第35話 名コンビ
おはようございます。
投稿です。
(若、これは三月世界での禁呪ですぞ)
(……)
(人や妖精の式神化、いや、この場合は奴隷化でしょうな。明らかに三月と違う!この四月世界独自の術でしょうかな?)
(どちらにしろダメだろう?ゴンザ、他にも何か知っているな?全部話せ!一体どこで仕入れたんだ!こんな情報!)
(商人は情報収集が命。物品を動かす、それは人、物、金、知識、世界が動くということです。要はそれに気づくか素通りするか、ですじゃ)
雷神王は何をしているのだ?
いや、イッカイみたいな戦士もいる!
この世界、捨てたもんじゃねぇ!でも……このままじゃ……若なりに考え始める。
そう、四月世界は混沌とした世界なのだ。
(このままでは……そのためのオレ達か?)
(ですよね、若。だがこの判断は四月世界の魔法意思の判断です、基準は我々では図りかねます。それに意思とは言っても明確な意思ではありません、不確かな方向性のようなものとか)
(う・そ・だね!そんなあやふやなモノが、明らかにオレの回復力、封印するわけねーだろ!)
白黒ネコの体毛が一気に逆立つ!
(他にも仮説がございますぞ)
(どんな?)
(お互い、信頼関係が成り立つと魔力がより強く働くとか)
(なんだよ?それ?)
(これも勉強したはずですが?)
(……だったかな?)
(お互いをより強く結びつけるために、魔法意思が動くとか)
(はぁ?オレのタマキン蹴って、何が結びつくんだよっ!御免被る!……!!)
(どうされました?若?)
(チビが壁を昇り始めた!ゴンザ!落ちるかも!チビを止めろ!)
「クロちゃん?どぉしたの?毛がバサバサだよ?グスッ……こっちおいで?怪我しているの?痛いの?……!?」
ズルッ!
何かが滑る音!
慌てて店から出てきたゴンザ!
上から、黒い影が降ってくる!
「つっ!」
がしっ、とキャッチしたのはエリ・ナリ隊長。
キャッチと同時に激痛が全身を貫く!
「ぐっ!」
子供をキャッチしたのはいいが、体調が悪すぎた。
骨折やら打撲やら切り傷、魔力補正で辛うじて歩いている状態なのだ。
(さすがに子供のキャッチは無理があったか!?)
かといって、見過ごすことなど絶対にできない。
そのまま後ろにぶっ倒れるエリ・ナリ隊長!
そして、光りの速さで大地と隊長の間に身体を滑り込ませる副長!
どしーん!
ボキッ。
「え?……ふ、副長!?」
「……お怪我は?……ございませんか?」
その問い掛けが、何故かおかしく一瞬、二人とも笑顔になる。
怪我?元より二人とも重傷の大怪我だ!
やせ我慢、見栄、根性、気力で動いているのだ!
「……副長!?い、今、ボキッて?」
慌てて身を起こそうとするが、エリ・ナリ隊長も元々重傷者、身体が思うように動かない。
「……い……っ……」
思わず声が出る。
そこに手を差し伸べるゴンザ。
まずは子供を優しく抱き起こし、エリ・ナリを横に動かす。
現れた副長は顔面蒼白である。
足が?変な方向に曲がってないか?
「あ、あれ?足が動かない?……いや、魔力補正で……おや?」
「ん?……これは……副長さま、大腿骨が折れてますぞ」
ゴンザが鑑定眼を使う。医療にも十分に使えるのだ。
そして、ゴンザの鑑定に間違いはない。
「「え゛」」
同時に声を上げる隊長と副長。
「な、何故庇った!?」
「あのままでは後頭部直撃でしたよ」
「!」
後頭部への衝撃はよくない。
死を招く恐れがあるのだ。
「……しゃい……」
「ん?」
ゴンザの腕の中で小さく呟くチビちゃん。
「ご、ごねんなしゃい……ううっ……」
目を真っ赤にし、ポロポロと涙を零す。
「クロちゃん、し、心配だったの……お、お兄ちゃん、痛い?隊長しゃん、あ、ありがとう……ごじゃます……うっく……」
どうにか謝罪の言葉を絞り出すチビちゃん。
「もう、危ないことはするな、人に頼むのも選択の一つだ」
「しぇんたく?」
そう言いながら副長の足を見るエリ・ナリ。
「すまん、ポッドを用意させる!」
「……これもお役目ですよ、お気になさらずに」
「お役目だと!?」
「はい」
ここで隊長は考えた。
これをお役目というのなら、否定してはいけない。
こいつは必死だったんだ、瞬時の選択で私を助けたのだ。
「お役目、ご苦労……助けてくれて、ありがとう。次も頼む」
「はっ!!」
ニッコリと喜んでみせる副長。
さて、ここで隊長はちょっとだけ個人的なことを考える。
……私って、そんなに重いのか?
平均よりちょっとだけ重いと思っていたのだが。
「ナーォ」(大丈夫か?)
どうにか身を乗り出し、下を見る白黒ネコ。
「アーォ、ナァーオ」(凄い音がしたけど、チビは無事か?)
「クロちゃん、大丈夫だよ!隊長さんとお兄ちゃんが助けてくれての!」
「……どうした?副長?何をニヤニヤしている?」
どこか打ち所が悪かったか?などと考える隊長。
「……いや、周囲からは『おじさん』と呼ばれていましたので、お兄ちゃんと呼ばれると……」
副長は『お兄ちゃん』という呼び名にデレた。
「おい、副長、元気そうだな?」
「……そりゃもう、私は単純なんで」
今回はここまでです。
次回をお楽しみに!
次回投稿は未定です。
かなり遅れるかも知れません。




