第63話 村中にて
おはようございます。
ちょっと遅れました。
その村はお祭り状態だった。
「我々の歓迎だけではあるまい、これは女神さまを讃えるお祭りだな」
村を案内されるマシンダガン・ユウバ。
その横を緊張して付き従うコジリン。
大小様々な昆虫族が騒ぎ、ある者達は踊り、またある者達は歌っている。
「はい、女神さまの昇級は我らの生活に直結しておりますでなぁ」
先頭を歩くのはカブトムシ長老だ。
大きさは雷蛇と同じくらいである。
そっと小声でコジリンに話し掛ける、バトルモード・ユウバ。
(コジリン、大丈夫か?)
(はい、虫はもう怖くありません、嫌悪感はありますが……それよりも)
雷蛇である。
長老の周りをグルグル回ってジロジロ見ているのだ。
「その、雷くん、村長さまに向って失礼でしょう!」
「村長、カッケー!ねえねえ、クワガタタイプもいるの!?」
どやらカブトムシやクワガタが好きなようである。
「若人よ、向こうを見ろ、別タイプの昆虫族がいる」
「おおおっ!」
ビックリして声を上げる雷蛇。
そこには巨大な昆虫族が力比べをしていた。
「すげええっ!」
ドオオオッ、と音を立て大地に倒れる巨大なカナブンタイプの昆虫族!
……おおおおっ!……
歓声が沸き上がる!
どうやら投げられたら負けのようで、クワガタタイプの昆虫族が圧勝していた。
「か、か、か、かあちゃん!見ていい!?ちょっと見ていこうよ!」
「長老、かまわぬか?」
「はい」
そんな中、魔女回路は昆虫族の祭りを記録していく。
〔面白い文化、風俗じゃなぁ〕
出店が列び、食べ物が振舞われていた。
〔無料か?硬貨ではないな?物々交換か?〕
特に目を引いたのは、説教している女神である。
怒られているのはもちろん先程のバトルの相手、アゴロ達だ。
〔まぁ名乗りもしなかったのだ、あれでは話にならん。4月世界なら暗殺者と見なされ皆殺しだ〕
そして魔女回路の眼はコジリンを捉える。
〔恐怖はしておらぬ?波の金剛とやらの呪符は強力だな……ほう、コジリン、虫達の力比べを見て笑うか、これはもう4月世界の呪符の起源、間違いなかろう〕
雷蛇は雷蛇で、周囲の祭りに目を奪われながらも、すぐにコジリンの所に戻ってくる。
「コジねぇ、大丈夫?」
「だからもう大丈夫だって雷くん!」
「これ、蜂蜜と果物のジュースだって!もらったんだ!コジねぇ飲みなよ!おいしいよ!」
「あら、ありがとう!雷くん!」
渡された小さな木のコップ。
その飲み物はとても甘く、絶品であった。
「コジねぇ、おいしい?」
(ら、雷くん、ち、近いよ!それにその上目遣いダメッ!……ん?)
「おいしいわ!なにこれ!」
「だろ?あっちでもらったんだ!」
「ご主人さまも、お飲みになりますか?」
「私か?私としてはあそこの酒が気になる」
「かあちゃんはお酒か?もらってくるね!」
そう言ってコジリンからコップを受取り、また走り出す雷蛇。
「ベビィはここのお祭り、気に入ったようだな」
「はい、そのようですね……えっ!?」
……コジねぇ!まだ蜂蜜、残っているよ……
ゴクゴク、ベロベロ。
「!!!!!!!!!」
一瞬で真っ赤になるコジリン。
「ら、ら、雷くん!?」
「すまんな、コジリン、まだベビィの躾が……」
「はい!かあちゃん!これ、マタタビ酒だって!コジねぇはこっち!」
「ありがとう、雷くん……あの、あの、でもね雷くん、その、わた、私の飲みかけを飲むのはその……恥ずかしいというか……き、汚く感じないの?」
「え?もったいねーじゃん!それにコジねぇは汚くないよ?」
コジねぇは汚くない→コジねぇは綺麗で可愛い。
以上コジリン思考の流れ。
「ご、ご主人さま、わた、私、何か知らない世界が開けそうです!」
「……これ以上開かなくていいぞ」
草原の花のお祭りは、さらに賑わいを増していく。
今回はここまでです。
次回サブタイトル、投稿、未定です。
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