第66話 止まらない
おはようございます。
投稿です。
「当分は止まらんじゃろ」
「そ、そうなのですか?」
突貫工事のような騒音が、そこかしこから響いている。
そして時折聞こえる罵声。
……ごらぁ、なめんじゃねぇぞ……
ドオオオッ!!
……これしきの蹴り、パーフェクトではありませんなぁ……
ヒュン!
珍しく動揺する参謀。
一の賢者はバラバラに砕けたスチーム王からデーターを抜き取っていた。
「ふむ、炎帝殿の太刀は凄まじいのう、殆どのデーターが飛んでおる。降魔の太刀と聞いたが……どれブラックボックスはどうかな?」
嬉々として周囲の機械を漁り始める一の賢者。
「懐かしいのう、一昔前まではこうやって機械を漁っておった。宝探しじゃ!ひひっ!」
「一の賢者、ここは少々危なくないですか?」
眼に見えない速さで、周囲の形が変わっていく!
天井は既に無く、空にはベーグル騎士団のゴーレムが飛び交っている。
ドゴオオンッ!
雷神王の蹴りは凄まじく、金属製の壁が凹み、裂かれ、砕けていく!
炎帝の斬撃は、その前にあるモノを全て紙のように斬り裂く!
……若を救おうと、命を落としていった者達……花を捧げよ、雷神王!……
炎帝の大太刀が唸る!
……花だと?はっ!何の意味がある!……
軽くいなす雷神王。
……死者に敬意を払え!……
……死者は沈黙だ!思い出に浸るなど、愚かな行為だ!俺には不要だ!……
「い、一の賢者、そろそろ止めないと……」
参謀は見て分かった。
明らかに炎帝は手加減している。
相手をしている雷神王も分かっているのであろう、どうもそれが気に入らず、バトルが止まらないのだ。
このまま進めば、いずれ雷神王は倒れる。
炎帝の要求は通らない、参謀は雷神王の性格をよく知っているのだ。
どっやって止める?誰が止める?
この二人を止める存在は?王子と姫か?
「お?このデーターは?おい参謀、地下に四天王リーダーが保管されている、回収に行くぞ、あいつ、生きておったか!」
そう言って徐に立ち上がる一の賢者。新しい実験材料だな、とか思い喜び勇んでいる。
「!?」
驚き慌てる参謀!今まさに雷神王の一撃が迫っていたのだ!
「賢者っ!」
参謀は叫んだが間に合わない!
「ん?なんだ参謀?」
ドオオオオオオオオオオンッ!
強烈な魔力の衝突音!
一瞬の出来事だった。
参謀は一の賢者の左腕が消えたのは見た。
(何があった!?)
吹っ飛んだのは雷神王。
だと思う。
参謀は周囲を探すが、湧き上がる粉塵で雷神王の姿も一の賢者の姿も見えない。
周囲は魔力の結界で、魔力感知が上手く働かないのだ。
おそらく一の賢者の仕業であろう、二人が存分に戦えるよう周囲から隔離しているようなのだが。
(これだけ破壊行為、肉眼でも分かる、この結界は意味が無いと思うが……ん?)
「ほう、なかなかの胆力、現役ですな」
感心する炎帝。
「いやぁ、これが精一杯ですじゃ」
「虚の実、見事な技ですな」
「ふふっ、炎帝殿からの賛美、心地よし!」
瓦礫の中からゆっくりと起き上がる雷神王。
「……ごらぁ、クソじじぃ!何しやがるっ!心地いいだとぉ!」
「炎帝殿、こんなヤツに認められても意味がない、それより聖女の方が大事だ」
「若が憐れで……一言物申したい」
「すまんのう、我が孫は死者より生きている人間の方が大事なのだ」
「王として当然であろう!」
「違う、心の腐った人間は、戦士の屍以下ぞ!」
「じじっ!それこそ詭弁だ!」
「異界に赴いたゴーレムは、グレイトール。赤子を助けにゲートに飛び込んだメイドは、見習いのレンデール」
「!」
「おい、クソガキ!見習いのレンデールは知っているか?まぁ散々遊びまくっていたお前だ。その中の一人、名前も知るまい」
「なんと、見習いに手をつけるとは……パーフェクトではありませんなぁ、酷いことを……一の賢者よ、ワシは若葉街へ戻る、店を開けねばならん」
太刀を納め、歩き出す炎帝。
「炎帝殿、ここの調査が終ったら、話しがある」
「?」
「女神グネが残した鏡、あれに雷帝殿が映るようになった」
「なんと!」
今回はここまでです。
次回投稿は未定です。
パソコンがちょっと不安定で、投稿時間が乱れていますがご容赦を。
バイトが忙しく、文章が進まないのもありますが。
毎回ご愛読ありがとうございます!




