6話 監禁って、怖いの?
美絢は、ヤンデレが主食だ。
特に、鈍感な受けが攻めの気持ちに気づかず、刺激するタイプ。
プライドが高くて、肝心な時に言葉が足りない。
でも、受けへの愛は誰にも負けない。
私はそんな攻めを、嫉妬モンスターと呼んでいる。
「あーまた監禁しちゃった」
コンテストを意識する前。筆が絶好調だった頃。
私はギャグ中心の、ライトヤンデレを書いたことがある。
もちろん、R18。
――幼馴染設定。
同じマンションに住み、付き合っている設定。
詳細は省くが、
受けがあることを詫びるため、攻めのライバルを呼び出した。
「俺から誘ったのに、ごめん」
そして、押し付けるように――大人のオモチャを渡した。
しかし、実際来たのは代理で来た攻めだった。
「……何のお詫び?」
受けの中にはちゃんと、そこに至るまでの経緯がある。
しかし攻めからすると、突然――
愛する恋人とライバルが、そういうオモチャを渡す関係なことを知る。
つもりに積もった嫉妬に、この決定打。
我慢できず攻めは、受けを監禁した。
「――快楽堕ちさせる」そう言い放つ。
ちなみにこの攻め、自分達の恋愛の参考にBL漫画を愛読している。
結果、ちょっとテンションが上がるシロップを飲ませ、愛と気持ちを押し付けた。
――という、話。
(そりゃ、監禁しちゃうよね)
作者は、受けと攻め、両方の内面を知っている。
攻めの理性が決壊した理由も、その愚行に走った理由も分かる。
そして美絢は、この『愛の暴走』を、愛情表現の一環と捉えていた。
――あの時までは。
◇
たまたま、あるnoteに辿り着いた。
以前プレイしていたゲームのストーリーの経緯が、不意に気になったのだ。
端的な状況説明と軽快な語り口。
当時を思い出しながら、淡々と読み進めていく。
「あったね、これ」
詳細は省くが、あるキャラがあるキャラを監禁した。
と言っても、ある一定時間、部屋に閉じ込めた程度。
ヤンデレ作者からすると、こんなの足止めレベル。
(笑)
くらいの気持ちで、流し読みしていた、ら。
『監禁とか怖い。普通にやりすぎ。犯罪』
「えっ」
二度見した。
『監禁 怖い 犯罪』
文字が、浮いて見える。
「ーー“やりすぎ“?」
これは、BL作品ではない。
でも大事なのは、そこじゃない。
「怖い?」
スクロールする手が止まる。
(監禁って、怖いの?)
突然、脳内をマグニチュードが襲う。
もちろん現実に、監禁が犯罪なのは分かる。
でもBLは、ファンタジーだ。(※ 美絢論)
愛が重いほど、行動が過激になる。
受けが自分以外の誰かに心を割く瞬間、攻めも心が裂かれる。
攻めの防衛反応のひとつ。
監禁は、第三者に脅かされることのないーー安心できる世界。
少なくとも私の中で、監禁は攻めの愛情表現のひとつだった。
「……待って、もしかして」
冷や汗が流れる。
美絢は、急いでマイページの小説を開いた。
小説につけられた、ハートの意味――
難しいですよね、ヤンデレの定義。




