77話 見舞いでのトラブルな件
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☆
「’お兄さん!私、ルリアに会ってみたい!’」
「’あ’」
最近も色々ありすぎたせいで、ルリアのことを考える時間がなかったからな。
なんなら、忘れていた。
「忘れていた」は不謹慎じゃないかって?
じゃあ、なんて表現したら良いのさ。
事実を述べたまでだ。
不謹慎じゃない言葉に変える行為こそ、その事象を不謹慎と捉えているということなので、よっぽど不謹慎ではなかろうか。
以前の一回以来、お見舞いに行っていない。
100%あいつも転生者。
転生者仲間として、気にかける必要はあるか。
「’時間あるからな。行くか’」
「’うん!’」
アカリは、狼の姿から人の姿に変わった。
相変わらず裸である。
なんか、慣れたな。
「’なんで人型になったんだ?’」
「’だって、今から行くところは病院でしょ?病院の中に狼が入っていいわけないよ’」
確かに、衛生上の問題があるな。
この世界に衛生の概念があるのかわからないが。
「’確かに’」
「’でしょ?よし!早速行こうよ!’」
アカリが裸のまま玄関に向かう。
狼の状態で服を着ることはないので、服がないことに慣れているのだろうな。
「’アホ。流石に外に出る時は服を着ろよ’」
「’あーー。なら、お兄さんが服を選んでよ!’」
☆
「’ここにルリアがいるのかぁ’」
ルリアのいる病院についた。
ちなみに、アカリの服装は俺が先日パーティーで使ったトレンチコートとジョガーパンツ。
そして、狼耳を隠すために、頭に布を巻いた。
ほとんど先日のパーティーの服装なのだが、これを考えるのに1時間かかった。
だって、俺は男物の服しか持ってないんだもん。
女性には合わない服だらけなんだもん。
ヤクザ感はあるが、これが1番しっくりきた。
「あのー。すいません。ルリアの部屋に行きたいのですが」
受付にいる女に言う。
「えーっと、何か身分を証明できるものはありますか?」
以前はこんなことはなかった。
王子のニックがいたからな。
ニックの顔が知れ渡っていたので、顔パスでいけた。
だが、俺の顔はあまり知れ渡っていない。
去年、指名手配されていた時が1番顔が知れ渡っていたんじゃないか?
身分を証明するものねぇ。
「どんなものがあれば、身分を証明できますか?」
「そうですねぇ。平民の方なら、自身の自治体の身分証明書や商業組合の会員書。貴族の方なら、家紋なんかが使われることが多いですね」
家紋ならあるな。
「’アカリ。受付の人に背中を向けて’」
「’え、うん’」
「こういう家紋なのですが」
「………!ええと、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「エルン=フォン=ウッドペッカーです」
「英雄様!ご活躍はかねがね……」
英雄、か。
俺は英雄になったつもりはないのだが。
「あ、そういうのいいんで」
「は、はい」
☆
俺は以前来たことがあるため、ルリアの部屋の場所を覚えていた。
ルリアの部屋の中から気配がする。
だが、ルリアの気配ではない。
エリカとか、シャルロッテとかだろうか。
ガラガラガラ
その気配の主が視界に入った瞬間、アカリは全速力でその男を殴った。
「い、痛い!お前ら!僕を誰だと……」
その男は、ベットに括り付けられているルリアに裸で馬乗りになり、ルリアの身体を弄っていたのだ。
その男の名はリュカ=フォン=ウェッソン。
「黙れ!病人を襲う外道は殴られて当然だろ!」
「父上は公爵なんだぞ!」
お前には、なんの権力もないくせに。
あーやばい。
今すぐコイツをブン殴りたくなってきた。
我慢、我慢。
「それに、平民は貴族の玩具……」
ガンッ
あ。
手が出てしまった。
「ギャァァァ!僕の、僕の顔から血がぁ!お前ら、平民のくせに!」
「俺はエルン=フォン=ウッドペッカー男爵。正真正銘の貴族だけど?」
まあ、俺はTシャツ&短パンで病院に来たからな。
貴族に見えないのは仕方がないか。
「こ、こうなったら、父上に言いつけて、お前の領土を火の海にしてやる!」
リュカの父親は、リュカを溺愛している。
リュカが父親に求めれば、父親は実行する。
これは、ハッタリではない。
脅しだ。
「言ったな?本当に来たら、容赦しないからな?」
「男爵風情が!」
ダン
リュカは部屋を出ていった。
「ヴァント。今ナイトメア星系で動かせる戦闘艦は何隻ある?」
『私の管理下にある船は、アーベントシュテルン級3隻、クラースヌイ・オクチャーブリ級6隻、ラムラダ級27隻、春風型69隻です』
だいぶ増えたな。
やろうと思えば、国の3つや4つ滅ぼせそうなほどだな。
「3つ艦隊を編成して、1艦隊はアルプトラウムの防衛を。残り2艦隊で星系間高速魔道路の前で出待ちして、敵艦隊が来たら殲滅を頼む」
『了解しました』
これは、正当防衛だ。
大人しくやられるつもりはない。
敵を、敬意を持って皆殺しにする。
「’アカリ!ルリアは無事か?’」
「’うん!貞操帯が付けられていたおかげで、酷いことはされてないよ!’」
………。
貞操帯を病人につける?
この世界では、病人が襲われるのはよくあることなのか?
恐ろしい世界だな。




