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55話 同志な件

 「どうもこんにちは。俺はエルン。この星系を治めることになった」


 自己紹介は簡潔に。


 常識である。


 「そんなことはどうでもいい!貴様がこの場にいる事が問題なのである!」


 どうでも良くないよ?


 この場にいる理由は、俺が統治者だからだよ?


 「アイオワ殿」


 「殿」をつけたらいいよな?


 「何であるか!」


 「投降しろ」


 ガン


 アイオワはドアジャムを叩く。


 当たり前だよな。


 部下を拷問された挙句、アジトにやってきて降伏勧告なんかされたら、普通はキレる。


 アイオワは「メモメモ」内では品行方正だったのだが、なぜかグレているので絶対にキレる自信があった。


 「ふざけるなでないのである!」


 ん?


 言葉使いがおかしいな。


 何か、後付け感がある。


 「ふざけているつもりは全くないぞ?俺は至って真面目だ。アイオワ殿こそ、ふざけないでいただきたい」


 「何のことであるか!」


 「猫を被るな、と言っている。魔力無し」


 アイオワの動きがピクリと止まる。


 そう、「この世界で生きるには重大な欠点」とは、俺と同じく魔法が使えないことである。


 いや、俺と同じく魔法が使えないのだが、俺は先天的、こいつは後天的だった。


 「3歳の頃、事故で鉄パイプが腹に刺さって魔臓が潰れて……」


 「なぜそんな事を知っている!」


 ほぉら。


 「である」が消えたぞ?


 何でそんな事を知ってるのかって?


 「メモメモ」の拷問官に聞いた、だなんて言えないもんな。


 「俺の情報網を舐めるなよ?」


 情報網なんてないけど。


 「え、では司令、本当に魔法が使えないのですか?」


 リリスが驚いた顔をして言った。


 魔法が使えないのは欠点。


 ここから降伏させるには、アイオワを褒める必要がある。


 下げたら上げる必要があるってことだ。


 今のままだと、ただ煽っただけになるからな。


 「ああ、勘違いしないで欲しいんだけど、こいつ、優秀だからね?」


 「こいつ」って言っちゃった。


 まあ、いいか。


 「魔法が使えないのがバレるといけないから、学校には通わないで、10歳の時に初陣を飾ったり、15歳の時には艦隊決戦の、確か『ミラン宙域の戦い』の時の司令を努めたり、現場叩き上げの軍人だからね?」


 「そんなことまで知られているのか……」


 「あ、ちなみに言っておくけど、俺も魔法使えないから」


 「………同志よ」


 めっちゃキラキラした目で見てくるな。


 ………。


 同志か………。


 「降伏する」


 アイオワによる降伏宣言の後、俺はアイオワと2人で話し合った。


 残存艦隊のこと。


 残存兵員のこと。


 アイリスのこと。


 そして、ナイトメア星系のこと。


 最初、


 「ベットにお掛けになってください」


 と言われたもんだから、正気を疑ってしまった。


 ベットには、女が寝ていると思っていたからな。


 女の正体は、人形だったのだ。


 なぜこんな事をしているのかを尋ねると、彼は


 「人を寄せ付けないためです」


 と言った。


 曰く、敗戦の責任を諸に感じてしまったせいで、精神面が怪しくなり、部下に当たるようになってしまったため、ヤバい奴を演じて人を寄せ付けなかったらしい。


 指示がドア越しだったのもそれが理由のようだ。


 こいつは、色々抱え込むタイプなんだな。


 残存している戦力は、ほとんどナイトメア星系の警備をさせるようにした。


 ただ、アルプトラウムでは全体的に食料が心許ない。


 どうにかして、作らないとね。


 アイリスのことについて話すと、アイオワは泣き崩れた。


 本当に、レンツの連中は忠誠心がすごいな。


 で、ナイトメア星系のことなのだが、ここは本来レンツ王国の領地で、ラザフォードがレンツから奪った領域の中にあった、秘匿されていた星系なんだと。


 セーンドイル宙域の戦いのあと、敗れたアイオワは、秘匿を無視することになるので本当はダメなのだが、ナイトメア星系に撤退。


 レンツに戻るために色々準備していたところ、ラザフォードに宙寇扱いされて攻撃されたらしい。


 攻撃を受ける前は3000隻程度の魔導船があったらしいのだが、破壊されて今の数に。


 2000万いたはず人間のも、百万人足らずになってしまったらしい。


 ラザフォード王国って、過激だな。


 本当に、アイオワが降伏宣言をしてくれてよかった。


 もしこのまま戦闘が続けば、俺にラザフォードへの怒りがぶつけられ、俺が全員殺さなければならないところだった。


 この星の発展性も失うところだった。


 危なかった。

 

 だが、この星の人間のラザフォードへの怒りはとてつもないだろう。


 それを、どうやって対処していくかが問題だな。

今気づいたんですけど、39話がないですね

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