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赤い目の少年冒険譚 (2025.05)  作者: MAYAKO
第一章 四月世界

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第26話 圧倒     

おはようございます。

投稿です。



 その樽将軍の一歩は、静かな一歩で力に充ち満ちていた。

 足下の雪が静かに舞う。

 その動きを見ても、雷帝は何の気にもしない。


(ふーん、凄い殺気だなぁ。こいつの殺気に注目させ残り二人と息を合わせる、ってことかな?意識誘導ってヤツだ)


「どうした、雷帝?俺の踏み込みが気になるか?」


「ふん、お相手?今度な!今回は見逃してやるぜ!この技で生き残ったらな!」


 敵3名は同時に動いた。

 見事な連携である。雷帝より先に動いたのだ!

 しかし、後に動いた雷帝の攻撃が早かった。


 雷帝の読み通りだったからだ。


「あんたら、いい動きだね!だが第六国境警備隊の連中を殺しまくったのは頂けないな!まだ、新兵もいたのに!戦いとは言え、あんな気のいい奴等を!」


 雷帝の攻撃に対処できたのは、鞭のような青年だけだった。


 突然、大地から天に向っての放電!

 天からの落雷ではなく、大地からの天への雷、雷樹、昇雷である!


「……!?……大地から天へ!?」


 鞭のような青年は、一瞬で体内ステータスを『速さ』に全振りする!


(へぇ、あんたステータス移動出来るんだ)


(うるさいっ!)


 鞭のような青年は、樽将軍の襟首と骨将軍のローブを掴むと、思いっきり後方ジャンプした。


(くっ、ち、力が入らんっ!)


(そりゃ速さに全振りすれば、握力なんてスプーンも持てないぜ?)


(だからっ!うるさいっ!)


 ドッゴゴゴゴゴゴゴゴッ!バリバリバリバリッ!


 轟音と光り、方向感覚さえ無くしそうな天変地異!

 昇雷が止むと、周辺の氷雪は溶け、大地は抉れ地形が変わっていた。


 国境近くの森に倒れている、3つの塊。


 ここまで青年が引っ張ってきたのだ。

 全員、瀕死である。辛うじて息はしているが動けない。


「……こ、……この……僕が?……ここまで……」


(あんた、なかなかやるね?)


「……くっ……ころせ……」


(自分だけだったら、逃げられただろうに……)


「……それは……できない……」


(できない?なんでだよ?)


「……だい……だいじな手駒……だからさ……」


(手駒?……違うな、歴戦の戦士?何か隠していないか?)


「……ゴホッ……」


 大量の血を吐き出す青年。


(今は若葉街が先なんだ。皆の仇は討たせてもらう!次はキッチリ勝負しようぜ!)


「ふっ……大きさで勝負か?ゲホッ……グフッ……」


(おおきさ?……う、うるせぇー!だまれっ!)


 雷帝はその身を魔力電子に変換し、若葉街を目指す!


 

 最初、異変に気がつき、ブリザード・ワームに向ったのは第六国境警備隊ではなく、若葉街の犬達であった。


「な、なんだ!?どうした?」


 わんわん!

 ヲフヲフ!

 グルルウルルルルッ!

 オンオン!


 しきりに咆え出す犬達。

 特に大型犬は眼がギラつき始めた。


 その異変に気づいた飼い主達は、武器を取り、子供達を街中央のシェルターに送り込む。


「何か来るぞ!」


「何だ?犬達が荒れている!」


「どうした!」


 そう声を掛けてきたのは第六国境警備隊の副長である。

 隊長命令で数騎、残されたのだ。


 特に副長は街に残れと厳命された。


 実はこの副長、ウルフヘンジでキレると戦闘が止まらない。

 ウルフヘンジ、バーサーカーとも言う、そう狂戦士なのだ。


 第2班にもしものことがあった場合、この副長、国境を越えかねん、と隊長が判断した。

 今回の件、おそらくレッド・ブーツ帝国が関与しているだろうが、証拠がない。

 虫使いは帝国の主力。虫が苦手な者はレッド・ブーツ帝国には住めない、というくらい虫が多いのだ。スノーホワイト国は確信しているがまだ動けない。


 敵の虫どもがその場にいればこの副長、猛烈な怒りをぶつけ、敵味方の判断を辛うじてするのだが、いなかった場合、そう、第2班が壊滅、もしくは全滅していたら味方に襲いかかるかも知れない。うん、置いていこう、駐屯地とこの街の警備を任せよう。隊長判断である。


 副長としては、大いに不満であったが、この副長、隊長だけには逆らわない。

 いや、逆らえないのだ。


 それは隊長の祖父、おじいさんが戦の中で、副長の両親を助けたからだ。

 まさに命の恩人なのである。


 ナリは恩人、ナリ家の血に仕えろ、父の遺言である。


「一角パンサーが荒れている、犬達も……」


「ああ、副長サン、変だ」


 まさにその時、大地が揺れブリザード・ワームが現れた!

 大小様々なブリザード・ワーム。

 高さ5m、長さ30m以上クラスが大量に大地から吹き出し続けている。


 第六国境警備隊の副長は戸惑うこと無く、その群れに単騎、突撃する!


「誰でもいいっ!敵の結界外に出て、首都ホワイトパレスに伝えろっ!」


(私としたことが、気がつかぬとは!隊長は無事か!?)


 副長に続いてブリザード・ワームに突っ込んだのは犬達だった。


「なっ!?」


 驚く副長。

 咆えるだけで、逃げると思っていたのだ!


「い、いぬども!戻れ!お前達で敵う相手ではないっ!」


 大型犬の群れは獰猛さを限界まで露わし、ブリザード・ワームに食い付く!


 その時、副長は見た。

 一匹の犬が引き裂かれるのを。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 怒りが頂点を超え、本能が副長を塗り替える!

 イヌ好きの副長。

 その死は耐えられない。


「きさまらぁあああああああああ!」


 大地を揺らす雄叫びと共に、ウルフヘンジが現われた!


次回投稿は……ぼちぼちです。


面白し!と思われたなら本編の下の……あ、もうこのセリフ、コピペするの面倒い。

やめるか。

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