第56話 魔力制御、どうにか覚える?
おはようございます。
投稿です。
雷帝の虚ろな目で見つめられているドリ。
だが、見返しているドリも虚ろである。
「わははっ!おいおい、二人とも賢者タイムか?」
無作法にも大声をかけるイッカイ。
その大声に、パチン!と意識の焦点が合う雷帝。
「お?なんか掴めたぞ!魔力制御!」
「そうか?よかったなぁ!オレ様に感謝しろよ雷帝殿!」
「ああ、礼を言うぜ!」
「礼を言うのはオレの方さぁ、まさかの古傷が癒えた、足捌きが鋭くなったぜ!」
ギラギラする眼で雷帝を睨むイッカイ。
この意味が即座に分かる雷帝。
「ほう?またオレに挑むつもりかい、イッカイ師匠?拳じゃオレが遙か上だぜ?」
「お前の技は荒い、それもいいが、それだけではダメだ」
「っんだとゴラァ?オレも強くなっているぜ?ほれ!」
(子ネコをイメージだ!魔力は優しく扱う!そして力強く思いを込める!)
左手に闘気を漲らせ、魔力で籠手を作ってみせる雷帝。
「へへっ、できたっ!闘気具!」
ここでドリの意識が戻った。
いや、焦点が合った。
「ん?」
ペタペタと自分の顔を触るドリ。
「え?痛くない?」
口腔内は相変わらず血の味だが、他はいつもと同じだ。
恐る恐る舌先で歯を触ってみる。
「!」
(生えてる!?復活している!え!?永久歯だよ!?)
「大丈夫のようだな」
「あ、ありがとう!雷帝クン!」
「腕、抜くぞ」
ゆっくりと腕を抜き、ドリを大地に横たえる雷帝。
「雷帝クン、一つ質問いいかな?」
「なんだ?オレは忙しい!」
「その、なんで私の名前知っているの?」
「そりゃ……」
(やべぇ、あの時はネコだった!困った、なにも思いつかん!)
「何でだろうね?」
そう言って立ち上がる雷帝。
その目は闘志に燃え、イッカイを睨む。
ドリは横たえた身体を起こし、立ち上がろうとする。
「こ、こっちが聞いているんだけど!…………ひっ!?」
「どしたん?」
「ら、雷帝クン!魔力制御覚えたのなら、籠手よりも垂が先でしょうっ!!つ、通報されるよっ!」
呪符を取り出し、ふっ、と息を吹きかけるドリ。
すると雷帝は薄い衣に包まれる!
「おおっ!?すげーじゃん!ドリ!」
「うふふっ、もっと誉めていいわよ!」
だんだんと調子よくなっていくドリ。
(まぁ、通報しても捕まえること、できるのかしら?)
半透明の衣は雷帝の身体を包んだが、シルエットは確実に映し出されている。
(引き締まったボディラインだなぁ……ん?待てよ?……私って、この状態で抱っこされていたの?!いや、助けてはくれたんだけど、さすがにこれはぁ)
全身が火照り、真っ赤に染まり出す。
真っ裸の男の子に抱かれた!?
(せ、責任とってもらうか!?)
などと考えていると、鋭い声が響いてきた。
「部下が世話になったな」
聞き覚えのある声。
雷帝は、眼球だけ動かして声の主を見つける。
エリ・ナリ隊長だ。
今回はここまでです。
次回投稿は明日の朝です。




