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もしも私が死んだなら、あなたは後悔してくれますか?  作者: 迦陵れん
第二章 現在

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衝撃

 ドクン、ドクン、ドクン──。


 心臓が、大きく脈打つのを感じる。


 数ヶ月ぶりとなるセルディオ様との夫婦の営みを前にして、私は緊張のあまり胸が張り裂けそうになっていた。


 駄目よ、こんなんじゃ。もっと気持ちを落ち着けなくては……。


 ただでさえ緊張やストレスは心臓に悪いと言われているのに、これでは自分から悪化させにいっているようなものだ。


 もっとセルディオ様と一緒にいるためにも、少しでも長生きするためにも、もっと自分でコントロールできるようにしなければ──。


 そう思い、気合を入れ直していた時だった。


「……奥様、失礼致します」


 控えめなノックの音が聞こえ、外からリシテアの声がした。


「どうしたの?」


 これから夫婦の寝室で何が起こるか知っているリシテアが、こんな風に訪ねてくるのはおかしい。上着を羽織って扉を開けると、彼女はとても辛そうな表情をしていた。


「リシテア……?」


 とりあえず彼女を部屋に招き入れ、近くのソファに腰掛ける。


 その上で訪ねてきた理由を聞くと、彼女は衝撃の一言を口にした。


「リンカ様が……突然旦那様を訪ねていらっしゃいました」

「えっ……」


 一瞬、言葉の意味が理解できなかった。


 どうして今なの?


 まるで狙いすましていたかのように、私達が久しぶりに身体を合わせるという、この日に。リンカ様が、屋敷へといらっしゃったですって?


 ようやく訪れた機会だった。


 もう一度セルディオ様と夫婦として向き合えるかもしれない、そう願っていたのに。


 胸の奥がひやりと冷える。


 嫌な予感がした。


「それで……セルディオ様は?」


 恐る恐る尋ねると、リシテアは唇を噛み締めながら答えた。


「現在は応接室でお話しされております」

「そう……」


 安堵と不安が入り混じる。


 まだ寝室へ来る前だったことにはほっとした。


 けれど、リンカ様がわざわざ夜更けに訪ねてきた理由が分からない。


 そして何より──。


 今まで何度も見てきた光景が、脳裏をよぎってしまった。


 セルディオ様が、リンカ様に向ける優しい眼差しが。


 私を無視して、リンカ様だけを見つめる様子が。


「…………っ!」


 胸が痛い。


 まるで心臓を直接握り潰されているかのような激痛に、思わず息を呑む。


 ここ数日は比較的落ち着いていたはずなのに。


 リンカ様のことを考えただけで、身体はこうして悲鳴を上げてしまう。


「っ……う、ぁ……」


 情けない。


 私はこんなにも弱い女だっただろうか?


 愛する人の心が自分から離れたというだけで、こんなにも……。


「奥様……!」


 急激に目の前が暗くなる。


 リシテアが慌てて肩を支えてくれたものの、私は体勢を立て直すことができなかった。












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