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赤い目の少年冒険譚 (2025.05)  作者: MAYAKO
第一章 四月世界

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第34話 四月世界の魔法     

おはようございます。

投稿です。

今回は四月世界の設定を、一部公開編です。


「……?」


 視線を感じ、周囲を魔力感知するエリ・ナリ隊長。


「どうかされましたか?」


「視線を感じる、悪意はないようだが、なんだ?この視線は?」


「隊長、アレでは?」


 副長が示す方向、それは屋根を指していた。


「あれ?あれだと?」


 雑貨屋か?屋根に?


「!?」


 そこには、夜の訪問者、白黒ネコがこっちを見ていた。

 白黒ネコを見た瞬間、あの日の夜のことが鮮烈に思い出される!


(ドリ……シュウミン……楽しかったな……くそっ!何故の侵攻だ!殺し合いがそんなに好きか!欲望まみれの帝国め!)


 夜の記憶、エリ・ナリは涙が零れそうになった。

 そして悲しみと同時に、怒りが漲る!


「隊長、あのネコは我らの仲間にでもなりたいのでしょうか?熱い視線ですが?」


「どうかな?」


 副長の言葉に少しだけ救われるエリ・ナリ隊長。

 エリ・ナリの足は、自然と白黒ネコに向う。


 そこには子供が一人、しきりに話し掛けていた。


「ねぇ、クロちゃん、降りておいでよ!よしよししてあげるよ?どこか痛いの?」


 ……ナーン……


 子供の問い掛けに、返事をする白黒ネコ。


(そうだよ、痛いんだよ!腫れているんだよ!右のタマキンが!)


(若、暫くは静かになさいませ)


(なんでだよ!だいたいオレ様は獣人族の血が流れているはずだろう?不死に近い状態で身体は丈夫なはず!それが何で!?魔力だってビンビンだぜ!?)


 なぜ回復しない?いつもだったらその場で骨折やら刀傷など瞬時に回復するのに?

 なぜメイメイから受けた『蹴り』は治りが遅いのだ?

 何か、法則があったような?


 若は、思い出そうとするが、なかなか思い出せない。


 そう、若は考えるよりも動くタイプ。

 あらゆるモノに、ぶつかって覚えていく。まるでロボットの掃除機みたいなヤツなのだ。ぶつかっては学習、ぶつかっては学習。


 ただ残念なのは、掃除機クンは一度覚えるとまず忘れない。

 一方若は勉強、学習してもコロッと忘れるのだ。


 ……学習とは?


(……若、それはおそらく魔法意思が働いているかと)


(魔法意思?あ、なんか聞いたことあるかも?世界意思だっけ?)


 ゴンザから、溜息交じりの呆れた念が流れてくる。


(この世界に来る前に、勉強しましたが?)


(勉強キライ)


(存じてますとも。この四月世界の魔法は調和を好む傾向があるとか)


(調和?ほど遠いんじゃねーか?)


(初対面の女性の前で、マッパはいけません。パーフェクトではありませんな)


(ぐっ……し、仕方ねーじゃん!オレ防具纏えねーし!魔力で作り出すの難しいんだよ!)


(婦女子に嫌われますぞ、礼節という言葉もあります。若、パーフェクトではありませんなぁ)


(なんだよ、レイセツって?それに三月世界じゃマッパでもよかったじゃん!)


(ここは四月世界です、前の世界とは違います。この『四月世界』は若にちゃんとした振舞いをして欲しいのでは?そのための能力封印かと)


(世界がなんでオレの能力封印するんだよ!そんな力あるなら他の悪いヤツらの力封印しろよっ!)


(それは世界の因果律やら好みやらでしょう、若はこの世界に気に入られたのでしょうな、ははっ)


 笑い事ではないと思いながらも、さすがに魔力防具を纏う練習をしなければ、と思う若。

 毎回蹴られでもしてら、たまらん!

 ふつーの防具はあるのだが、緊急時は役に立たない。

 特に若の日常形態は白黒ネコなのだ。


 ズッキンズッキン。


(イタイ……水にでも浸かるか?ゴンザぁ薬とかないの?)


(生憎ネコ用は切れておりまして)


(人用でもいいじゃん!同じ生き物だろ!)


(症例がありませぬ)


 固いこと言うなよっ!なくてもいいじゃん!と思ったが、その言葉をぐっ、と呑み込む。


(オレが痛い思いすれば調和するのか?しねーだろっ!たかがガキ一人だぜ!?)


(少なくとも若と婦女子の間柄は穏やかになるでしょうな、マッパなど言語道断ですぞ!問題外っ!)


 そこまで言うのかよ!


(でもよ、俺以上に四月世界は乱れているだろっ!)


(悪い意味で調和しておりますぞ)


(どんな調和だよ?悪い調和?うーんと……四月世界の住人達が魔法を穢している、ってか?)


(隣国のレッド・ブーツ帝国、かの国は権力者が帝国民全てを支配しております)


(?)


 全てを支配?できるわけがねー!

 若は考える。

 不可能だ!と。


(権力者にとっては理想の調和ですな)


(なんだよそれ!全てを?できるわけねーじゃん!)


(いいですか、若、忘れずに聞いてくださいよ?隣国のレッド・ブーツ帝国は生れた子供に呪符を埋め込むのです)


(なっ!?)


(呪符を埋め込まれた者達は、王侯貴族に逆らえません)


 愕然とする若。


(レッド・ブーツ帝国の帝国民は全て、この呪符を埋め込まれております)


(オ、オレの魔力封印するよりも、そっちをどうにかしろよ!ひっでーなんだよそれ!権力者、やりたい放題じゃねーか!)


(はい、それこそ権力者にとってはこれ以上の調和はありませんな。誰一人、逆らわない。死ねと言えば死にますし、戦も労働も経済も思うがままです)


(計画が失敗したらどうすんだよ!)


(失敗しても、逆らうモノすらいません)


(……それは……国民は地獄じゃねーか!)


(彼らは永い年月この暮らしをしているので、それが当たり前なのです)


(ばかなっ!?)


(逆に、支配者の指示がなければ多くの者達は、動けません。自ら動くことができないのです)


(四月世界はそんな国もあるのか……それでいいのか?)


 今回はここまでです。

 次回をお楽しみに。

次回投稿は明日の朝を予定しております。

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