第80話 異変
おはようございます。
投稿です。
周囲に昆虫族が集まり始める。
食虫樹を3本も追い払ったのだ、もはや英雄扱いである。
「かあちゃん!コジねぇの兜お願いっ!」
ドシン!と音を立て、外される兜。
「コジねぇ、こんな重い兜、首とか痛くならないの!?」
雷蛇はその獣人族特有の力で、コジリンを軽々とお姫様抱っこする!
「ひゃっ!?あ、あの雷くんわ、私、その汚い……」
「聞こえん!」
そして雷蛇は微かに漂う硫黄の匂いに向って、飛ぶように走り出す!
ガツッ!
「うわっ!?」
「きゃっ!」
(おい、雷蛇!足下気をつけろ!コジねぇ抱っこしてるんだから!)
「う、うん」
しがみつくコジリン。
その大きなバストが雷蛇との間で押し潰される。
(……わざとじゃねーよな?)
(そんなことしなよ!オレ……僕はコジねぇが心配なだけだ!早く綺麗にしてあげたいだけだ!)
(そうだな、昆虫族に見られる前に何とかしようぜ!しかし珍しいな?躓くとは)
獣人族の血を引く雷蛇。
その運動神経、バランス感覚は超一流のはずなのだが。
そして見えてくる温泉。
川横に大きな石が積み重なり、湯気が立つていた。
「ん?」
そこには、無数の昆虫族が入浴中であった。
「……え?あそこに入るの?」
コジリン、青ざめていた顔色が、さらに青くなる。
(雷蛇、冷たいが小川の方にするか?)
(そうだね、雷帝くんコジねぇに聞いてみよう!)
(しかしこの昆虫族、食虫樹が3本も襲来したのに温泉か?)
(ん?)
(どうした雷蛇?)
よく見ると、皆怪我をしているようである。
触角の無い者、傷つき割れた外骨格、羽の無い者もいる。
どうやら湯治のようだ。
(……みんな怪我している?)
(湯治か?)
……おや、来られたか?……
……村長から聞いておる……
……ゆっくりされるといい……
……お嬢さん、遠慮なく身体を洗いなされ……
……これ、こういう時は何も言わず立ち去るのじゃ!……
ワラワラ!と岩場温泉から去ってしまう昆虫族。
雷蛇は、誰もいなくなった岩場の湯船を覗いてみる。
かなりの広さだが、水質が気になった。
「なんだ?この温泉は?」
温泉は、お湯というより、泥みたいなのだ。その湧き出る泥は多量で、常に小川に流れ込んでいる。
肌にはよさそうだが、飛び込むには少々勇気が必要である。
「コジねぇ、服は上流の小川で洗う」
「……え?電くんが?」
「パーティーの絆は家族と同等って知っている?」
「パンティ?」
「コジねぇ!パーティーだよぅ!」
「あわあわ……し、知らないわ……それ、四月世界のことば?」
「いや、二月世界の言葉だよ、歴戦の戦士が教えてくれた」
「ベビィ、いい言葉だな」
「あ、かあちゃん!」
「洗濯は私に任せろ、ベビィは周囲警戒だ」
が、コジリンはその手を放さなかった。
「……一緒に入って」
「はい?」
「底が見えない……虫がいるかもしれない……その……」
「こわい?」
こくこく。
全てが悲しくなり、涙を流すコジリン。
(どうする雷蛇?)
(コジねぇに従う)
即答する雷蛇。
「じゃ、僕が先に入るね、向こうを向いているからコジねぇ、ゆっくり入りなよ」
そう言って、白い衣を解除する雷蛇。
一瞬でマッパになり、桶を手にする。
「こっち、見ていて」
「え?監視?」
「……そう」
「かあちゃんじゃ、ダメ?」
「ダメ、恥ずかしい」
(オレならいいと?)
「でも……しっかりは見ないで」
(どないせ、いうねん!)
(雷帝くん、そう怒るなよ)
今回はここまでです。
次回投稿は明日の朝を予定しています。
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