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赤い目の少年冒険譚 (2025.05)  作者: MAYAKO
第二章 五月世界

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第71話 居酒屋四天王2     

こんにちは。

投稿です。


 デカイ身体だけでも周囲を圧倒するイッカイ。

 その身体に刻まれている無数の傷痕も、イッカイが只者ではないことを物語っていた。


「意見?はい、この若葉街など、フッ、と一息で消えます、それ程の権力をお持ちの方じゃ、イッカイさん、王族には敬意を払って下され」


 盗掘、納税の件でも立場が危うい若葉街である。

 地下資源の無断採掘は泥棒であり犯罪だ。

 今はしていません、とは言ってもそれは今まではしていました、の言い換えでしかない。


 ここでゴンザも動いた。


「イッカイさん、あんたには街を助けてもらった恩がある、今も街の復興に力を貸してもらっている、だが流れ者のあんたは知らんかもしれんが、あのお方は国の一翼を支えているお方、敬意を」


 そう言って、一瞬ニャオ先生を見るゴンザ。

 すすっ、と一の賢者の前に進み出るニャオ・ミント。

 その間に入るマシンダガン・トッチ。

 ガードとして当然の動きである。


「私は村長ピノの娘ニャオ、一の賢者様、どうかあの者にお慈悲を」


 イッカイさん、不遜で討たれる、と思ったのだ。


「あの者、甚(はなは)だ不遜だが?」


「若葉街に必要な鬼族の方です、気性は荒く乱暴者ですが、心根は優しいお方です」


「心根?優しくは見えぬが?」


「子供や犬達が、後を追い慕(した)い離れません」


(ほう、我が孫は慕われておるのか?しかし鬼族?まぁあの体格に気性、鬼族と見られても仕方あるまい、ふふっ、ここらで納めるか)


「トッチ」


 一言だけマシンダガン・トッチに声を掛ける一の賢者。


「イッカイとやら、街の者に感謝しろ!」


 内心ヒヤヒヤで声を上げるトッチ。


(ひいいいっ!公務とはいえ後が怖いっす!公務ですからね、公・務・!そげな睨んだらだめっす!)


 が、ここでイッカイが動いた。

 ニャオ・ミントの前に進み出たのだ。


「希少種エルフ、あんた計算高いなぁ」


「そう見えましたか?」


「ああ、王族である一の賢者サマに意見など、そこのマシンダガンさまに斬られても文句は言えん、希少種だから斬られない、と思ったか?」


「はい」


 臆することなくイッカイと対峙するニャオ先生。


「ならば、俺の命を助ける代わりに、その身を差し出せと一の賢者さまが言ったら、どうした?」


「そうします」


「ほう、なぜ流れ者の俺にそこまでする?」


「あなたは一の賢者さまの医療ポットが来るまで、その魔力で多くの街人や子供、犬達に至るまで治療し助けてくれました。それだけでなく侵略者からも……」


 そう目の前のマシンダガン・トッチもその一人だったのだ。


「……あなたはこの街に必要な、英雄なのです」


 ここで笑い出したのが一の賢者である。


「ふふっ、英雄か、ならばそれに相応しい行動をとらぬとなぁ、イッカイとやら」


「チッ」


 ……だ、ダメですよイッカイさん!舌打ちなんて!……


「俺は流れ者イッカイ、作法を知らぬ。どうか許されよ一の賢者サマ!そして罪無き街の者に慈悲を!」


 バチバチで睨み合うイッカイと一の賢者。

 口では謝っているように見えるが、お互い殺気が凄まじい。


 が、ここで小さな拍手が湧いた。


 ぱちぱち!


「「!?」」


 驚くイッカイと一の賢者。

 しきりに手を叩いていたには子供達だった。


 ……イッカイさんカッケー!……

 ……しゃほうをしなぬ……おにやん、わたしもいっていみたい!……

 ……ごめんなさいがカッケー、おれもかあちゃんに言ってみたい!…… 


 笑い出す大人達。

 そして気が付き始める。


……おい、あの二人、なんか似てね?……


 街人1の声である。


 ……ああ、大きさ、雰囲気、そっくりじゃね?……


 街人2の声である。


 ……一の賢者さまのお顔、初めて見たが、イッカイさんに似てね?……


 街人その他大勢の声が上がり始めた。


 ……最初に映し出された国王様の影、イッカイさんに似てね?……


 ……おいおい、それこそ不遜だぞ!……


(ここの住人はバカか?あいつは国王、雷神王その人だぞ!)


 間者1の声。


(そしてこいつは武術の達人、大地を割る狂拳の持ち主。もう俺が間者だと気がついているはず……それでも見逃すということは、このシステムの情報を本国に持ち帰って広めろってところか?)


 四月世界が変わり始める。


 今回はここまでです。

次回投稿は明日の朝を予定しています。

毎回ご愛読ありがとうございます。


『赤い眼の少年冒険譚・番外編」


とある井戸端。

「イッカイさん、困ったもんだよ!」

「そうそう!」

「あん?どうかしましたか?」

 そこには若葉街のお母さん達が5、6人集まって、水を汲んでいた。

 さすがに人妻には手を出さないが、俺、何かしたか?

 などと不謹慎なことを一瞬思うイッカイ。

「あんたのあのセリフだよ!」

「?」

「うちの子、ご飯食べてるとき行儀が悪くてねぇ、よくこぼすんだよ!」

「?」

「注意したらさぁ、『俺は作法を知らぬ、許されよ』とか言って逃げるんだよ!」

「はぁ!?」

「うちの子は花瓶割ったとき、『わざとではない、罪なき我に慈悲を!』とか言うじゃない!」

「まさか、俺の口まねをしていると!?」

「そうなんだよ!」

「あんた子供達のヒーローなんだから、ちゃんとしておくれよ?」

「そうそう!うちのダンナもさぁ酒飲んで帰りが遅いとき『どうか許されよ我が妻よ』とか言うじゃない!」

「いや、それは俺に言われても!」

「で、イッカイさん、サダちゃんどう?いい子だよ、サダちゃん!」

「は?」

「この街に住みなよ!ここに根を下ろしなよ!」

いつの間にかいない参謀。

若葉街では、弟子ということになっているが消えている。

(あいつ、逃げたなっ!?)

視線を感じチラ見すると、そこには一の賢者が!

(おい、人気者だなぁ、イッカイさん?)

念話が直撃してくる。

(う、うるせぇ!くそじじぃ!う、羨ましいか?あん?)

(まぁ、ちょっとだけな)

誰もイッカイさんが雷神王とは知らない。

イッカイさんも自分が王であることを忘れがちな、今日この頃である。


*サダちゃんは次回、ちょっとだけ登場します*

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