第102話 カブトムシ村長、祠にて
おはようございます。
投稿です。
「異界の戦士、勇者とやらの会話はどうであったか?」
「内容はご存じでは?」
相手は女神シュウ、見た目は勝気な女性に見えるが、それは見た目だけだ。
ノーマルモード・ユウバはその魔力の高さに圧倒される。
巨大な滝を下から見上げるような感じだろうか。
「ふん、どうであった?私の納める草原、虫達は?」
そう言って、一同を見回す。
眼に留った雷蛇は、そっとコジリンを大地に降ろすと、そのままコジリンの横に座り込む。
その両手には、ドワーフ一族が鍛えたナックル。
その様子を見ながらユウバが答える。
「草原は、良い世界だと思います、不調和もありますが、それはどこの世界でも同じでしょう」
「ああ、黒キノコか」
「敵意や悪意はもちろん存在しますが、希釈されているように感じます」
バトルモード・ユウバの素直な感想である。
「まぁ、殺気はこの世界では禁忌に通じる、殺意に対しては世界意思が働いて無力化されるからな、注意するがいい」
女神シュウの前に列ぶユウバ一行。
後から、ゾロゾロと追いついて来るドワーフ一族のメンバー。
「ん?おい、村長、メンバー増えていないか?ドワーフ一族の村長も混じっているが?」
「はい」
「それにその武具はなんだ?ドラゴナイトの加工は容易ではないぞ」
「はい」
何を思ったのか、雷蛇はネコバージョンに変態する。
素早くそれに対応するナックル。
「かあちゃん、凄いよ!ネコバージョンにもちゃんと対応している!」
ナックルは小さくなり、白黒ネコの手にぴったりフィットである。
その様子をじっと見ている女神シュウ。
「さすがはドラゴナイト、鍛えたのは村長か?」
「はい、ナックルは特に力を使いました」
「ありがとう!村長!」
人バージョンに戻った雷蛇が、ガツガツとナックルを両手でぶつけながら礼を言う。
「型、いいかな?かあちゃん、俺このナックル気に入った!」
「ああ、動いてみろ」
すっ、と姿勢良く構える雷蛇。
その立ち姿、足運び、に魅入る女神シュウと周囲の者達。
……なんという動きじゃ……
……リキミがない、脱力で舞っているぞ!……
……これは、いいモノを見せてもらった……
動く度に、ナックルから銀の魔力が溢れ出ている。
「見事だ、まるで舞いだな、そうだろカブトムシ村長」
「……」
「村長!?」
カブトムシ村長はその場にガクン、と倒れた。
あっという間に、その外骨格が白く変色し始める。
「……ここまで……か……」
ビキ、ピキッ、と亀裂が走り、関節が固まり始める。
「え?え?え?カ、カブトムシ村長!?」
慌てて駆け寄る雷蛇。
「……わ、若武者よ……よい……舞いであっ……ワシへ……手向け……か」
マシンダガン・ユウバが女神シュウを睨む。
「寿命か!?ど、どうにかできないのか?女神シュウ!女神であろう!この者達の守護者であろう!」
「……わ、私は万能では無い!寿命は変えられない」
バキンッ!
と、一際大きい音が響く!
頭部が割れ、背部に亀裂が走る!
「カラビン……ワシが死んだら……妻の横に……埋めてくれ……」
「……分かった」
ここで、ノーマルモード・ユウバは驚愕する。
先程の滝のような魔力を、軽く上回る隕石のような魔力が現われたからだ!
それは一瞬であり、気づいた者はノーマルだけである。
女神シュウですら見逃しているのだ。
女神シュウはカブトムシ村長に意識を向けすぎ、魔力に気がつかない。
「え?」
女神の顔に驚きが走る!
ぺろん。
「え?」
驚くカブトムシ村長。
「は?」
固まるカラビン村長。
なんと、カブトムシ村長は脱皮した。
外骨格が割れたのは、内側より溢れる魔力の影響。
そう、その魔力は全てを癒やそうと日々苦悩する魔力、聖女の魔力だ。
次回投稿は未定です。




