第42話 猫だけど脱兎
おはようございます。
投稿です。
もぞもぞ。
「ん?トイレか?元気になった?薬が効いたのか?」
「ナーン」
(おう、薬が効いたみたいだ!それに……お前から元気をもらった!)
白黒ネコに顔を近づけるエリ・ナリ。
「目ヤニも出ていないな、よしよし!ん?」
ペロッ。
「!?」
(塩味)
ざらりとした感覚がエリ・ナリの頬に発生する。
「涙を舐めたのか?ネコ科は塩分を控えないと、身体を壊すぞ」
(いいじゃん、一滴や二滴くらい!)
エリ・ナリの腕から飛び出し、すたっ、と凜々しく大地に立つ白黒ネコ。
「あっ!?」
名残惜しそうに白黒ネコを見つめるエリ・ナリ隊長。
ネコは気まぐれだと十分知ってはいるようだが。
(ゴンザ、動くぞ!まずは……そうだな、イッカイに会う、約束を果たさせ、魔力のコントロールを覚える!そしてレッド・ブーツ帝国へ向う)
(……よろしいかと)
と、ここまではカッコよかった。
(ん?空が?)
黒い影が過ぎった。
……おねーさまーっ……
遙か上空から聞き慣れた声が降ってくる。
その声を聞き、ザワッ、と白黒ネコが身震いする!
白黒ネコは本能的に保護者、庇護者を求め、エリ・ナリに飛びつく!
「なんだ?捕食されるとでも思ったか?」
嬉しそうに再び抱っこする。
見上げると、無数のグリフォンが大空を舞っていた。
……お前達は、周囲警戒!……一の君の御前ぞ!気をぬくな!……
先程の声と違って、厳しく部下に言い放つ、グリフォンライダーのトップ。
ぶわっ、と急降下して、大地に舞い降りるグリフォン!
風が周囲を駆け抜ける。
「お姉さま、お久しぶりですっ!……お怪我はありませんか!え!?ネッコ!?」
グリフォンから飛び降り、抱きつかんばかりに近寄る騎士団響弓の団長。
士官学校時代、散々お世話になった恩人であり大好きな先輩。
舞い降りたのはご存じ、メイグ姫だ。
いや、騎士団響弓の団長メイグだ。
頬を赤く染め、その潤んだ瞳がエリ・ナリお姉さまと、その腕に抱かれているネッコを捉える。
「シャアアアアアアアアアアアッ」
白黒ネコは光の速さでエリ・ナリの腕から飛び出し、肩に陣取る!
体毛は逆立ち、尻尾は三倍くらいの大きさになる!
ブレス攻撃でもするのか?と思わせるとんでもない威嚇!
「え?」←エリ・ナリ。
「え?」←メグ。
「え?」←一の君。
「「メグ、なんかした?」」
綺麗にハモる一の君とエリ・ナリ隊長。
威嚇がショックだったのか、メグは涙目になる。
「な、何もしてませんっ!わ、私、小動物に酷いことなんてしません!できませんっ!ええっ!?どうしたの?ネッコ?私、優しいよ?何もしないよ?」
「グギャアアアアッ!」
(いいやっ、しましたね!やりましたね!蹴ったじゃん!すんげえええええ痛かったんだからっ!……うう、思い出しただけでも痛くなってきた!)
ひらり、と肩から飛び降りると、猛ダッシュでその場から走り去る白黒ネコ!
(……)
(なんだよ?ゴンザ?)
(パーフェクトではありませんな、何故蹴られたか、をお考えください)
(うるせー!今から宿屋へ向う!)
(そのまま稽古ですか?防具は?)
(いらん!邪魔だ!魔力コントロールを覚えれば済むことだ!)
(マッパで稽古ですか?教えを請うならば、礼を尽くしてください!)
「お姉さま、ポッドに入られては?」
「やはり、わかるか?」
「はい、響弓が周囲を警戒、街や人々お守り致します」
「……メグ、ワシの護衛ではなかったか?」
「大お爺さまの護衛?皇帝騎士団をお連れとか聞きましたが?」
「はて?そうであったかな?」
「おとぼけを」
冷ややかな目で一の君を見るメイグ団長。
この曾お爺さん、ろくな思い出がないのだ。
双子のシンクロを実験するとかいって、幼少の頃から散々な目に遭っている。
「まぁよい、勇者御一行の治療機材、持ってきたか?」
「はい、駐屯地に設置しましたが」
「では、ポッドを連れて参るとするか」
そう言って、グリフォンを見る一の君。
「ふむ、メグよ、ワシが与えた飛行ゴーレムは使用しないのか?」
「あれは最高機密兵器です、おとうさ……国王陛下の許可なく使えません」
最高機密兵器。
その言葉にジーンとする一の君。
かなり気を良くしたようである。
「ほう、最高機密兵器か、いい響きじゃ。レッド・ブーツ帝国からの侵略、今度はこちらから攻め入る、飛行ゴーレムの訓練、怠るなよ」
「戦を始めるのですか!?」
「仕掛けたのは向こうだ、呪符の解呪ができ次第攻める。そう時間は掛からないような気がする。第六国境警備隊、それまでに隊を立直せ、騎士団響弓、警備隊のフォローを」
今回はここまでです。
次回をお楽しみに。
次回投稿は遅れると思います。
バイトが忙しく……うう、私、凡ミスが多いんです!




