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63話 今年こそあるはずの模擬宇宙戦な件

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 俺はアカリを俺の寮に入れて、教室に向かった。


 教室は、一年生の時の教室と同じ部屋である。


 前世の日本では教室に合わせて生徒が移動する形なのだが、ラザフォード学園では9年間同じ教室に通う。


 ついでに、担任も9年間同じ。


 何でかって?


 知らん。


 「………エルン、久しぶりだな………」


 後ろから声がした。


 その声の主はニックだった。


 「久しぶり。メガネ変えた?」


 フレームの色が前と違う気がする。


 前はブラックだったのだが、今のは少し、青が入っているような……。


 「……ああ、気づいたか。パーリェンの魔石で稼いだ金で、メガネを新調したんだ………」


 親から貰った金ではなく自分で稼いだ金で何かを買うのは、金持ちボンボンにとっては本当にいい経験だよ。


 金のありがたみが少々わかるからな。


 「パーリェンでどんな魔物を狩ったんだ?」


 「……鹿型274匹、狼型35匹、ドラゴン1匹だったかな……」


 ドラゴンを狩ったのか。


 ニックの班の他のメンバーはストックと、ラースとかいう俺レベルのモブだったか?


 どうやってドラゴンを狩ったんだ?


 ストックが剣で斬ったのか?


 「すごいな」


 「………どっかの誰かの巨大な魔石に比べたら、大したことない……」


 うん。


 比べなくていいよ。


 プレデテーラ・ウォーエルは別格だし、最終的に倒したのは俺じゃなきてヴァントだし。


 俺が誇る事はできない。


 「他の班はどうだったんだ?」


 「……女子の班は怪我人が多かったらしい……」


 だろうな。


 女子の連中は、基本的に魔法主体の攻撃をする。


 剣を使いこなせる令嬢は超少ない。


 そうだなあ。


 この学年では、ラザフォード王国の親衛隊長の次女のマーサくらいじゃないか?


 マーサ=フォン=ワルサーは「メモメモ」にも登場したキャラである。


 そして唯一、修学旅行中に死亡する生徒である。


 レンツ王国がラザフォード王国に宣戦布告した後、学園生たちは人質にとられる。

 

 何とかバレない脱出しようと試みるのだが、途中で兵士に確実にバレる。


 兵士が追ってきている中、彼女は自らが殿(しんがり)になり、殺される。


 何とか死亡させないようにしようとしたこともあったが、何故か確実に死ぬ。


 追っ手の兵士を皆殺しにしたとしても、階段で転けて頭を強打して死ぬ。


 文字通り、救いようがないキャラである。


 おっと。


 話がズレたな。


 パーリェンの話に戻ろうか。


 班分けは男女別で分けられているので、ある恐ろしいことが起こる。


 多くの女子の班には、前衛がいないのである。


 パーリェンに行く途中にストックに剣を教えてもらった女子もいたが、そんな付け焼き刃が実戦で通用するはずがない。


 大量の怪我人が出るのは当たり前のことである。


 「なるほどねえ。でも、治癒魔法で元通りになるから安心だよね」


 「……費用はバカ高いがな……」


 そうなんだよな。


 治癒魔法は病気や臓器の欠損は治せないが、四肢が千切れるくらいならいくらでも治せる。


 治療費は、そこそこな怪我が金貨一枚くらい。


 腕1本あたり星金貨5枚くらい。


 結構金がかかるだろう?


 おっ。


 教室についたな。


 「エルン男爵。こんにちは」


 「こんにちは」


 さて、問題です。


 俺は教室に入って、誰に挨拶されたでしょうか。


 答えは………担任でした!


 態度変わりすぎだろ。


 猫撫で声だし。


 俺が男爵になると、これかよ。


 まだ俺の学年の女子の方が、よくわかってると思う。


 アイツらは俺を冷遇していたという意識があるため、アイツら自ら声をかけない。


 つまり、媚びを売れないのである。


 それに比べて、担任にはその意識がないのだろう。


 自然と冷遇していたって訳だ。


 だから、何の抵抗もなく俺に声をかけれるのだろうよ。


 授業間の休み時間、エリカとアイリスが俺のところにやってきた。


 コイツら、仲いいよな。


 ずっと一緒にいない?


 「やあ、エルン。いや、ウッドペッカー男爵だったかな?」


 「男爵、おはようございます」


 「よお。今まで通り、エルンでいいよ」


 「わかった。エルン、今年こそ模擬宇宙戦が行われるな!」


 そんなんあったわ。


 「ああ、そういえばそうだったな。昨年は、どっかの誰かさんのせいでできなかったからな」


 俺が目線をアイリスに向けると、アイリスは目を逸らした。


 「おーい。アイリス?聞いてるか?」


 「き、聞いてますよ。はいはい、あの時は私が悪うございました」


 「エルン。アイリスをいじめてやるな。模擬宇宙戦ができる。それでいいじゃないか」


 流石に、そんなに簡単にあの戦いのことを割り切る事はできない。


 俺はあの戦いで、大量に人を殺したからな。


 「エルンは例の船で出場するのか?」


 どうしようか。


 ラムラダで出るか?


 それでもいいのだが………。


 「いや、領内の駆逐艦を一隻借りるよ」


 魔導船で出た方がいいよな。


 あの戦いでラムラダの力を見てしまった今となっては、反則な気がするんだよな。


 レールガンとミサイルを使わなかったとしても、機動力は魔導船とは桁違いだからな。


 ガン逃げすれば、ファイヤーボールなんて絶対に当たらないし。


 「あのー。エルンさん。少なくとも、殺傷沙汰はしないでくださいね?」


 こいつは、俺を何だと思ってんの?


 「あー。そこで模擬宇宙戦の話をしていらっしゃる、エルン男爵」


 担任が近寄ってきた。


 何の用だ?


 「男爵は模擬宇宙戦には出てはいけないことになりましたよ?」


 「は?」

春風型ミサイル艇の図(対空兵装を除く)を作りました。

https://drive.google.com/file/d/1Lr1C4h9iuasrITASSNLxjr7ouTklryso/view?usp=drivesdk

モデルは島風です。

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