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77話 見舞いでのトラブルな件

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 「’お兄さん!私、ルリアに会ってみたい!’」


 「’あ’」


 最近も色々ありすぎたせいで、ルリアのことを考える時間がなかったからな。


 なんなら、忘れていた。


 「忘れていた」は不謹慎じゃないかって?


 じゃあ、なんて表現したら良いのさ。


 事実を述べたまでだ。


 不謹慎じゃない言葉に変える行為こそ、その事象を不謹慎と捉えているということなので、よっぽど不謹慎ではなかろうか。


 以前の一回以来、お見舞いに行っていない。


 100%あいつも転生者。


 転生者仲間として、気にかける必要はあるか。


 「’時間あるからな。行くか’」


 「’うん!’」


 アカリは、狼の姿から人の姿に変わった。


 相変わらず裸である。


 なんか、慣れたな。


 「’なんで人型になったんだ?’」


 「’だって、今から行くところは病院でしょ?病院の中に狼が入っていいわけないよ’」


 確かに、衛生上の問題があるな。


 この世界に衛生の概念があるのかわからないが。


 「’確かに’」


 「’でしょ?よし!早速行こうよ!’」


 アカリが裸のまま玄関に向かう。


 狼の状態で服を着ることはないので、服がないことに慣れているのだろうな。


 「’アホ。流石に外に出る時は服を着ろよ’」


 「’あーー。なら、お兄さんが服を選んでよ!’」


 「’ここにルリアがいるのかぁ’」


 ルリアのいる病院についた。


 ちなみに、アカリの服装は俺が先日パーティーで使ったトレンチコートとジョガーパンツ。


 そして、狼耳を隠すために、頭に布を巻いた。


 ほとんど先日のパーティーの服装なのだが、これを考えるのに1時間かかった。


 だって、俺は男物の服しか持ってないんだもん。


 女性には合わない服だらけなんだもん。


 ヤクザ感はあるが、これが1番しっくりきた。


 「あのー。すいません。ルリアの部屋に行きたいのですが」


 受付にいる女に言う。

 

 「えーっと、何か身分を証明できるものはありますか?」


 以前はこんなことはなかった。


 王子のニックがいたからな。


 ニックの顔が知れ渡っていたので、顔パスでいけた。


 だが、俺の顔はあまり知れ渡っていない。


 去年、指名手配されていた時が1番顔が知れ渡っていたんじゃないか?


 身分を証明するものねぇ。


 「どんなものがあれば、身分を証明できますか?」


 「そうですねぇ。平民の方なら、自身の自治体の身分証明書や商業組合の会員書。貴族の方なら、家紋なんかが使われることが多いですね」


 家紋ならあるな。


 「’アカリ。受付の人に背中を向けて’」


 「’え、うん’」


 「こういう家紋なのですが」


 「………!ええと、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」


 「エルン=フォン=ウッドペッカーです」


 「英雄様!ご活躍はかねがね……」


 英雄、か。


 俺は英雄になったつもりはないのだが。


 「あ、そういうのいいんで」


 「は、はい」


 俺は以前来たことがあるため、ルリアの部屋の場所を覚えていた。


 ルリアの部屋の中から気配がする。


 だが、ルリアの気配ではない。


 エリカとか、シャルロッテとかだろうか。


 ガラガラガラ


 その気配の主が視界に入った瞬間、アカリは全速力でその男を殴った。


 「い、痛い!お前ら!僕を誰だと……」


 その男は、ベットに括り付けられているルリアに裸で馬乗りになり、ルリアの身体を弄っていたのだ。


 その男の名はリュカ=フォン=ウェッソン。


 「黙れ!病人を襲う外道は殴られて当然だろ!」


 「父上は公爵なんだぞ!」


 お前には、なんの権力もないくせに。


 あーやばい。


 今すぐコイツをブン殴りたくなってきた。


 我慢、我慢。


 「それに、平民は貴族の玩具……」


 ガンッ


 あ。


 手が出てしまった。


 「ギャァァァ!僕の、僕の顔から血がぁ!お前ら、平民のくせに!」


 「俺はエルン=フォン=ウッドペッカー男爵。正真正銘の貴族だけど?」


 まあ、俺はTシャツ&短パンで病院に来たからな。


 貴族に見えないのは仕方がないか。


 「こ、こうなったら、父上に言いつけて、お前の領土を火の海にしてやる!」


 リュカの父親は、リュカを溺愛している。


 リュカが父親に求めれば、父親は実行する。


 これは、ハッタリではない。


 脅しだ。


 「言ったな?本当に来たら、容赦しないからな?」


 「男爵風情が!」


 ダン


 リュカは部屋を出ていった。


 「ヴァント。今ナイトメア星系で動かせる戦闘艦は何隻ある?」


 『私の管理下にある船は、アーベントシュテルン級3隻、クラースヌイ・オクチャーブリ級6隻、ラムラダ級27隻、春風型69隻です』


 だいぶ増えたな。


 やろうと思えば、国の3つや4つ滅ぼせそうなほどだな。


 「3つ艦隊を編成して、1艦隊はアルプトラウムの防衛を。残り2艦隊で星系間高速魔道路の前で出待ちして、敵艦隊が来たら殲滅を頼む」


 『了解しました』


 これは、正当防衛だ。


 大人しくやられるつもりはない。


 敵を、敬意を持って皆殺しにする。


 「’アカリ!ルリアは無事か?’」


 「’うん!貞操帯が付けられていたおかげで、酷いことはされてないよ!’」


 ………。


 貞操帯を病人につける?


 この世界では、病人が襲われるのはよくあることなのか?


 恐ろしい世界だな。

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