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82話 寝る時名物な件

目指せ!100話までに100pt以上!(10000pv達成!!)


次の目標 150話までに30000pv以上&300pt以上

☆

 「よーし。行くぞ」


 「はーい」「わかったわ!」「うい」「おう!」


 ………。


 何人か被ってはいるが、ここまで統一感がないもんかね。

 

 「エルン。何に乗ってその……ナイトメア星系まで行くんだ?」


 エリカの疑問はもっともだ。


 俺がそう簡単にラムラダ等の超兵器を見せるわけないからな。


 「ああ、これで行く」


 俺が指を指した先にあったもの。


 それは、アルプトラウムにある元レンツの魔導フリゲートの1隻だ。


 俺が「一週間後」に集合をかけたのは、この船を待つためだったのだ。


 「何これ!この私が、こんなショボい船に乗らなきゃいけないの!」


 「なら、ついて来なければいいじゃん」


 「何ですって!」


 だってそうじゃん。


 本当は連れて行きたくなかったのに連れて行くんだから、文句を言わないでくれ。


 「殿!お待ちしておりました」


 フリゲートから出て来たのは、もちろん元レンツ兵。


 そのはずなのだが……。


 「何で俺のことを『殿』って呼ぶんだ?」


 この呼び方は、ヤワチ人しかしないはずなのだが。


 元レンツ兵なので、アイオワの「同志」呼びが感染るならわかる。


 なぜ「殿」なんだ?


 「それはですね。この前、子爵の呼び方を決める領民投票がありまして、その結果『殿』になったからです」


 「それは1人一票?」


 「もちろんです」


 …………。


 それ、あれだろ。


 ヤワチ人の人口が約100万で元レンツ兵が5万だから、マンパワーでそうなっただけだろ。


 「ふーん。他にどんな呼び方が候補にあがったんだ?」


 「そうですね。『若』、『男爵』、『子爵』、『エルンちゃん』、『解放者』、『神』あたりがそこそこ票を稼いでましたね」


 「若」はわかる。


 俺は若いし、一応ヤワチ人の王族だからな。


 「男爵」「子爵」は、まあ、爵位で呼ばれるって考えたら違和感はない。


 実際、国王からは時々爵位で呼ばれるからな。


 俺の爵位が変わったらどうすんの、っていうツッコミはあるんだけど。


 「エルンちゃん」は………お袋の案だろうな。


 票が集まった理由はあれだろ。


 お袋がオオエドで宣伝でもしたんだろ。


 「解放者」に「神」?


 それは、強いて言うなら、肩書きじゃないか?


 ふざけてる?


 街でそう呼ばれる俺の気持ちにもなってみろ。


 超恥ずかしいわ。


 「エルンちゃん」も大概だが。


 これらに投票しなかった領民に感謝である。


☆

 「なあ、エルン………。流石に……ベッドが狭すぎやしないか?」


 わかるぞニック。


 俺も今、思っていたところだ。


 コルベットは前衛艦。


 小さい船体に航行石だの魔法陣だのをなるべく大量に詰めるのだ。


 寝場所が狭いのは当然か。


 でも、ここまで狭いもんかね。


 感覚的には、前世で海自の退役済みの潜水艦に入る機会があったのだが、そこのベッドに似ている。


 悪い夢でも見て飛び起きたら、頭を強打しそうなレベルだ。


 「そうかな。俺らからしたら、これぐらい大丈夫なんだけど」


 「うんうん」


 本当に三男坊ズはたくましいな。


 「師匠!これでは、寝る前にベッドで剣を振れないじゃないか!」


 「普通は振らないでしょ」


 そんな、「寝る前に本を読む」みたいな感覚で言われてもねぇ。


 「なあ、エルン」


 「ん?どうした、ハンス?」


 「お前は、誰が好きなんだ?」


 学園の友達が集まって寝る時名物、恋バナ。


 修学旅行か?


 コイツらにとっては旅行ではあるか。


 俺にとっては帰宅だけど。


 前世の修学旅行で、同じ部屋だった奴に恋バナをされたことがある。


 あの時の空気は最悪だったな。


 急にそいつが泣きだすし。


 俺はそいつを宥めるのに必死だったな。


 そいつの言いたいことを真正面から聞き続けた結果、朝の4時まで起きてたっけ。


 で、そいつは次の日に告白しに行って、見事に玉砕してたっけ。


 ちなみに、その時に俺の好きな女子を聞かれた。


 俺は、「いない」と答えた。


 これは、本音である。


 間違えないで欲しいのだが、俺はアッチ側ではない。


 ただただ、人間というものに興味が無かったのである。


 何で、俺の時間を縛られなければいけない?


 何で、誰かを愛さなければいけない?


 誰かから好意を受けるのは構わない。


 俺が好意を持つ必要はないからな。


 俺は、生物としては欠陥だった。

 

 遺伝子を残す気がなかったんだから。


 それは、この世界でも同じである。


 「好きな人なんていないよ」


 「私は剣が強い人が好きだ!」


 そうか、ストック。


 なら、サーシャあたりがいいんじゃないか?


 めちゃめちゃ強いぞ?


 「僕は……王国の役に立つ人間なら誰でも……」


 「真面目かよ」


 おっと、声に出てしまった。


 「ああ、悪いか?……王族に生まれたからには、自由な恋愛なんて……できるわけないしな」


 確かに。


 基本、国王にとって、子供たちは王国のための道具だからな。


 「おい、ハンス。お前が聞いたんだから、お前も言えよ?」


 「俺は…………。うーん。好きになったところで、身分が釣り合わない人ばっかりだから、なるべく考えないようにしてる」


 「そうか……」

 

 意志を抑えるのは辛いからな。


 考えないようにするのは合理的か。


 上から聞こえるカイルの寝息を聞きながら、俺は眠りについた。


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