。
(……やばい、情緒が死ぬ)
贄にされた者は、神の聖域内で、寿命を迎えるまで生きることができる。
ここには飢えも、災害もない。
彼らはここを、楽園と呼んだ。
しかし仲間が、自然とその時を悟る。
『最期に、思いっきりイきたいんだ』
「いや、何言ってんの??」
主人公、リアクションに困るだろ。
「えぇ……、もっと切なく書いたような気がしたんだけど」
別れの時。
寂しがる主人公に、まだ見ぬ快感へ思いを馳せる仲間の発言。
言葉遊びが成立し、過去の私、だいぶ調子に乗ったらしい。
でも、この言葉の意図は――
(笑って見送ってほしい、なんだよね)
残された者への気遣いなら、もう少し別の言い方の方がよかったかも。
少し、笑いをとりにいきすぎた?
(……とりあえず、進もう)
えっちな回と、シリアス回の温度差が激しくなっていく。
それは、仕方ない。
問題は――
(これ、よくやっちゃうんだよね)
シリアスな展開に耐えきれなくて、つい笑いに走る。
一年経ったからこそ、分かる。
余韻が、ぼやけている。
(……気をつけよう)
またひとつ、新しい発見をした。
でも、自信もひとつ、減った。
◇
この話は言葉遊びで始まり、言葉遊びに終わる。
「僕のこと、シアワセにしてくれる?」
神様が尋ねる。
「シアワセにしてください」
男贄が、頭を下げる。
この儀式は、神様とシアワセになるために行う。
でもシアワセの内容は、誰も知らない。
「気持ちよくして、ってニュアンスに聞こえるよね」
そんな認識の中、話が進み――シアワセの正体は、「死合わせ」であると知る。
常世では、想い合う二人が死ぬ瞬間を合わせると、来世で幸せになるという言い伝えがある。
つまり神は、「一緒に死ぬ相手」を探していた。
――愛(あい)、死合う相手を。
その方法が――
“イク”と“逝く”に繋がっていく。
過去の因果や諸々あり、最終的にはハッピーエンドになる。
「ダークファンタジーになるのかな、これ」
いや、ミステリー?
それとも、ホラー?
私の脳は単純なので、ボーイズがラブする話は、すべてBLにカテゴライズしてしまう。
あまり、内容の分類については考えてこなかった。
「うーん、分からん!」
まあ、それは一度置いておいて。
正直、発想自体は悪くないと思う。
言葉遊びで成り立つ世界観。話が進むにつれ、言葉の真意を知る。
……悪くは、ない。
でも。
「全年齢では無理だわ」
いや、分かってたけどさ。
これ、儀式に向けて身体づくりする話だしね?
なんならタイトルからして、全年齢の顔してない。
結局そこに戻ってきて、私はそっとスマホを閉じ――ようとした。
「ハッピーエンドか?これ」
死ネタなのに?
つい、天井を見上げ、問いかける。
そもそも私は、死ネタが苦手。
これ、死んでるよね?
(あれ、この感覚……)
「似てる」
溺愛タグに安心して読み始めたら、
嫌われスタートだった時と――。
意外と深いんです、えっちなのに。




