第43話 街の歴史
おはようございます。
投稿です。
バイト疲れで寝坊してしまい、この時間になりました。
「メグや、勇者御一行のポッドを、駐屯所まで連れて行っておくれ」
「大お爺さまは?」
お気に入りのポッドを私に任せるとは?勇者御一行は、最高の研究材料のはず!
そう考えるメイグ団長。
メイグは勇者パーティーを嫌っていた。
原因は聖女さまの扱いである。
なぜ助けない?勇者であろう!最低の扱いを受けているのだぞっ!呪いの呪符?勇者の力で、どうにかならないの?
響弓は、聖女救出の作戦を幾度となく国に提出している。
全て却下され、悔しい思いをしているのだ。
魔王を倒す存在が傀儡?信じられない!
呪符の恐ろしさを知らないメイグは、結果だけを見て勇者やそのパーティーを嫌悪していた。
聖女も聖女だ、その聖なる力で、解呪できないのか?
メイグの考えは、ここで止まる。
これ以上は進めない、所詮、私ではどうしようもない、という結果になるのだ。
この考えが、ループしている。
私は、私のできることをしよう、それだけだ。
そして最初の考えに戻る、なんで勇者は動かないのだ!と。
「お姉さま、ポッドは、数に余裕があります!用意しますのでお入り下さい!」
「お姉さま?メグやどういうことじゃ?」
「はい、士官学校の先輩です……恩人です」
「士官学校?ああ、鍛練所か、そうかメグが世話になっていたのか」
「大お爺さま、今は鍛練所とは言いません、士官学校ですよ」
「どちらも同じじゃ!」
そう言って、歩き出す一の君。
「どちらへ?」
「気になる雑貨屋があった、覗いてみようと思ってな。勇者御一行の運搬任せたぞ」
「お姉さま!ポッドを用意しますから!こちらへ!一緒に行きましょう!ポッド!おいで!」
ムクリ、起き上がる3つのポッド。
「空きポッドも、一つおいで!」
トコトコとメイグ姫の後をついてくる4つのポッド。
「お姉さま?」
名残惜しそうに、白黒ネコが走り去った方向を見つめるエリ・ナリ隊長。
(私だけのネコにしたいなぁ)
密かに想うエリ・ナリ隊長。
同じ方向を見るメイグ姫。
(ネッコ、今度は逃がさないからっ!絶対捕まえてあーんなこや、こーんなことするんだから!あのシャーを撤回させるんだから!)
「右近、左近!」
「「ここに」」
いつのまにか現れる二人の響弓メンバー。
エリ・ナリ隊長はこの二人を知っている。
メグのガード、スノーホワイト国きってのアサシン。
正真正銘のお姫様であるメイグは、戦場を駆ける戦士でもある。
士気は爆上がりするが、狙われもするのだ。常にキッドナップ、誘拐の脅威にさらされている。
そのためのアサシン。
(メグは知らないだろうな、他にも色々とガードされているのを)
周囲に何人いる?
エリ・ナリはあえて数を数えない。
そんなことをしても無駄だし、なぜ数を数えた、と尋問されるのが落ちだ。
「この街の過去を調べろ!ブリザード・ワームがどうしてここまで侵入できた?駐屯地がある以上、結界があったはず!」
「メイグ団長、もうお分かりでは?」
エリ・ナリはあえて話し掛ける。
「この街は坑道が無数に走っている。それは上空からの調査で一目瞭然だったはず」
エリ・ナリがブリザード・ワームの侵攻後、すぐに調べたことだ。
「……若葉街は地下資源を不正に採掘している」
メイグの言葉がキツくなる。
「いえ、坑道は廃坑、一の君が環境魔法を作り出す以前のことでしょう」
エリ・ナリが考えを正す。
ここは以前、極寒の地。売れる物は何でも売り、生きていかなければいけない。
スノーホワイト国、周囲の街々は多かれ少なかれ地下資源を不正に採掘している。
生きるためだ。
当時の国は何もしてくれなかった。
まぁ、今でも行き届いているとは言い難し。エリ・ナリの素直な評価である。
そして、簡易結界、お札を貼って坑道を隠していたのだ。
レッド・ブーツ帝国はそこに目を付け、坑道から侵入してきた。
おそらく一の君はもうご存じだろう。
エリ・ナリは考える。
雷神王もしかりだ。
これはメイグがどう対応するか、試験しているのでは?
そのサポート役が先輩であり、騎士団をライバル視している国境警備隊の隊長である私か?
ここは、気を引き締めなければ。
視線を感じると、右近、左近と目が合った。
(こいつら、今笑った!?)
ここでブザーが鳴る。
ミミミミッ!
「ん?」
エリ・ナリが振り向くと、ぺっ、と医療ポットから吐き出される副長。
「……おい、私の扱い、えらくぞんざいだな?」
元気に起き上がる副長。
頼もしい副長、復活である。
今回はここまでです。
次回は炎帝と一の君が出会い、言葉のバトルを繰り広げる予定です。
実はもう半分ほどできています。
お楽しみに。
次回投稿は早くなりそうです。
タイトルは 第44話 炎帝と一の君 です。
炎帝と一の君のお話しが終ると、第45話? 雷帝と雷神王 です。




