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Lord to Gloria  作者: 頭 垂
第三章 連なり合う
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手始めに!! 国を救って来い!!

「何かしたい奴とかいるか? どんなことでも、抽象的な案でもいいぞ」


グローリアがそう言うが、何か言おうとする人間はいない。

それもそうだろう。

最初の行動と言うのはグローリアが考えている以上に大事なものなのだ。その最初の行動如何によって今後の行動方針が決まったりもする。

それに、提案した場合、そのギルドが案を実行するための先頭に立たされる可能性が高い。

そんなリスクを背負いたくないと思うのも当然と言えば当然と言えた。

……この場合に限って言うと、何も案が思いつかないだけであったが。


「……良いか?」


沈黙を貫いていた宴が口を開く。

予想外のところから声が聞こえたので、この場にいる他の五人は宴のほうに視線を向ける。

宴が参加したことを歓迎するようにグローリアが笑いながら発言の続きを促す。


「……俺は、最初だからこそ派手に行動するべきだと考える」

「何でや? 最初に派手に動きすぎて、速攻潰されたらシャレにならんやろ?」

「……貴様の言は正しい。……だが、この場合は潰される危険を踏まえたうえで、派手に動くのが良いと俺は考える」

「理由を……聞いてもよろしいのですか?」

「……あぁ。……根本的に。……俺たち如きが連合として手を組んだところで、意味などない。……戦力としては、国どころか大規模ギルドとも張り合えはしない。……精々が大規模の中でも底辺のギルドとギリギリ渡り合えるってとこだろう」

「そうね。所詮、小規模ギルドがいくつか集まった程度。大規模ギルドには踏みつぶされる程度でしかない」

「……だからこそ、だ」

「てぇと?」

「……西には俺たちと同じように危機感を抱いているギルドがいくつかあると言うことだろう」

「……そういうことですか」

「頭えぇなぁ」

「正しいな」

「そうね。間違っていない」

「?? どゆこと?」


宴の考えにグローリアを含めた四人は納得したように首肯するが、たった一人チスパだけは理解できていないようで頭の上に疑問符を複数浮かべている。

宴の言っていることを簡単に行ってしまうと、こういうことになる。

グローリアたちは、東と北が同盟を組んだという知らせを聞いて連合を結成した。

その理由は何か?

簡単だ。西大陸には根本的に他の大陸と渡り合えるような戦力はないと言うのに、その中でも小規模ギルドである、自分たちではどうしようもないからだ。

もっと言ってしまえば、どれだけカスみたいな戦力しかなかったとしても、それなりの数を集めることが出来れば、それなりにわたり合うことが出来る。

西は南に次いで個としては強い。

ならば、圧倒的に足りていない数を多少なりと揃えればまだマシになる。

そのために何をすればいいのか?

これもまた簡単なことだ。

自分たちは連合を作った。仲間になりたいのなら、ただくたばるだけが嫌だと言うのなら、この旗の下に集え。共に戦おう。

こう周囲に喧伝するのだ。

そうすれば、心配性な弱小ギルドは勝手に集まるだろうと言うことだ。

それに、名と旗を掲げて功績をあげれば、人も集まりやすくなる。


「……ってぇことだ。理解したか、チスパ?」

「?」

「お前に期待したテメェが馬鹿だったよ。端的に言っちまうと、仲間を集めたい。集めるためには、目立たなきゃいかん。そのために、最初は派手なことをしよう。こういうことだ」

「……あ! わかった!」

「それは何よりだ」


チスパは噛み砕いた説明によって理解したと言うように、表情を明るくする。

ある条件下以外では脳みそが実に残念なことになる。

これがチスパの一番の特徴なのかもしれない。


「……だが、これにはひとつだけ問題がある」

「問題て?」


スペンサーが問い返すと、宴は静かに口を開く。


「……派手で、尚且つ名が売れる。……そんな都合のいい状況がそう簡単に転がっているはずもない」

「確かにそうですね。そんな都合のいい状況なんてありませんか」

「そうやね。それに、ここで躓いちったら、まずいことになるやろしなぁ。考えて動かなあかんってことか」

「……そう言うことだ」


宴も含めた五人は考え込んでしまう。

確かに、ここで出端をくじかれてしまっては今後の活動に支障をきたす。

だからと言って、タイミングを逃すわけにもいかない。

これ以上戦況が進んでからでは、どうしようもなくなる可能性だって低くはないのだから。

宴たちが考えている時、グローリアが一瞬だけ薄く笑んだ。

その笑みをグローリアは一瞬で隠してしまったので、他の五人から何か言われることはなかった。

だが、その笑みを付き合いの長いスペンサーや宴が見たらきっとこういったことだろう。

どんな馬鹿なことを思いついたんだ、と。


「……なぁ。派手なこと思いついたんだが……聞くか?」

「ん? お前がそんなこと言うなんて珍しいなぁ。いつも勝手に言うやろに」

「ですね。人の了解も何も聞かずに勝手に聞いてもいないことを話すことの方が多いじゃないですか。その逆に、何も答えないこともありますがね」

「そう言うな。テメェだって、改心したんだよ」

「嘘やな」

「嘘ですね」

「……ありえん」

「嘘だよ!」

「嘘ね」

「よし。お前ら、後で一回ずつシバくから覚悟しとけ」


五方向からほぼ同時に否定されたグローリアは、怒りからか青筋を立てている。

一度大きく息を吐くことによって、体の中にたまってしまった怒りを吐き出した後、もう一度口を開く。


「聞くってことで良いな。もう異論は聞かん」

「えぇで。好きに言いや」

「なら、遠慮なく。お前ら思い出せ」

「何をですか?」

「東にちょうどよく滅ぼされそうになっている国在ったよな。確か……《双翼》だったな」

「……それがどうした」


宴は聞き返してから、グローリアがどんなことを提案しようとしているのかを理解した。認識した。

ゆっくりと目を開けてグローリアのほうに視線を向けると、案の定宴の予想した通りの表情にグローリアはなっていた。

そう。面白い悪戯を考え付いた子供のような表情に。


「救おうぜ。名も売れるし、運が良ければ《双翼》もこの連合に組み込める。戦力増強にも売名にもちょうどよすぎるぐらいだ」


場の空気が一瞬だけ凍りつく。

それも当然の事だろう。

グローリアが言っているのは、数も力も大して揃っていない現状で、ちょうどよく滅ぼされかけている国があるから暇つぶしに救おうと言っているのだ。

冷静に考えて、正気での発言とは思えない。

戦力が揃っていないから、戦力をそろえなくてはいけないと言う話をしていたはずだ。

そのために派手なことをしようと言う話だった。

だが、今のグローリアの言ったことをしてしまうと、運がよければグローリアの言った通りに多大なメリットが生まれるだろう。

ただし、運が良ければ、だ。

悪ければ、最初の一歩目で連合が崩壊する可能性が少なくない。

こんな作戦……いや、作戦とも呼べないようなものを肯定する人間がまともであるはずがない。

そう。まともであるはずがないのだ。


「……面白いな」

「そうやな! 最初なんや。景気よくいかんとな!」

「楽しそうだね!」

「面白いです」

「そうね。それぐらいしなければね」


この場にまともな思考を持った人間などいるはずがなかった。

自分たちを守るために、確実に命が助かるであろうこと――強者に恭順することを良しとせず。

自らの自由が奪われるぐらいなら、勝てぬ戦いに挑もうとしているのがこの場にいる人間たちだ。

まともな思考などと言う面白くもないものを持っていては、そんな狂った思考に行きつくはずもない。こんな圧倒的に不利な状況を戦い抜けるはずもない。

要するに、この場にいるのは頭のおかしい者たち。それでよかったのだ。

そんな頭のおかしい人間たちが、グローリアの狂った作戦を否定するはずもなかった。


大好きなんですよね。血界戦線が。

アニメでハマって原作は全部即買いしました。


漢字あってるかな?

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