第57話 こっちの制御は難しい!
おはようございます。
投稿です。
「た、隊長!」
ドリは、その姿を見ただけで、なぜか泣き出しそうになる。
「部下だけではない、私や他の者達も癒やされた。礼を言う、ありがとう、感謝する」
「……そうなのか?まぁいいってことよ!オレも魔力制御覚えたし!」
と言いながらエリ・ナリを見つめる雷帝。
周囲の目が二人に集まる。
話題の二人だ。
もちろん、周囲の者達は知っている。
エリ・ナリ隊長の報告書は、スノーホワイト国全土に広まっているし、国外にも流出しているのだ。
それも、面白おかしく。
一国の報告書が国内外に漏れる、普通は有り得ないことだ。
それが漏れている、それどころか故意に広まっているように見える。
なぜか?それは誰かが意図的に情報を流したからだ。
雷帝と炎帝に目を向けさせ、一の賢者や王族に少しでも意識を向けさせないためだ。
特に一の賢者は色々と開発生産をしている、あまり目立つと困るのだ。
(この第六のエリ・ナリはメグの先輩だったな。ゴシップネタは許せ、そのうちいいヤローを紹介してやっから!)
犯人であり、仕掛け人のイッカイこと、雷神王がニンマリした目でエリ・ナリ隊長を見る。
とんでもない王である。
一方こちらは、そんなことを気にしているようで実は、あまり気にしていない雷帝。
まぁ、しゃーないか、に答えが行き着いているのだ。
気にしてもどうしようもねーや、雷帝は、それよりもすることがあるのだ。
まぁ、このエリ・ナリ隊長は気になる人物ではあるが。
周囲の好奇の目が集まる。
薙刀を手に、姿勢良く立つエリ・ナリ隊長。
(そういやぁこいつの、頬とか舐めたりしたなぁ。あ、事故だけど唇も舐めたっけ?)
エリ・ナリ隊長、その鋭い眼は三月世界のボルナガーを思い出させる。
ボルナガ-、それは死の女神と呼ばれる女性の戦闘集団。
子供の若を保護し、育てた者達。
矛を得意とし、ゴンザの妻がリーダーであった。
(似ているけど、違うな、そりゃそうだ)
「どうした雷帝?」
不信に思うエリ・ナリ。
(こいつの目、どこかで見たことあるぞ?赤い眼?ん?)
なぜか白黒ネコを思い出すエリ・ナリ。
その時、風が吹き軽く髪を抑えた。
(いい動きしているなぁ、こいつは薙刀も相当な腕だろう、ああ、ネコにも優しかったな)
そこで思い出した。
ぬりぬりされて、治療されたことを。
(真剣に癒やそうと……オレに、薬を……ん?)
みみみ。
「ん?なんだ?」
身体の変化に戸惑いを隠せない雷帝。
変化が起きた!
エリ・ナリは綺麗だな、そう思った瞬間!
みょん。
雷帝の雷帝が雷帝状態になったのだ!
「!!!!!!!!!!!!!!!」
絶句するエリ・ナリ隊長。
(こ、こいつ私を見て?!)
「だわはははははははっ!なんだぁ雷帝殿!?第六の隊長殿が欲しいかぁ?」
そう言ったのはイッカイである。
「う、う、うるせぃー!き、今日はここまでだっ!じゃなぁイッカイ師匠!勝負は今度だっ!」
猛ダッシュで消えていく雷帝。
何が起きたのか周囲はよく分からない。
シルエットを見たのは近くの数名のみ。
「ふ、ふ、ふ、ふく、副長おおおおおぅ!」
「はい、なんでしょう?」
「……これも報告書に書かないといけないのかっ!」
「どうでしょう?(陛下立ち会いですし、報告しなくていいのでは?)」
小声で伝える副長。
「そ、そうか?」
半ばパニック状態のエリ・ナリ隊長。
耳まで真っ赤である。
そこにトドメの念話が届く。
(オレだ、今度はどんな報告書で楽しませてくれるのだ?)
「!……陛下……」
今度は真っ青になるエリ・ナリ隊長。
「ご、ご勘弁を……」
もう泣きそうである。
副長も声を上げる。
「陛下、ご勘弁を」
(……おお、副長が言うなら勘弁するか、思い出したぞ、お前、都志 明だったな?)
「……はい」
(ナリ家の守護者、まさか本当にいたとはな。ベルセルクの名に隠れているが、実際会ってみると言伝え通りだ。お前と争うつもりはない。よきに計らえ!)
「はい!」
(ただし!)
「なんでしょう?」
(エリ・ナリが雷帝を認めた場合は、邪魔するなよ?)
(私はナリ家の守護者、ナリの者が選んだ人ならそれを祝福しますよ)
(ふふっ、よい返事じゃ、その内城に来い!話しが聞きたい)
謎の人物、副長。
近々その正体、公開予定。
次回投稿は未定です。




