表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも私が死んだなら、あなたは後悔してくれますか?  作者: 迦陵れん
第二章 現在

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/72

セルディオの疑念 2

 いや、待て。


 本当に矛盾しているのだろうか。


 もしニーナが僕との関係を完全に終わらせるつもりだったのなら、そもそも昨夜の誘いを受ける必要などなかったはずだ。


 体調が悪いと断れば、それで済んだ話なのだから。


 それなのに、ニーナは受け入れた。


 不安そうな顔をしながらも。困ったように眉を下げながらも。


 それでも最後には頷いたのだ。


「まさか……」


 胸の奥で、ひとつの考えが形になっていく。


 ニーナは僕を待っていた。それは間違いない。


 だが、それは必ずしも僕を求めていたという意味ではないのではないか。


 昨夜のニーナは、どこか様子がおかしかった。


 緊張していた。覚悟を決めたような顔をしていた。


 まるで何か重大な話を切り出そうとしている人間のように。


「まさか……」


 背筋に冷たいものが走る。


 ニーナは、他の男のことを僕に告白するつもりだったのではないか。


 二人きりになった時点で。夫婦として最後の夜を過ごした後で。


 改めて胸の内を打ち明けるつもりだったのでは──。


「……あり得るな」


 顎に手をやり、ポツリと呟く。

 

 最早、それしか考えられなかった。


 最後に僕にいい思いをさせておいて、その後で奈落に突き落とすつもりだったなんて……。


 別れを切り出しやすくするためか。


 それとも、罪悪感を少しでも軽くするためか。


「ニーナにしては、随分と残酷なことを考えるじゃないか……」


 そんな屈辱を、この僕に味わわせるつもりだったなんて。


 元々、ニーナが僕との閨を断り始めた時から、彼女の浮気を疑っていた。


 当然だ。


 それまで僕に従順であった彼女が、その日を境に頑なに僕を拒むようになったのだから。


 他の男といつ出会ったのか。僕を拒むようになったきっかけは何だったのか。


 何一つ分からない。


 だが、一つだけははっきりしていた。


 ニーナの意思は固かった。


 僕がどれだけ気を遣っても。どれだけ我慢しても。


 ニーナは一度たりとも僕を受け入れようとはしなかった。


 だからこそ、僕は確信したのだ。


 あの頑なさには、体調不良だけでは説明のつかない理由があるのだと。


 だからこそ僕は、そっちがその気ならこっちもやり返してやろうと、愛人として利用できそうな令嬢を調べ上げ、リンカへと近づいた。


 愛する者に浮気される辛さを、ニーナに教えてやろうと思って。


 嫉妬する時の胸の痛みを、ニーナにも味わわせてやろうと思って。


 そうすれば、ニーナも分かるはずだ。


 僕がどれだけ傷ついたのか。


 僕がどれだけ苦しんだのか。


 そして最後には気づくだろう。自分には僕しかいないのだと。


 屋敷の中でも幸せなんて感じさせてやらない。


 ニーナが僕以外を愛するというのなら、とことんまで冷たくして居場所をなくしてやろうと思った。


 僕以外の男と別れて、僕に縋りついてくるように。


 学園にいた頃のように、ニーナは僕だけを見ていればいい。


 僕だけが頼れる人間なのだと、もう一度教えてやらなければ。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ