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67話 メーアについた件

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 俺とソフィア、そしてアカリは学園の小型魔導船でメーア町に向かった。


 メーア町は人口5万人ほどの小さな町である。


 そして、ステージとして「メモメモ」では作られていない町である。


 そのため、どこに何があるのかなんてわからない。


 分かっていることは、ここに切り裂きジョージがいることと、俺がいなければソフィアが焼き討ちしていたということだけである。


 そんな中、「切り裂きジョージ」を探さなければならない。


 ………。


 燃やしたくなってきたな。


 まあ、恨みを買いたくないから火をつける事はしないのだが。


 「エルン、疲れた」


 疲れるのが早くないか?


 まだ3kmも歩いていない気がするのだが。


 学園の幼年部に通っていたはずだから、そこまで体力がないわけがないんだけど。


 「’アカリ、乗せてやれ’」


 「’え、やだよぉ。機嫌損ねたら殺されそうだよぉ’」


 その気持ち、わからんことはないな。


 「’大丈夫でしょ。ソフィア自身に武力はほぼないからな’」


 「’そうだけど………。ボクが殺されそうになったら、庇ってよ?’」


 ドラゴンを瞬殺するアカリが殺されることなんて、あり得ない気がするのだが。


 「’わかったわかった。’ソフィア。アカリが乗せてくれるそうですよ?」


 「ん。ありがとう、アカリ」


 コイツって、感謝の言葉とか言えるんだな。


 言わなそうなイメージがあったんだが。


 ソフィアがアカリに跨がった。


 「高い」


 …………え?


 それだけ?


 まあ、いい。


 切り裂きジョージ探しを始めようか。


 俺たちは、まず、酒場に向かった。


 なぜか、情報収集=酒場みたいなイメージがあるんだよな。


 カランコロンカラン


 扉を開けると、扉についているドアチャイムが鳴る。


 喫茶店かな?


 入るとすぐに目に入ったのは、初老で片眼鏡をかけたマスター。


 客はいない。


 情報収集できないじゃん。


 でも、何も飲まずに出て行くのは失礼か。


 「………らっしゃい。何にするかい?」


 何にするかい、って言われてもなあ。


 酒を飲んだことがないんだよな。


 グロック曰く、ラザフォード王国法では、13歳未満の飲酒は禁止らしい。


 つまり、今の俺は酒を飲んでもいい。


 でも、事件を調査するって時に下手に潰れるのは嫌なんだよな。


 「バーボン」


 「はい、嬢ちゃんはバーボンね」


 バーボン?


 アメリカで作られる、モロコシ酒だよな?


 確か「バーボン」と名乗らせるためには、連邦アルコール法で「アメリカ合衆国内で作られること」が条件の一つだった気が………。


 この世界には、アメリカはないのに?


 俺の生きていた時代よりも後に、連邦アルコール法が緩くなったのかな?


 「兄ちゃんは?」


 「エールで」


 エールは、そこまで度数高くないから、一杯くらいならそこまで酔わないでしょ。


 「その、でっかい狼はどうするかい?」


 狼に酒を飲ませる気か?


 「干し肉がいいかい?」


 流石にか。


 「ああ、そうしてもらおう」


 「はいよ。…………………………………お待ち」


 早っ。



 「兄しゃま、兄しゃまがいっぱい。ギューして」

 

 「おい、ソフィア、俺はニックじゃないぞ!」


 速攻でバーボン(アルコール約50度)を頼んだから、どれだけアルコールに強いのかなって思ってたら、激弱だった。


 しまいには、俺をニックと勘違いして抱きついてくる始末。


 なんでバーボンなんか頼んだのかな?


 エールにしとけばよかったのに。


 ちなみに、俺は全然酔っていない。


 度数が低いとはいえ、ワクなのかな?


 でも、舌はまだ16歳なので、少し苦く感じる。


 「’アカリ、干し肉は美味いか?’」


 「’美味しいよ’」


 「’よかったよかった’」


 「兄しゃま。何で私は無視で、アカリと話すんでしゅか?私とアカリ、どっちが大切にゃのでしゅか?」


 うーん。


 「アカリかな?」

 

 転生者仲間だしな。


 プレデテーラ・ウォーエルの件では、命を救ってもらったしな。


 「酷い、酷いです兄しゃま。私はこんなに兄しゃまを愛しているのに!」


 ………。


 今度ニックに会ったら、ソフィアに酒を飲ませないように言っておくか。

 

 「マスター、水を出してくれるか?」


 「はいよ」


 コトン


 「ソフィア、水を飲め」


 「兄しゃま、飲ませて下しゃい。口移しなら、ソフィアは喜びましゅよ?」


 「知るかそんなもん」


 「兄しゃまは冷たいです」


 そもそも兄じゃないからな。


 しかも、口移しなんかしてみろ。


 ラザフォード王家と戦争になるわ。


 こんなのでも王女だからな。


 「大変だねえ、兄ちゃん。メーアには何の用で来たんだ?」


 「『切り裂きジョージ』の事件があるだろ?ジョージがこの町にいるって情報を得たから、とっ捕まえてやろうと思ってね」


 「それは本当かい?怖いねえ。兄ちゃんたちが捕まえてくれることを願ってるよ」


 「ありがとう」


 あ、そうだ。


 「この周辺に宿屋はないか?まだ宿をとってなくてさ」


 「なら、うちが2階で宿屋をやってるよ。泊まっていくといい」


 まじか。


 ラッキーだな。


 「値段は?」


 「一部屋一泊あたり、銀貨3枚」


 安いな。


 ソフィアと相部屋は論外だよな。


 酒が入ったソフィアに俺が襲われかねない。


 安全面を考えて、俺で一部屋、ソフィアとアカリで一部屋でいいか。


 「二部屋頼む」


 「まいど。ゆっくりしていってくれ」

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