81話 二年生の夏休みな件
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☆
何やかんやで、1学期が終わってしまった。
え?
急だって?
仕方ないだろ。
特に何もなかったんだから。
強いてあげるとしたら……何かあったっけ?
ああ、そうそう。
学園の生徒が50人くらい退学になった事かな。
そして、退学になった生徒は殺されたらしい。
その生徒たちには、ある共通点があった。
ナイトメア星系に侵攻した貴族家だったという事だ。
お分かりだろう?
恐らく、国王の仕業である。
あの後、国王はナイトメア星系に侵攻した貴族家の人間を全員平民落ちさせた。
すると、あることが起こる。
今まで貴族校舎にいた生徒の幾らかは、平民であり、特待生でないにも関わらず、貴族校舎に居ることになってしまった。
これが、彼らが退学になった要因である。
でもな。
彼らを殺した理由がわからない。
元貴族のガキくらい、放っておいてもいいだろう?
よっぽどカリスマ性がない限り、王国に歯向かうだけの勢力を築けないだろうし。
……1つ無くはないと思ったことがある。
俺の安全を保つためである。
俺は侵攻された側とはいえ、彼らの当主を殺した。
また、見方によっては、俺のせいで平民落ちしたともいえる。
俺が負けてたら、彼らはそのまま貴族家の人間だっただろうからな。
当然、俺への恨みはある。
もし、国王がその事を考えて彼らを殺したのなら、感謝しなければならない。
正確なことはわからないけど。
☆
第一長期休暇、前世でいうところの夏休み。
俺はアルプトラウムに戻って、のんびり色々やっていこうと思った。
いや、思っていた。
「なあ、エルン。俺、エルンの星系に行ってみたいんだけど……」
「だよなぁ、カイル。俺も行きたいと思ってたんだよ。エルンが星系を持っていることはみんな知ってるのに、誰もエルンの星系の詳細を知らないんだよね。連れて行ってくれないかな」
「え。嫌なんだけど」
多分、今、アルプトラウムの実情は、この世界の人間からしたらとんでもない事になっていると思う。
しかも、コイツらがアルプトラウムに来てみろ。
ホテルもなければ、領主館すらない。
どこに泊めろと?
コンテナの中に泊まるか?
「師匠。私も気になる」
ストックもかよ。
ストックが来たら、ずっと剣の相手をさせられそうで嫌なんだけど。
「ダメダメ。しかも、来たところで、何もすることがないよ?農業漁業くらいしかすることないと思う」
貴族家の人間がが土いじりなんて、嫌がるに決まってるからな。
「おう、どんと来い!男爵家三男を舐めるなよ?農業なんてよくしてたし、魚もとってたからな」
男爵家三男すげえな。
舐めてたわ。
ええっと、どうすれば諦めさせられる?
「もしかしたら、刺されるかも知れないぞ?」
ヤワチ人は大丈夫だと思うが、元レンツ兵が大人しくしているという確信は持てない。
俺が最初にアルプトラウムに来た時みたいに、襲われるかも。
アイオワと仲良くなれば大丈夫だろうけど。
「え、なに?平民の星系に行くって話?私も連れて行きなさいよ!」
「私も行ってみたい。レンツとの戦いを1人で戦況を覆した人間の星系なんて、きっと、面白いことだらけに決まっているだろう?」
「僕も……ダメだろうか」
うん、シャルロッテ、エリカ。
特にお前らな。
お前らの父親は、あの戦いの大将格だったんからな?
あと、ニック。
元レンツ兵にとって、お前は敵国の王子だからな?
刺されても知らないぞ?
「あのー。エルン子爵。私も行きたいです」
…………。
あーー。
アイリスはアイリスで問題があるな。
元レンツの人間はアイリスがいるだけで大人しくなるだろうが、ヤワチの人間がわからない。
自分たちを奴隷のように扱っていた国の王女だからな。
「絶対に来んな!」
「なら、家に魔導船を出してもらって、勝手に行こうかな」
「やめろ!」
ハンスの言葉に咄嗟に反応してしまった。
なんでかって?
国王には伝えてあるのだが、今はミリカン傭兵国対策でアルプトラウム前の星系間高速魔道路のゲートから出てきた船は、ヴァント管理下にある船とアルプトラウムにある魔導船以外は勝手に沈めるようになっている。
つまり、勝手に来れば100%死ぬ。
そこそこ仲がいい人間が死ぬのは、流石に嫌だ。
死なれるよりは、俺が連れて行ったほうがマシか。
「はあ、もういいよ。一週間後、俺の寮の前に荷物を持って集合な」
まあ、コイツらは放置でいいか。
道路をひく作業の続きもしたいし。
今度こそ水道橋を作りたいし。
出来れば、一つか二つほど、都市を作りたいし。
やることは、大量にあるのだからな。
ヤワチ人のところには行かせないようにしよう。
アイツらが魔力を持っていないヤワチ人を差別をするとは思えないが、したら困るし、なんせ、オオエドにはお袋がいる。
いつぞやのように、余計な事を話されては困るからな。




