第94話 その感情は?
おはようございます。
投稿です。
お正月はバイトでした。
そう、今日もバイトです。
「その、あの二人、初心者に見えましたが?」
「……初心者?」
「はい」
「何の初心者?治療か?」
「いえ、キスの」
「……レイトル、君は表現がユニークだね。あれはキスと言うより、治療だよ、キスとしてはノーカン!」
「それであの二人、納得するでしょうか?」
「レイトル?キスに拘るけど、何かあるの?」
「いえ……いや、興味があります」
レイトルの遙か前方で展開されるドタバタ。
……心配させて!ベビィ、ほら!顔を拭きなさい!……
……お、俺よりもコジねぇを先に……
……
……なんかコジねぇぐったりしている!……あ、それより勇者のお兄ちゃんとゴーレムさんにお礼を!……
「興味?パーティーに?それともキスに?」
「ドワーフのコジリンさまや獣人族の血を引く雷蛇さまの感情に」
「感情に?」
「はい、感情を学習したいのです」
「学習してどうするの?」
「私はゴーレムです、マシンダガン・ユウバさまとボディは同じですが、彼女は人です、私は生粋のゴーレム」
「人になりたいと?」
「いえ、それは無理でしょう、私は人に近づきたいのです、(彼女に)寄り添いたいのです」
「……いま、小声で彼女とか何とか言わなかった?」
「気のせいでは?」
「レイトル、僕は君の中に封印されているから色々と機械音が……」
「ノイズです、雑音です」
「そのわりには、四天王の側だとエンジン音、高くなっていない?一の賢者の話によると、エンジン音は鼓動と同じとか」
「アイドリング調整です」
「いや、彼女との会話とかさ、油圧とか上がっていないか?油圧は血圧と同じらしいけど?」
「起動前のチェックです」
「……人の感情なんて、気まぐれで捉えどころがない、起伏が激しく学習には向いていないと思うよ」
「いえ、それなら尚更知りたいです」
「憧れか?その憧れだけで十分人に近いと思うよ、いや君は素直な分だけ人以上かも」
そこに雷蛇が走って来る。
「勇者のお兄ちゃん、レイトルさん、ありがとう!」
ピピッ、とレイトルが反応する。
静かに頭部が動き、雷蛇を捉える。
「いえ、礼には及びません、私は一の賢者、グランドマスターの命令に従ったまで」
「一の賢者?ああ、雷帝くんの記憶にあった!あのデカイおじいちゃん!」
「一の賢者をご存じでしたか」
「うん、デカくて格好いいおじいちゃんだよね!……どうしたの?」
勇者を見つめる雷蛇。
「もう一回言ってくれないか」
「デカくて格好いいおじいちゃん?」
「いや、その前、僕のこと」
「勇者のお兄ちゃん?」
「……君にお兄ちゃんと呼ばれるとは……」
「マスター、心拍数が上昇しているが?」
「感動しているのだ!あの雷帝が、僕のことをお兄ちゃんと呼ぶんだぜ!素直な綺麗な目で!」
「雷帝くんと仲悪かったの?」
「うーん、どうだろう?よくはなかったど、悪くもなかったよ。しかし素直にそだったな、育てたのは四天王か?」
その言葉にちょっと棘を感じ取る雷蛇。
「ええっ?なんだよ、勇者のお兄ちゃん!かあちゃんの悪口だったら、お兄ちゃんでも許さないからな!」
「いや、悪口じゃないよ、感心しているんだ、いいお母さんと巡り会ったね雷蛇」
「うん!俺の自慢のかあちゃん!」
その言葉を聞き、ユウバは口元を抑え俯いた。
(い、いかん!ニヤけ顔が止まらん!代われノーマル!)
《いやよ!わ、私だって口元が引き締まらないっ!》
その様子をじっと見ているレイトル。
レイトルは記録する。
この雷帝、雷蛇の存在が周囲を変え始めたのだ。
この者について、学習すれば人に近づくのではないか、と。
そしてそのレイトルを見つめる雷帝。
(グレイトールの後継機か、動きが似ているなぁ……俺を一生懸命異界で育ててくれたゴーレム、お前にまた助けられるとは)
今回はここまでです。
次回投稿は未定です。
年末年始、忙しすぎました。
温泉、行きたいなぁ。




