表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤い目の少年冒険譚  作者: MAYAKO
第一章 四月世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/135

第62話 片翼の天使     

おはようございます。

投稿です。


「捨てられた王子がいる、という噂は昔からありましたね、まさか本当とは」


「何故ここにいる?」


 一の君が副長を睨む。


「雷神王に頼まれましてね、中の様子を見てこいと。異界ゲートが心配だったのでしょう。異界ゲートは危険です、私も気になりましてね」


「そうではない、そっちじゃない!なぜここに天使がいる?それも片翼だと?」


 腕を組み、悩ましげに鏡を見る副長。

 鏡に映る片翼の天使は虚像か実像か?


 自分を見て改めて自覚する。

 ああ、私は天使だったのだな、と。


「……悪人を救ってこその天使だ、と発言しました……すると結果、上司や仲間からフルボッコにされ、この四月世界に捨てられたのです」


「!……ナリ家の当主に聞いたとおりだな」


「そこで、当時のナリ家の姫に助けられまして、今に至ります」


 天から堕とされた片翼の天使。


 翼は千切られ、手足も変な方向を向いている。

 ボロボロで、ピクリとも動かない。


 その姿は異様であり、誰も怖がって助けなかった。

 雪と氷はあっという間に片翼の天使を覆い、そのまま雪原に消えるはずであった。

 力は翼とともに奪われ、僅かしか残っていない。


 彼は思った。


 私は間違っていたのだろうか?

 このまま朽ち果てるが、我が運命か?それもよし……か……。

 そう思った瞬間、何かが触れた。


 副長は忘れない、あの時の手を。

 とても優しい手が、片翼の天使に触れた。


「こんなところに寝ていたら、風邪引きますよ?」


 この言葉を。


「「姫さまぁ、風邪ではなく、死にますぅ」」


「……そうとも言いますね」


「「……」」


「何か言いたそうですね?」


「「いえ、姫さまの仰せのままに」」


 突然現れたナリ家の3人組。

 姫とお付きの双子の執事。


 周囲は猛吹雪で、声に魔法を乗せないと聞こえない状況である。

 方向も景色も分からず、轟音と真っ白の世界。

 そんな中で彼は、彼女達の言葉に救われたのだ。

 まさか死にゆくことを決めた時、笑うとは思わなかったろう。


(ふははっ、いやいや、このままだったら確実に死んでしまうだろう!この3人、よくここまで来たものだ)


「「姫さまぁ、このままでは私達もピンチが危ないですぅ」」


 姫は、むんずっ、と片翼の天使を掴む。


 ひょい、と軽く持ち上げ、お姫様抱っこの出来上がりである。


「では、まいりましょう」


「「……姫さま、腕が落ちましたが……」」


「腕?失礼な!私の腕力、握力は落ちてません!日々鍛えていますっ!さぁ出発ですよっ!」


「「い、いえ、その、姫さまの腕ではなく、天使さまの腕が取れました」」


「そうですか、拾ってきなさい。えっと、お城はどっちかしら?」


 当時を思いだし、笑いたい気持ちになる副長。

 とんでもない剛毅な姫さまであった。

 全身が死ぬほどいたかったが、一瞬忘れるほどの魅力。


 そして目の前のこの女神グネと一の君の会話は、ナリ家の姫との会話を思わせた。


「一の君、どうします?お話聞かれましたが?」


「……そうだな、女神グネ、口封じに……」


 鏡の中の女神と一の君が、妖しく微笑む。

 すかさず副長が抗議する!


「い、一の君!?物騒なこと言わないで下さいよ!」


「でもなぁ、副長、あのバカ者にどう報告するのだ?ここで聞いたこと、見たことそのまま報告するのか?全部、聞いていただろう?」


「……えっ……と、そ、それはですね……」


 鏡と一の君を交互に見る副長。


「……仰せのままに」


「おい、逃げたなぁ!どうします?女神グネ?雷神王にはまだ子供のことは伏せておきたい。できるなら妃達から言わせたい、反省の思いを込めた言葉を」


「それは無理でしょう?何年前の出来事です?」


「それでもあやつらは、謝らなければいけない!どれだけの者達が苦しんでいるか!」


「では、取敢えず天使よ、こう言いなさい!五月世界の女神が戦士を一人欲しがっている、この世界の戦士、スノーホワイト国の戦士を一人借りていくと」


「雷神王はタダでは貸しませんよ?」


「ああ、孫はああ見えて結構商売人だ、そう、ケチともいう」


 女神グネは鏡の中から、器用に周囲を見回す。


「ふふっ……そうですね、では借りた戦士で我が願い見事叶ったならば、レッド・ブーツ帝国の呪い、解く方法を教えましょう!これで、どうでしょう?」


「「!?」」


 今回はここまでです。

次回投稿は明日の朝を予定しています。

バイトの終り時間次第ですが。

遅くてもお昼までにはと考えています。

あ、サブタイトルは 第63話 各国の四天王 の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ