表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも私が死んだなら、あなたは後悔してくれますか?  作者: 迦陵れん
第三章 半年後

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
88/107

セルディオの期待

 その日の僕は、少し体調を崩していた。


 けれど、不思議と気分は悪くなかった。


 むしろ胸の内は、これまでにないほど晴れやかだった。


 というのも、結婚してから今日まで、ニーナが毎日欠かさず僕のために薬湯を作ってくれていたことを、つい先ほど知ったからだ。


 先日、僕はニーナに離縁を切り出し、反省を促すつもりで彼女を突き放した。


 それ以来、彼女は部屋から出てこなくなり、薬湯も僕のもとへ届かなくなった。


 最初は特に気にも留めていなかった。


 だが日を追うごとに疲れが抜けなくなり、頭は重く、身体のだるさまで感じるようになってきた。


 さすがにおかしいと思い厨房へ尋ねると、そこで初めて真実を知ったのだ。


 毎朝、ニーナが僕のその日の体調を見極め、それに合わせて薬湯を煎じてくれていたのだと。


 今はその薬湯が届かなくなったからこそ、抑えられていた身体の不調が一気に表へ出てきたのだろう、と。


 胸が締めつけられた。


 あれほど冷たく接していた僕のために、ニーナは何一つ文句も言わず、毎日そんなことを続けてくれていたのか。


 何も知らなかった僕は、先日ニーナへ浴びせた言葉を心の底から悔いた。


 彼女は、ちゃんと行動で想いを伝えてくれていた。


 それなのに僕は、「愛している」と口にしてくれなかったという、それだけの理由で彼女を責め立ててしまった。


 もし、この事実をもっと早く知っていたなら──。


 僕は決して、あんな酷い言葉を彼女へぶつけたりはしなかったのに。


 今日こそは謝ろう。


 先日ぶつけてしまった酷い言葉を謝って、離縁などという話は、感情に任せて口走ってしまっただけなのだと正直に伝えよう。


 それからリンカのことも話さなければ。


 君の気を引きたくて、わざと親しくしているように振る舞っていただけだったと。


 身体の関係など何もないのだと──嘘をつこう。


 罪悪感はあった。


 けれど今は、ニーナを安心させることの方が大切だと思った。


 そうすれば、きっと彼女は僕を信じてくれる。


 もう二度と不安になどさせない。


 これからはニーナだけを大切にする。


 他の女に目を向けることもしない。


 リンカは……そうだ。ニーナの目に触れないよう、別棟で暮らさせればいい。


 それで全て丸く収まるはずだ。


 僕達は、もう一度夫婦として歩き始められる。


 一からやり直せばいい。


 僕達なら、まだ間に合う。


 だって僕もニーナも、誰より深く、お互いを愛し合っているのだから。


 僕は軽やかな足取りで、ニーナの部屋へ向かった。


 今日は当然、リンカは連れてきていない。


 ニーナとやり直そうとしているのに、愛人を伴って彼女のもとを訪れるなど、言語道断だからだ。


 あの日、離縁というあまりにも残酷な言葉を突きつけられてから、ニーナはずっと部屋へ閉じこもっている。


 きっと、あの一言がそれほどまでに彼女を傷つけてしまったのだろう。


 でも、もう心配はいらない。


 僕がちゃんと謝る。


 誤解も解いて、もう二度と不安になんてさせない。


 だから大丈夫。


 これからは、あの日の出来事が夢だったのではないかと思えるくらい、また君を幸せにしてあげるからね。















 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ