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もしも私が死んだなら、あなたは後悔してくれますか?  作者: 迦陵れん
第二章 現在

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未練

 どうしよう、どうしたらいいの。


 セルディオ様に嫌われてしまった。


 今までも冷たくあしらわれてはきたけれど、あんなふうに「さよなら」なんて言われたことは、一度もなかった。


 どうしていいのか分からず、ぎゅっと胸元を押さえる。


 私はただ……セルディオ様とリンカ様のことを聞きたくなかっただけなのに。


 私が病にかかり、彼との閨を拒むようになってからというもの、浮気を疑われていただなんて、思ってもみなかった。


 公爵家お抱えの医師も、私の体調不良を認めてくれていたから、当然セルディオ様も信じてくださっているものだと思っていた。


 なのに実際は違った。


 セルディオ様は、ずっと苦しんでいたのだ。


 理由も告げられないまま私に拒まれ続け、信じたい気持ちと疑う気持ちの狭間で、たった一人、傷ついていた。


「当然よね……」


 それまで毎日のように愛し合っていたにも関わらず、ある日突然“体調不良”になって、愛し合うことができなくなった。


 一体どこが悪いのか、どんな風に悪いのか、知らされることは何もなく、ただ『体調不良』とだけ言われて──。


 そんな状態が何ヶ月も続けば、疑いたくなっても無理はない。


 私だって、もし逆の立場だったとしたなら、きっとセルディオ様の浮気を疑っただろう。


 そんな事に、なぜ今まで気づけなかったのか。


 本当のことを話していれば、何か変わっていたのだろうか。


 病のことを打ち明けていれば、セルディオ様は信じてくれただろうか。


 けれど──。


 もし病のことを知ったセルディオ様が、同情から優しくしてくれたのだとしたら。


 もし、子どもを望めないかもしれない私を、責任感だけで傍に置こうとしたのだとしたら。


 そう思うと、どうしても言い出せなかった。


 嫌われるくらいなら、一人で耐えた方がいい。


 ずっと、そう思っていたはずなのに。


 結果は──こうだ。


 結局嫌われ、さよならまで告げられてしまった。


 離縁だけは免れることができたけれど。私のことを愛しているからじゃない。


 社交界の醜聞になるのが嫌だから──ただ、それだけ。


「嫌……」


 震える唇から、か細い声がこぼれた。


「嫌よ……セルディオ様……」


 胸の奥が、ぎゅうっと締めつけられる。


 苦しくて、痛くて、息ができない。


 もう二度と、あの人は私の名前を呼んでくれないかもしれない。


 私のことを、見つめてくれないかもしれない。


 そう思っただけで、視界が滲んだ。


 私はようやく気づいてしまった。


 どれほど拒まれても、冷たくされても。


 それでも私は──セルディオ様のことを、諦めきれずにいたのだと。









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