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もしも私が死んだなら、あなたは後悔してくれますか?  作者: 迦陵れん
第三章 半年後

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リンカの不満

 全然、全く、思い通りにならないわ……。


 セルディオに与えられた部屋のベッドへ寝転がり、アタシは大きくため息を吐いた。


 奥様に嘘を吹き込んだところまでは完璧だった。


 あの時の、今にも壊れてしまいそうなくらい傷ついた顔。


 思い出すだけで笑みがこぼれる。


 我ながら、あれは最高の一手だった。


 なのに、その後がまるで上手くいかない。


 あれだけ毎日のように奥様の部屋へ通っていたのに、あの日を境に一歩も中へ入れてもらえなくなってしまった。


 原因は、リシテア。


「お子を身篭られた大切なお身体である貴方様に、奥様のご病気が伝染っては大変ですので」


 そんなもっともらしいことを言って、毎回アタシを門前払い。


 ……どうせ建前でしょ。


 本当は、アタシを奥様に近づけたくないだけ。


 あの女、絶対にアタシを警戒してる。


 しかも最近は、奥様のところへ頻繁に出入りしているクソガキまでいる。


 あいつも本当に生意気。


 年上のアタシに対して、敬うどころか偉そうな態度しか取らない。


「ニーナさんに近づくな! あんたの性格の悪さが伝染ったら大変だからな」


 なんて言って。


 何様のつもりよ。


 公爵家の権力で今すぐ捻り潰してやりたいくらい、腹の立つガキだった。


 だけど、アタシはただの居候みたいなもの。


 セルディオの責任感だけで屋敷に置いてもらっている、契約上の愛人でしかない。


 だから悔しくても、あいつらに手を出すことはできない。


 もし自由にできる立場だったら、あのクソガキなんて今すぐ屋敷から叩き出してやるのに。


 何もできない自分が、たまらなく腹立たしかった。


 ……けれど。


 そんなことは、まだ序の口。


 一番アタシの思い通りにならないのは、セルディオだった。


 男なんて、一度でも関係を持てば情が移るもの。


 そのままズルズルと離れられなくなる──そう聞いていた。


 なのに、あの人は違う。


 むしろアタシに触れてしまった自分を嫌悪しているみたいに、露骨に顔をしかめて距離を取る。


 泣きながら縋りつけば、面倒くさそうに慰めてはくれる。


 けれど、それだけ。


 それ以上、踏み込ませてはくれない。


 距離を縮めようとすれば拒まれ、強引に近づけば突き放される。


 まるでアタシが疫病神か何かみたいな扱い。


 あの夜のことだって、覚えているはずなのに。


 都合よく忘れたふりなんかして、本当に腹が立つ。


 ……でも。


 アタシは諦めない。


 一度手に入れたものを、簡単に手放す気なんてない。


 セルディオがアタシだけを見るようになるまで。


 セルディオの心が完全にアタシへ傾く、その日まで──何度でも食らいついてやる。









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