第26話 圧倒
おはようございます。
投稿です。
その樽将軍の一歩は、静かな一歩で力に充ち満ちていた。
足下の雪が静かに舞う。
その動きを見ても、雷帝は何の気にもしない。
(ふーん、凄い殺気だなぁ。こいつの殺気に注目させ残り二人と息を合わせる、ってことかな?意識誘導ってヤツだ)
「どうした、雷帝?俺の踏み込みが気になるか?」
「ふん、お相手?今度な!今回は見逃してやるぜ!この技で生き残ったらな!」
敵3名は同時に動いた。
見事な連携である。雷帝より先に動いたのだ!
しかし、後に動いた雷帝の攻撃が早かった。
雷帝の読み通りだったからだ。
「あんたら、いい動きだね!だが第六国境警備隊の連中を殺しまくったのは頂けないな!まだ、新兵もいたのに!戦いとは言え、あんな気のいい奴等を!」
雷帝の攻撃に対処できたのは、鞭のような青年だけだった。
突然、大地から天に向っての放電!
天からの落雷ではなく、大地からの天への雷、雷樹、昇雷である!
「……!?……大地から天へ!?」
鞭のような青年は、一瞬で体内ステータスを『速さ』に全振りする!
(へぇ、あんたステータス移動出来るんだ)
(うるさいっ!)
鞭のような青年は、樽将軍の襟首と骨将軍のローブを掴むと、思いっきり後方ジャンプした。
(くっ、ち、力が入らんっ!)
(そりゃ速さに全振りすれば、握力なんてスプーンも持てないぜ?)
(だからっ!うるさいっ!)
ドッゴゴゴゴゴゴゴゴッ!バリバリバリバリッ!
轟音と光り、方向感覚さえ無くしそうな天変地異!
昇雷が止むと、周辺の氷雪は溶け、大地は抉れ地形が変わっていた。
国境近くの森に倒れている、3つの塊。
ここまで青年が引っ張ってきたのだ。
全員、瀕死である。辛うじて息はしているが動けない。
「……こ、……この……僕が?……ここまで……」
(あんた、なかなかやるね?)
「……くっ……ころせ……」
(自分だけだったら、逃げられただろうに……)
「……それは……できない……」
(できない?なんでだよ?)
「……だい……だいじな手駒……だからさ……」
(手駒?……違うな、歴戦の戦士?何か隠していないか?)
「……ゴホッ……」
大量の血を吐き出す青年。
(今は若葉街が先なんだ。皆の仇は討たせてもらう!次はキッチリ勝負しようぜ!)
「ふっ……大きさで勝負か?ゲホッ……グフッ……」
(おおきさ?……う、うるせぇー!だまれっ!)
雷帝はその身を魔力電子に変換し、若葉街を目指す!
最初、異変に気がつき、ブリザード・ワームに向ったのは第六国境警備隊ではなく、若葉街の犬達であった。
「な、なんだ!?どうした?」
わんわん!
ヲフヲフ!
グルルウルルルルッ!
オンオン!
しきりに咆え出す犬達。
特に大型犬は眼がギラつき始めた。
その異変に気づいた飼い主達は、武器を取り、子供達を街中央のシェルターに送り込む。
「何か来るぞ!」
「何だ?犬達が荒れている!」
「どうした!」
そう声を掛けてきたのは第六国境警備隊の副長である。
隊長命令で数騎、残されたのだ。
特に副長は街に残れと厳命された。
実はこの副長、ウルフヘンジでキレると戦闘が止まらない。
ウルフヘンジ、バーサーカーとも言う、そう狂戦士なのだ。
第2班にもしものことがあった場合、この副長、国境を越えかねん、と隊長が判断した。
今回の件、おそらくレッド・ブーツ帝国が関与しているだろうが、証拠がない。
虫使いは帝国の主力。虫が苦手な者はレッド・ブーツ帝国には住めない、というくらい虫が多いのだ。スノーホワイト国は確信しているがまだ動けない。
敵の虫どもがその場にいればこの副長、猛烈な怒りをぶつけ、敵味方の判断を辛うじてするのだが、いなかった場合、そう、第2班が壊滅、もしくは全滅していたら味方に襲いかかるかも知れない。うん、置いていこう、駐屯地とこの街の警備を任せよう。隊長判断である。
副長としては、大いに不満であったが、この副長、隊長だけには逆らわない。
いや、逆らえないのだ。
それは隊長の祖父、おじいさんが戦の中で、副長の両親を助けたからだ。
まさに命の恩人なのである。
ナリは恩人、ナリ家の血に仕えろ、父の遺言である。
「一角パンサーが荒れている、犬達も……」
「ああ、副長サン、変だ」
まさにその時、大地が揺れブリザード・ワームが現れた!
大小様々なブリザード・ワーム。
高さ5m、長さ30m以上クラスが大量に大地から吹き出し続けている。
第六国境警備隊の副長は戸惑うこと無く、その群れに単騎、突撃する!
「誰でもいいっ!敵の結界外に出て、首都ホワイトパレスに伝えろっ!」
(私としたことが、気がつかぬとは!隊長は無事か!?)
副長に続いてブリザード・ワームに突っ込んだのは犬達だった。
「なっ!?」
驚く副長。
咆えるだけで、逃げると思っていたのだ!
「い、いぬども!戻れ!お前達で敵う相手ではないっ!」
大型犬の群れは獰猛さを限界まで露わし、ブリザード・ワームに食い付く!
その時、副長は見た。
一匹の犬が引き裂かれるのを。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
怒りが頂点を超え、本能が副長を塗り替える!
イヌ好きの副長。
その死は耐えられない。
「きさまらぁあああああああああ!」
大地を揺らす雄叫びと共に、ウルフヘンジが現われた!
次回投稿は……ぼちぼちです。
面白し!と思われたなら本編の下の……あ、もうこのセリフ、コピペするの面倒い。
やめるか。




