4話 イくか、逝くか。
【問】成人指定のBLが大好きな人間が、エロとダジャレと生贄を混ぜると、どんな作品ができるでしょう?
【答え】生贄がドエロで、泣ける小説が出来上がる。
◇
「やばい、どうしよう……」
BLコンテストまで、一ヶ月を切っている。
とりあえず、既存の作品で戦えるものはないか。
フォルダのタイトル名を眺めていた。
「……やべぇの見つけちゃったな」
――『閨の男贄』。
執筆活動を始めて、約一年半。
それなりの数を書き上げ、それなりの作品を掲載してきた。
そんな私でさえ、世に出すのを躊躇った作品。
約一年ぶりに、フォルダを開く。
一話目を開いた瞬間、私はそっとスマホを伏せた。
「……エロ同人誌かよ」
ハート喘ぎ。
濁点混じり。
記憶より、だいぶ暴れていた。
たぶん、アナウンサーでも正しく発音できないレベル。
しかもこれ、ただのモロ感でも、えっちなシーンでもない。
――儀式の最中なのである。
◇
はじまりは、スマホの文字変換。
「いく、逝く、行く……」
やっとイケた。
「……せいし、セイシ、生死、精子」
やっと、静止した。
イク、精子?
――ハッ!
「やば、天才じゃね??」
インスピレーションは、突然に。
◇
不幸にも誕生した、この作品。
“イく”か“逝く”か。
――生死をかけた、最低最悪の言葉遊びだった。
男贄たちは生き残るため、狂ったように身体を作り込む。
来る、儀式の日に向けて。
えっちな話に、ならないわけがない。
「……」
この時、何考えてたんだろ。
病んでたのかな。
本命同士以外のえっちが苦手なのに、
「神様は、あくまで審判役だから」という謎の言い訳をして、
ひたすらえっちな話を書いた。
本当に、狂ったように。
「……あ、ここ」
指が、そこで止まる。
――思い出した。
鼻の奥が、ツン、とする。
嘘みたいな話だが、この作品。
――執筆中に泣いた、初めての作品なのである。
いや、泣きました。ガチで。




