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赤い目の少年冒険譚 (2025.05)  作者: MAYAKO
第一章 四月世界

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第33話 ご存じですか?     

おはようございます。

投稿です。


「隊長、国王陛下がこの街に留まっていますが、ご存じでしたか?」


「……知らんぞ、そんなこと!?」


(こいつは突然、何を言い出すのだ!?)


 驚きの目で、副長を睨むエリ・ナリ隊長。


「街の宿屋に、イッカイという名で宿泊されております」


 この忙しいのに、国王まで!?

 口元が、更に複雑になる隊長。


「その情報の出所は?」


「……昨夜、呑みに誘われました」


「誰が!?」


「私がです。すみません隊長を差し置いて」


「副長!?その身体で飲みに出たというのか!?」


「そんなには呑んでいませんよ」


 ホントか?


 かなり疑うエリ・ナリ隊長。


「……分かった。副長、陛下はお忍びだな?」


「そうでしょうね」


 状況を組み立てるエリ・ナリ隊長。


 医療ポッドの数、性能、通常と違い上位機種が届けられている。

 数も多い。今までこんなこと、あったか?

 支給品は定数揃わないし、医療ポッドなど半数も届いたことがなかった。

 第六国境警備隊の名前で手配したが、動いたのは誰だ?

 メイグだけではなかったのか?


 首都ホワイトパレスからの物資がいつもより明らかに多く、質もよい。


「何を話したか聞かないのですか?」


「重要な話しなら、進んで話すだろう?」


 男の呑み話し?脇で何を話した?


「会わぬ方がよいか?」


「会えば、口説かれますよ。話の内容は女性のことばかり」


 ギロリ、と睨むエリ・ナリ隊長。


 睨まれた副長は、満身創痍で包帯グルグル状態である。

 足取りが重く、エリ・ナリ隊長が合わせて歩いている。


「二日酔いではないな……寝ててもいいのだぞ?ポッドに入らなくていいのか?」


 国王陛下?何を考えている?こんな重傷者と呑みに?


「いえ、動けます」


「お前が入らなければ一個ポッドが空く、部下や住人に回そうとか思っていないだろうな?」


 そう言ってきつく睨むエリ・ナリ隊長。


「……苦しいときには、素直に入りますよ、お気遣いありがとうございます」


「ベルセルクは筋肉が骨を破壊すると聞いたが、本当に大丈夫なのだろうな?」


「はい、骨を砕かないために暴れ回るのです……」


「お前の失態ではない、雪原に異常を感じた時点で報告が先だったのだ。それをあいつらは動いた。お前の待機命令を無視したのだ」


「……本気で言っています?留まっても進んでも交戦は避けられませんでしたよ?彼らは少しでも数を、遠方で減らそうとしての判断かと」


 そんなことは分かっている!そう叫びたいのだが。

 その叫びは胸で止まって出てこない。

 出てきたのは別の言葉だ。


「結果はどうだ?生存者は12名、それも炎帝殿の魔力で生き存えていた!ポッドに入っても未だに意識が戻らんっ!」


 怒りで震え出すエリ・ナリ。

 自分の甘さが招いた結果だ。


「隊長、隊を任された私の責任です」


「お前に命令したのは私だっ!」


 二人は口論しながら街中央に向う。

 無残に崩れ去った街。


(我らが駐屯したばかりにっ!)


 唇を噛みしめる隊長。


「……隊長、酒の終りに陛下が一言」


 ここで眉間に皺が刻まれる隊長。


「今度は私を連れてこいと?」


(女の噂が絶えない陛下だ、声が掛かれば逆らえぬ。そこはレッド・ブーツ帝国の民と同じか?だが私に夜の相手は務まらぬぞ?)


「……隊長のことは散々聞かれましたが、メイグ姫の先輩としてです。姫の人間関係を壊したくないと」


「どうだかな」


 と言いながら、かなりホッとするエリ・ナリ隊長。

 戦場での国王陛下は、年齢、容姿、男女、関係無しとの噂なのだ。


「で、なんと言われたのだ?」


「街の被害は最小限、第六国境警備隊は帝国相手によくやった、と」


「!」


(最小限?街は半壊だぞ!それに進軍を止めたのは雷帝と炎帝だ!)


「その評価は……進軍を止めたのは、本隊を止めたのは雷帝と炎帝だ!」


「隊長、我々は力を使い切りました。あなたこそポッドは必要なのでは?」


「隊長の私がポッド?何人の部下が死んだと思っている?入れるか!」


(それは副長の私も同じですよ)


 密かに思う副長。

 副長の目には、隊長の状態異常が明らかだった。


 左手首の骨折、鎖骨にはヒビが入り、ちぎれかけた右腕は魔力でガチガチに固定している。

 虫の毒で左目は見えていないし、解毒も中途半端だ。

 足の爪は剥がれ、普通だったらまともに歩けないはずなのだが……。


(なんて気丈な戦士なのだろう)


「隊長」


「なんだ?」


「必要とあらば、ポッドに投げ込みます」


「その言葉、お前にそのまま返す!」


 中央広場は綺麗に瓦礫が撤去され、沢山の機材と人で埋め尽くされていた。

 その中で人目を引くのは、規則正しく並べられた卵形の機械だ。

 大きさは2m程で、100個以上の数。

 卵の中には、第六国境警備隊の隊員、若葉街の住人、重傷者が入っていた。

 もちろん、勇敢な犬、グリフォン、一角パンサーもである。


「副長、我らが一角も入っているが、効果はあるのか?」


「ポッドは全ての生物に有効と聞きましたが」


 今回はここまでです。

 次回をお楽しみに。

次回投稿は未定です。

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