74話 パーティーの金髪ロールな件
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☆
パーティー中盤。
ラザフォード王国のパーティーでは、パーティーの開催費が全て主催者が払う代わりに、主催者に贈り物をしなければいけない。
主催者よりも爵位が高かろうとだ。
主催者への贈り物は、皆からの注目が集まる中で一貴族家ごとにしていく。
つまり、贈り物のセンスが問われるし、財力を見せつける場にもなる。
「ガーランド伯爵。この度はこの素晴らしいパーティーを開いて下さったことを、心から感謝しております。オルガン男爵家からの品は、領地で採れた葡萄を贅沢に使用したワインでございます」
「有り難く頂かせてもらおう」
最初にオルガン男爵家の当主がギュンターに贈り物をした。
まあ、こんな感じだ。
渡す順番は爵位の低い順。
同じ爵位の家は、領地の惑星が少ない方から。
それでも被る場合は、領地内のおおよその人口が少ない方からである。
俺の場合は、男爵家であり、公には惑星は8個。
人口は約100万。
パーティーに来た15男爵家の中で、最後から三番目である。
うちは人口が少ないからな。
「ガーランド伯爵。この度はこの素晴らしいパーティーを開いて下さったことを、心から感謝しております。ヴィッテルスバッハ男爵家からの品は、マジノ星系で採掘した自慢の柔銀を含んだ釉薬を使用した、特産品の食器です。お納めください」
「有り難く頂かせてもらおう」
………柔銀って、なんのことだと思う?
鉛である。
そう簡単に鉛は溶け出さないようになっているが、あるものと合わせると、まずいことが起きる。
あるものとは、トマトである。
トマトは酸性であり、鉛が溶け出してしまうのだ。
「メモメモ」で、よく使ったなぁ。
ストーリーには大きく関わらない少し邪魔な人間を始末する時に。
懐かしい。
ギュンターには、後でトマトをその食器で食べないように言っておかないとな。
そうこうしている間に、俺の番が来てしまった。
俺は贈り物が入った箱を抱えて、ギュンターの目の前に行く。
「ガーランド伯爵。この度はこの素晴らしいパーティーを開いて下さったことを、心から感謝しております。ウッドペッカー家からの品は、『カタナ』と言われる、片刃の剣でございます。切れ味その切れ味をお見せしましょう!」
こうすることで、他の家に、アルプトラウムの技術力を見せつけることができるのだ。
実演販売みたいなもんだな。
販売はしないが。
俺は箱から刀とラザフォード王国軍の標準装備の鞘を取り出す。
「ここに、よく見かける鞘がありますね?」
俺は鞘を上に投げる。
そして、刀を抜いて、構える。
ヒンッ
「なっ!」
王国軍標準装備の剣では鞘は全く切れず、鞘を弾き飛ばしてしまう。
しかし、鞘は真っ二つに切れてしまった。
アルプトラウムの技術力が伝わったのだろう。
ギュンターだけではなく、他の貴族家の人間たちも呆然としている。
「どうぞ、お納め下さい」
「あ、ああ………」
☆
いやー。
俺、なんかやっちゃいましたかね。
贈り物を出席している全ての貴族家が渡し終わった後もパーティーは続けられたのだが、周りに全く人が寄り付かない。
アルフォンスは、他の貴族家の人達と話している。
仕方がないな。
うちだけに釘付けになるのは、よくないからな。
あー。
暇だなあ。
ワインでも飲むか。
うまいんだよなあ。
「失礼しますわ」
後ろから声がする。
若い女性の声だな。
どこかの夫人かな。
振り返ると、真っ先に目に入ったのは、金色なロールの髪型。
金色の髪に、赤いドレスがよく似合っている。
「ウッドペッカー男爵、ご機嫌麗しゅうございます。お顔を拝見できて、嬉しゅうございますわ。今日はお話ししたいことがたくさんありましたの」
………。
シャルロッテだよな?
これはガーランド伯爵家のパーティーだから、いるのは当然ではあるが……。
「誰だお前?」
おっと。
思わず本音が出てしまったな。
「なっ!………本日はお疲れのようでございますね。どうかご無理をなさらず、少しお休みになられてはいかがでしょうか?」
一瞬動揺したな。
「お話したい」のに「お休みになられてはいかがでしょうか」だぁ?
言ってること、おかしくないか?
「これはこれはシャルロッテ嬢。私如きの健康を気にしてくださるなぞ、慈悲深いですなあ」
「いえいえ。伯爵家の人間として、当然のことですわ」
……っ。
あぶないあぶない。
吹き出しそうになってしまった。
そこまで全肯定してくるとは。
うーん。
誰も話かけてくれなかったのは少し寂しい気もしたが、こいつと話すくらいなら、1人で料理を堪能した方がマシな気がするんだよな。
しかも、いつもと違って違和感しかないし。
弱みのネタはまだまだあるのだが………。
ここでシャルロッテの顔を涙目にさせると、色々きついんだよなぁ。
確実に、うちの評判が落ちる。
どうしたものか。
「いかがいたしました?」
「いえいえ。お嬢様の美しさに見惚れていたのですよ。その完璧に巻かれた黄金の髪は、まるで祝福の光を編み込んだかのように眩しく、身に纏われた真紅のドレスは、咲き誇る大輪の薔薇さえも嫉妬のあまり色褪せるほどの美しさ……。誰もがあなた様の姿に息を呑み、目を奪われております。この場にいるすべての者が、あなた様の引き立て役でしかありません」
『ぶっ(笑)!』
………。
わかるぞ、ヴァント。
俺も笑いそうなのを抑えている。
明らかに、俺の言うセリフではない。
「ふぇ?わわぁぁぁぁっ」
ん?
「お嬢様?どうなさいました?おーい?」
「うーーっ」
バタバタバタ
シャルロッテは、真っ赤な顔を手で隠しながら、涙目でどこかに走り去ってしまった。
周りの人間が皆こちらを見ている。
やべえ。
やっちまった。
俺が泣かせたみたいになってしまった。
またかよ。




