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赤い目の少年冒険譚 (2025.05)  作者: MAYAKO
第二章 五月世界

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第108話 一方こちらでは     

おはようございます。

投稿です。

どうにか間に合いました。


 そしてここにも、雷帝と添い遂げるしかあるまい、と思い詰める女性が一人。


「見たか!?今週にライブ放送!」

「ああ、見た!『赤い眼の少年冒険譚』だろ!」


 酒場は大いに盛り上がっていた。

 話題はスノーホワイト国、国営放送の番組『赤い眼の少年冒険譚』である。

 世界中に放送されている人気番組だ。


 ……コジリン殿は健気だな、あそこまで雷蛇殿に尽くすか?……

 ……いや、パーティーメンバーだったら当然だろ?俺達だって……

 ……え?雷蛇くん、かわいいっ……

 ……あのね、お兄ちゃんにほしいの……

 ……あれ、実話か?本当に異世界の話しか?……

 ……実話だろ?勇者がいただろ?……

 ……我々はコジリン親衛隊である……

 ……黒キノコ?怖ぇなぁ~あれ実在するのかよ?……

 ……マシンダガンの性能ヤベェ……

 ……でも閉所恐怖症って、何だよ!あれホントに四天王か!?……

 ……演出だ、演出!月世界はでまかせだ!……


 そしてついに明かされる事実。


 ……え?ゴンザさんところの白黒ネコ?……

 ……は?違うだろ?……

 ……雷帝って獣人族だったのか!?……

 ……今、一瞬、映ったよな!?……


 それは、雷蛇がナックルを装着した時だった。


 ……白黒ネコ!?……

 ……あのヌッコ!見たことあるぞ!……


 それは一瞬の油断。

 すぐに削除されたが、その時はライブ放送。


 ……いや、俺は見ていないぞ……

 ……ああ、大体白黒ネコと獣人は質量が違うだろ?……

 ……いや、獣人族の中には……


 雷帝=白黒ネコの噂は、あっという間に若葉街全体に広がった。


 ……番組を差替えたな?……


 パッと切り替わる画面。


 ……お、詩番組?おれ虹の詩姫のファンなんだぁ……


 そう、番組は多種多様、軍事評論、バラエティ、吟遊詩人の詩番組、その他諸々。

 まぁ、全て雷神王と一の賢者の趣味なのだが。


 今では無数の放送番組があるのだ!


 すべてスノーホワイト国製、スノーホワイト国に都合がいい番組ばかりである。

 この映像受信機、他国にも貸し出し、今やスノーホワイト国の名は世界中に知れ渡っていた。

 もちろん、レッドブーツ帝国にもここぞとばかり、大量に、しかも高画質のスペシャルを貸し出している。


 そしてここは国境警備隊駐屯所。


「……副長、知っていたか?」


「いえ」


「………私は……どうしたらいい?」


 それは副長に聞いたのか、自問自答なのか。


「あの白黒ネコ、雷帝だったのか……」


「違うのでは?ここは国王か一の賢者に確認をとったがよろしいかと」


「ゴンザ殿はやはり炎帝か……いや、それより……」


「どうされました?」


「ぐあ゛あ゛あ゛ああああああっ!」


「た、隊長!?」


 頭を抱え込み、その場に崩れ落ちるエリ・ナリ隊長。


 やっちまったあああああああ!


 白黒ネコ!?

 あいつぅ!雷帝だったのかああああああっ!

 そう、エリ・ナリ隊長は怪我をした白黒ネコを治療している。

 怪我の場所が……。


「ぐあ゛あ゛あ゛ああああああっ!」


「隊長!?しっかりしてくださいっ!どうされたのです!?」


「どーもこーもないっ!私はどうしたらいい!?嫁にいけるのかっ!?」


「はい?」


 隊長は何を言っているのだと、頭上に巨大な『?』マークを浮かべる副長。


「……ネコを治療した」


「そうですか」


「その……大事なところが腫れ上がっていたのだ」


「?」


「そのままにしておけば、おそらく死んでしまうと判断した」


「それは……」


「そこでそいつの睾丸に薬を塗りたくった」


「こ!?」


「……」


 ぽろぽろと涙を零し始めるエリ・ナリ隊長。


「わ、私は……どうすれば、よ、よかったのだ?……私は……ただ、可哀想なネコを助けようと……うっ……」


「……それが雷帝だったと?」


「もはや、添い遂げるしかあるまいっ!」


 怒りと悲しみに塗れたエリ・ナリ隊長はそう宣言した。


 そんなに深く考えなくても、ネコを助けただけだと割り切れないのだろうか?

 しかし、わが隊長らしいアクシデントだ。


 副長は笑いを必死にこらえた。

次回サブタイトルは 第109話 街の門 の予定です。

毎回ご愛読ありがとうございます。

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