第38話 初めての友達
しばらく二人でランチを楽しんでいると、リリアがふと思い出したように口を開いた。
「そういえば、モニカさん」
「はい?」
「今回のテスト、二位だったでしょう?」
「……はい」
「どうやって勉強したの?」
モニカは少し考えた。
「分からないところを、そのままにしないようにしました」
「それだけ?」
「はい。先生に質問したり、何度も解いたりしました」
「何度も?」
「分かるようになるまで」
リリアは目を丸くした。
「すごいわ……」
「そんなことないです」
「あるわよ。私なら途中で嫌になっちゃうもの」
モニカは少し笑った。
「私も、前はそうでした」
「え?」
「でも、分からなかったことが分かるようになると……楽しくなってきたんです」
リリアはモニカを見つめた。
「だから頑張れたの?」
「はい」
「なるほど……」
リリアは少し考えてから、嬉しそうに笑った。
「じゃあ、今度一緒に勉強してもいい?」
「もちろんです」
「本当?」
「はい」
「やった!」
リリアが嬉しそうに笑う。
モニカも、つられて笑った。
やがて昼休み終了の鐘が鳴る。
「あら、もう時間ね」
「戻りましょう」
二人はランチボックスを片付け、ベンチから立ち上がった。
「明日も一緒にお昼を食べましょうね」
「はい、リリアさん」
二人は並んで教室へ戻っていった。
◇◇◇
その日の帰宅後。
モニカは夕食を終えると、執務室へ向かった。
「お父様」
「モニカか。どうした?」
ダンテが顔を上げる。
モニカは少しだけ緊張した。
けれど、すぐに笑顔になる。
「今日、学園で……友達ができました」
「……友達?」
ダンテの手が止まった。
「はい」
「そうか……」
ダンテの顔に、驚きと嬉しさが浮かぶ。
「どんな子なんだ?」
「リリアさんという方です」
「リリア嬢か」
「はい。一緒にお昼を食べました」
「そうか」
ダンテは嬉しそうに頷いた。
「それは良かったな」
「……はい」
モニカも笑った。
「明日も一緒にお昼を食べる約束をしました」
「そうか」
ダンテは娘の笑顔を見つめた。
「友達ができて、本当に良かったな」
「……はい」
モニカは少し照れながら頷いた。
「私も……嬉しいです」
ダンテは微笑んだ。
少しずつ。
本当に少しずつ。
父と娘の間に、これまでなかった時間が増えていく。
十年間を埋めることはできなくても――。
これから二人で作っていける時間は、まだたくさん残されている。




