↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モニカ・ハーマン物語~虐げられた伯爵令嬢は、亡き母の秘密と金環眼に導かれて  作者: 紅しょうが


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/78

第71話 学園祭の日

学園祭当日。


朝から王立学園は、いつもとは違う賑わいに包まれていた。


校門には色とりどりの飾りが施され、普段は見かけない生徒の家族や街の人々も、次々と学園へ入っていく。


モニカは玄関の鏡の前で、眼鏡の位置をそっと直した。


「……大丈夫」


昨日、父のダンテから渡された眼鏡。


金環眼を隠すためのものだ。


人の多い今日なら、きっと役に立ってくれる。


「お嬢様、お迎えの馬車が来ております」


使用人の声が聞こえ、モニカは鞄を手に取った。


「はい」


玄関へ向かうと、ダンテが待っていた。


「準備はできたか?」


「はい、お父様」


「眼鏡も問題なさそうだな」


「はい。昨日より少し慣れました」


モニカが微笑む。


ダンテも穏やかな表情で頷いた。


「今日は楽しんでおいで」


「ありがとうございます」


二人は馬車に乗り、学園へ向かった。


◇


学園に到着すると、校門の前にはたくさんの人が集まっていた。


「すごい……」


モニカは思わず声を漏らした。


いつも通っている学園なのに、今日はまるで別の場所のように感じる。


「モニカ!」


聞き慣れた声がして、振り返る。


リリアがこちらへ駆けてきた。


「おはよう!」


「おはよう、リリア」


「今日は人が多いね!」


リリアは周囲を見回しながら笑った。


「迷子にならないように、ちゃんと一緒に行こうね」


「ふふ、そうね」


二人は笑いながら、並んで校舎へ向かった。


その時、リリアがモニカの後ろへ視線を向けた。


「あら?」


そこにはダンテが立っていた。


「今日はお父様も来てくださったのね」


「はい。学園祭を見に来てくださるそうです」


「良かったね、モニカ」


モニカは嬉しそうに頷いた。


すると――。


「お嬢様……」


聞き覚えのある声がした。


モニカが振り返る。


そこにはシルビーが立っていた。


十年前まで、自分の乳母だった女性。


そして、最近になって再び出会った大切な人。


「シルビー……」


「本日は、お招きいただきありがとうございます」


シルビーは丁寧に頭を下げた。


「来てくれて……嬉しいわ」


モニカも微笑む。


まだ再会してから、それほど時間は経っていない。


十年間離れていた二人が、昔のようにすぐ話せるわけではない。


けれど、こうして自分の学園へ来てもらえたことが、モニカには嬉しかった。


「シルビー、こちらは私の親友のリリアです」


「初めまして」


リリアが頭を下げる。


「初めまして、リリア様」


「様なんていりませんよ。モニカの親友ですから」


シルビーは少し驚いたように目を瞬かせ、それから柔らかく微笑んだ。


「そうですか。それは心強いですね」


「はい!」


リリアが元気よく答える。


その様子を見ていたダンテが口を開いた。


「シルビー。今日はモニカをよろしく頼む」


「はい、旦那様」


シルビーは頷いた。


「ですが、本日は私がお嬢様のお世話をするというより……学園祭を楽しむお嬢様を、ゆっくり見させていただこうと思っております」


「……シルビー」


モニカは少し照れたように笑った。


「私、今日はいっぱい楽しみたいと思っています」


「それが一番でございます」


シルビーは嬉しそうに微笑んだ。


その時、近くにいた生徒たちの会話が聞こえてきた。


「ねえ、そういえば……アダム様はいないの?」


「そういえば見かけないわね」


「学園祭には来ると思っていたのに」


「帝国へ戻られたんじゃない?」


「残念ね。お姿を見られると思っていたのに」


モニカはその会話に気づき、そちらへ目を向けた。


「アダム様……」


「そういえば、アダム様は帝国へ戻られているんだったね」


リリアが言った。


「ええ。きっと帝国でお忙しいのでしょう」


モニカはそれだけ答えた。


「さて!」


リリアが手を叩く。


「私たちも行かないと!」


「そうね」


モニカは頷いた。


「お父様、シルビー。終わったら、またここで会いましょう」


「ああ」


「はい、お待ちしております」


二人に見送られ、モニカとリリアは校舎へ向かった。


教室に入ると、すでにクラスメイトたちがそれぞれの持ち場についていた。


教室は綺麗に飾り付けられ、準備もすべて整っている。


「モニカ、来た!」


「ごめんなさい」


「大丈夫。もうすぐ始まるよ!」


「うん!」


モニカはリリアの隣に並んだ。


そして――。


「それでは、始めます!」


クラスメイトの声とともに、学園祭が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。