第79話 それは面倒くさいか、可愛いか?
おはようございます。
投稿です。
ちょっと遅れました。
「従者コジリン?どうした?」
コジリンは座り込み、うっ、うっ、と泣いている。
嗚咽で肩が揺れ、ユウバが近づくと激しく否定した。
「こ、こ、こ、ここないでくださっ!うっ」
《あ、お漏らしか》
「戦いでは稀におきる、村長に小川か水場に……」
そこに駆けつける雷蛇。
戦いの疲れなど、微塵もない。
「コジねぇ!?」
「ベビィ、止まれ!ここまでだ!」
「え?かあちゃん?でもコジねぇが!」
ここでピンとくる雷蛇。
獣人族の血が雷蛇の足を止める、そう獣人族は鼻がいいのだ。
とんでもない嗅覚の持ち主。更に雷帝、雷蛇の本体は猫だ。
呪われている、と言われているが、その嗅覚は軽く人族を超える。
一の賢者や雷神王も同じく獣人族の血を引いているが、雷蛇ほどではない。
嬉しいとき、悲しいとき、怒っているとき、感情で人は体臭が変わる。
そう、口臭も変わる。
会話中、雷帝はその臭いを判断出来るのだが、あえて沈黙している。
それは、絶対に社外秘、表に出してはいけないとゴンザに言われているからだ。
……嫌われて、避けられますぞ!……
……そうなの?……
……この能力は決して口に出してはいけません、いいですな!……
獣人族にとって、体臭はとても大事で健康状態、緊張状態、記憶、感情、敵味方の区別、行動全てに関わってくるのだ。
雷帝や獣人族にとっては、この状態が日常なので気にしないが、周りは違う。
身近な例は猫や犬であろうか、彼らはふんふん、と鼻を近づけて匂いで判断する。
こいつはなんだ?安全か?と。
だから基本、どんなポーカーフェイスでも雷帝の前では通用しない。
発汗する生物は、全て判定する。
目の前のコジリンは、戸惑いと悲しさ、そして怒りの匂いだった。
(カミナリ、突然使ったから、俺に対する怒りかな?お漏らしするとは思わなかった)
雷帝が珍しく反省する。
(カミナリ、苦手な人多いよ、お漏らしはスルーしよう、誰だって触れられたくないよ!)
(案外、俺、嫌われ者かもなぁ)
……コジリン殿を助けるのが先ですぞ!パーフェクトではありませんな!……
「従者コジリン、気にするな……といっても無理か?四月世界でもよくあったことだ、大丈夫だ」
……恥ずかしいです……
それはとても小さな声。
「コジねぇ?」
「……うっ……うっ……」
顔色は悪く、小刻みに震えるコジリン。
「ベビィ、カブトムシ村長に身を整える場所を聞いてきておくれ」
「分かった!」
「い、行かないで!……うっ……」
「え?」
「ご、ご主人さま……うっ……雷くんが……いいです……」
おいおい、普通、ベビィの方を気にしないか?と、考える魔女回路。
〔従者、めんどい〕
ノーマルモード・ユウバも考える。
《え?私に対して恥ずかしいってことぉ!?ベビィはいいってどういうこと!?》
〔こやつ、ベビィに世話をさせるつもりか?ここいらの判断がこじらせの原因か?〕
そこにブウン、と羽音が響く。
「小川の横に温泉がありまする、そこを使いなされ!」
雷蛇はさっ、とコジリンの手を掴み「歩ける?」と優しく問い掛ける。
「……あ」
振りほどこうとした手は、力無く握り返された。
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第80話 異変 の予定です。
投稿は未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




