第108話 一方こちらでは
おはようございます。
投稿です。
どうにか間に合いました。
そしてここにも、雷帝と添い遂げるしかあるまい、と思い詰める女性が一人。
「見たか!?今週にライブ放送!」
「ああ、見た!『赤い眼の少年冒険譚』だろ!」
酒場は大いに盛り上がっていた。
話題はスノーホワイト国、国営放送の番組『赤い眼の少年冒険譚』である。
世界中に放送されている人気番組だ。
……コジリン殿は健気だな、あそこまで雷蛇殿に尽くすか?……
……いや、パーティーメンバーだったら当然だろ?俺達だって……
……え?雷蛇くん、かわいいっ……
……あのね、お兄ちゃんにほしいの……
……あれ、実話か?本当に異世界の話しか?……
……実話だろ?勇者がいただろ?……
……我々はコジリン親衛隊である……
……黒キノコ?怖ぇなぁ~あれ実在するのかよ?……
……マシンダガンの性能ヤベェ……
……でも閉所恐怖症って、何だよ!あれホントに四天王か!?……
……演出だ、演出!月世界はでまかせだ!……
そしてついに明かされる事実。
……え?ゴンザさんところの白黒ネコ?……
……は?違うだろ?……
……雷帝って獣人族だったのか!?……
……今、一瞬、映ったよな!?……
それは、雷蛇がナックルを装着した時だった。
……白黒ネコ!?……
……あのヌッコ!見たことあるぞ!……
それは一瞬の油断。
すぐに削除されたが、その時はライブ放送。
……いや、俺は見ていないぞ……
……ああ、大体白黒ネコと獣人は質量が違うだろ?……
……いや、獣人族の中には……
雷帝=白黒ネコの噂は、あっという間に若葉街全体に広がった。
……番組を差替えたな?……
パッと切り替わる画面。
……お、詩番組?おれ虹の詩姫のファンなんだぁ……
そう、番組は多種多様、軍事評論、バラエティ、吟遊詩人の詩番組、その他諸々。
まぁ、全て雷神王と一の賢者の趣味なのだが。
今では無数の放送番組があるのだ!
すべてスノーホワイト国製、スノーホワイト国に都合がいい番組ばかりである。
この映像受信機、他国にも貸し出し、今やスノーホワイト国の名は世界中に知れ渡っていた。
もちろん、レッドブーツ帝国にもここぞとばかり、大量に、しかも高画質のスペシャルを貸し出している。
そしてここは国境警備隊駐屯所。
「……副長、知っていたか?」
「いえ」
「………私は……どうしたらいい?」
それは副長に聞いたのか、自問自答なのか。
「あの白黒ネコ、雷帝だったのか……」
「違うのでは?ここは国王か一の賢者に確認をとったがよろしいかと」
「ゴンザ殿はやはり炎帝か……いや、それより……」
「どうされました?」
「ぐあ゛あ゛あ゛ああああああっ!」
「た、隊長!?」
頭を抱え込み、その場に崩れ落ちるエリ・ナリ隊長。
やっちまったあああああああ!
白黒ネコ!?
あいつぅ!雷帝だったのかああああああっ!
そう、エリ・ナリ隊長は怪我をした白黒ネコを治療している。
怪我の場所が……。
「ぐあ゛あ゛あ゛ああああああっ!」
「隊長!?しっかりしてくださいっ!どうされたのです!?」
「どーもこーもないっ!私はどうしたらいい!?嫁にいけるのかっ!?」
「はい?」
隊長は何を言っているのだと、頭上に巨大な『?』マークを浮かべる副長。
「……ネコを治療した」
「そうですか」
「その……大事なところが腫れ上がっていたのだ」
「?」
「そのままにしておけば、おそらく死んでしまうと判断した」
「それは……」
「そこでそいつの睾丸に薬を塗りたくった」
「こ!?」
「……」
ぽろぽろと涙を零し始めるエリ・ナリ隊長。
「わ、私は……どうすれば、よ、よかったのだ?……私は……ただ、可哀想なネコを助けようと……うっ……」
「……それが雷帝だったと?」
「もはや、添い遂げるしかあるまいっ!」
怒りと悲しみに塗れたエリ・ナリ隊長はそう宣言した。
そんなに深く考えなくても、ネコを助けただけだと割り切れないのだろうか?
しかし、わが隊長らしいアクシデントだ。
副長は笑いを必死にこらえた。
次回サブタイトルは 第109話 街の門 の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




