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73話 初社交パーティーな件

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 ガーランド伯爵領のウェルペン星系のハビタブルゾーン内にある3つの惑星のうちの一つ、ジャール。


 乗ってきたのは、ラムラダ。 


 ラムラダ自体はジャールの魔導船飛行場に置いてきた。


 そこからガーランド伯爵邸まで、ある箱を持って5kmほど歩く。


 『初社交パーティーですね。楽しみですか?』


 「いいや、全然」


 あのあと、俺は全速力でアルプトラウムに戻り、格好だの主催者への贈り物だのを全力で用意し、ジャールにたどり着いた。


 時間は本当にギリギリ。


 国王からの命令は、俺の力を見せること。


 力といっても、武力、権力、財力、労働力などいろいろだ。


 その中で、最もパーティーで強調しやすいものはなんだと思う?


 もちろん、財力である。


 財力を示すのに手っ取り早いのが、服装である。


 基本的に服装は自由らしいが、グロックによると、飾りつけのセンスなんかも評価対象らしい。


 そして、必ず背中側に大きく家紋をつける必要があるらしい。


 俺の直感を信じて、トレンチコートにジョガーパンツにした。


 色は黒に金色の刺繍の仏壇カラーで統一。


 そして、背中に「龍」の文字。


 ………どっかのヤクザみたいな服装になってしまった。


 しかし、作り直す時間もないので、その格好でパーティーに来た。


 服装は自由なはずなのだが、男は燕尾服、女はドレスが多いので、明らかに浮いてしまっている。


 目立ちはするな。


 主催者への贈り物は、装飾多めの刀。


 アルプトラウムでは、ヴァントも驚くほどの切れ味の刀が一般に出回っている。


 子供達に科学を教えているおかげか、アルプトラウムの製鋼技術がとんでもなく上昇しているからだろうか。


 刀の材料って、砂鉄だよな?


 関係あるのだろうか。


 どれくらい切れ味がいいかって?


 そこまでちゃんと振らなくても、直径25cmほどの竹を切ることが出来たくらいだった。


 その中でも装飾が多めの刀を言い値で買い、ギュンターへの贈り物とする。


 一応、一芸も練習用意した。


 上手くいけばいいな。


 「あれがウッドペッカー男爵か」


 「服のセンスはいいな。そこそこ値も張りそうだ」


 「まだ、子供じゃない」

 

 「あんな若造が男爵?なら、うちの息子は伯爵だな」


 「国王の駒が」

 

 パーティーが始まっても、俺は遠目から品定めをされているだけで、誰も近寄ってこなかった。


 寂しいねぇ。


 これが貴族のパーティーねぇ。


 今すぐ帰りたいが、力を見せないといけないからな。


 我慢だ。


 テーブルに並べられた料理や菓子は、名前はわからないものの、そこそこ美味しかった。


 肉はやわらかく、野菜は青臭くなく、パンはフワッフワな白パン。


 それらは1人前ずつ皿に入れられており、テーブル周辺が混まないようになっている。


 グラスに注がれた赤ワインに渋みはあまりなく、舌がまだ少年な俺からしても飲みやすい。


 それをチーズと一緒に口に運ぶとうまい。


 ただ、一つ感じることがある。


 調味料不足である。


 調理技術はいいんだろうが、少し物足りない味付けの料理もちらほら。


 味噌入れたらコクが出そうだな、とか、カレー粉ぶち込みたいな、とか、コンソメ入れたいな、とか思ってしまう。


 失礼に当たるため、口には出さないが。


 「エルンー男爵、たのーしんでいーるか」


 この独特な話し方は……。


 「そこそこです。パラベラム公爵。今日は仮面してないんですね」


 「ははっ。男爵、よくもーやってくーれたな。娘かーらビンタをくらう羽目になーったんだぞ?」


 それはあんたが悪いのでは?


 エリカって、ビンタするんだな。


 あまり他人に手を出しそうな人間ではない気がするのだが。


 家族だからか?


 「おい、あれ……」

 

 「公爵が新参者に話しかけただと?」


 周りから驚きの声が上がる。


 当然だ。


 俺がアルフォンスに話しかけたのなら、それは、名前を売ろうとする行為だと捉えられる。


 しかし、新参者の俺に話しかけたのはアルフォンス。


 周りからしたら、訳がわからないだろうよ。

 

 「ナイートメア星系はー、どんなー調子だ?」


 「そこそこです。食料も安定し始めてますし」


 「そうーか。足りなさそーうなものがあれば、言ってーくれ。できーる限り手配ーしよう。それーにしてもー元々平ー民な男爵が領ー地経営を順調にでーきるとは。余程腕ーの良い内政官でーも雇ったのか?とにーかくー、賞賛に値すーる」


 腕の良い内政官どころではないぞ?


 あんたも知ってるんじゃないか?


 アルプトラウムにグロックが来たことを。

 

 「ありがとうございます」


 新参者が公爵と仲がいい。


 これだけでも、アピールになる。


 野次馬どもに目を向ける。


 驚く者、怪しむ者、羨む者。


 その中の1人が視界に入った瞬間、俺はいつのまにか、腰に手をあてていた。


 帯剣してパーティー会場に入ってはいけない。

 

 そのことに、感謝している。


 もしも剣が腰にあれば、俺はそいつを斬っていたのかもしれない。


 「どうーした?」


 「いえ、昔見たことがある顔が目に入ったもんで。少々動揺してしまっただけです」


 なあ、フレデリック。


 俺はお前がお袋を斬ろうとしていたのを許してないからな?


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