番外編⑦
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☆
私のことを覚えている方はいらっしゃるのでしょうか。
私はミライ。
家名はございません。
パラベラム家の、主にエリカお嬢様の使用人をしています。
私は10年前、路地裏を彷徨っている時に、お嬢様に拾っていただきました。
あの時、私が拾われなかったのなら、私はすでにこの世にはいないでしょう。
お嬢様のおかげで職も食も手に入れることができました。
感謝しかありません。
そんなお嬢様の様子が、最近おかしいです。
ことあるごとに、「エルン」の名前を出すのです。
以前お嬢様に聞かれた「エルンスト」と、何か関係があるのでしょうか。
名前を知っているかどうかを聞かれたので、恐らく、お嬢様の言う「エルンスト」はそこそこの有名人。
あの後、色々調べてみたのですが、有名な「エルンスト」はラザフォード王国では3人。
料理研究家のエルンスト、哲学者のエルンスト、そして、マート星消失事件の時のエルンスト。
マート星消失事件の時のエルンストは、年がお嬢様と同じ。
「エルン」はお嬢様と同学年ということですから、もしも「エルン」=「エルンスト」ならば、お嬢様は惑星一個をマジックのように消すことができる得体の知れない化け物と関わっていることになります。
しかし、思ったのです。
少々安直すぎるのではないか、と。
もしも、マート星消失事件の時のエルンストが表舞台に上がったら、相当生きにくくなると思うので、名前を変えようとするのはよくわかります。
名前を隠す気があるのでしょうか。
逆に、見つけて欲しいのではないでしょうか。
あくまで、私の考えなのですが。
☆
『マスター。もしも貴方がエルンスト=フォン=ヴィッテルスバッハだと世間にバレたら、どうしますか』
「うーん。どうもしないかな。クソ親父が接触してきそうだけど、その時はその時だよ。バレて欲しくはないけど」
『なら、どうして「エルン」なのですか?もっと他の名前でもよかったのでは?』
「クソ親父はどうでもいいけど、お袋につけてもらった名前だからな。よっぽどのことがない限り、面影は残すよ」
『残しすぎです。考えてみてください。日本語発音では、5分の3が含まれているのですよ?』
「ああ。ボロが出た時に、『スト』の言い訳さえできれば修正できるだろ?」
『エリカの時、誤魔化せましたか?』
「ごもっとも」




