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53話 本当に治安が悪い件

 「おらぁ!死ねぇぇぇぇえぇ!」


 ベキッ


 「ぐああぁあああ!」


 「こいつは1人で対処しようとするな!全員で囲め!」


 ベキボキバッキン


 ………。


 アルプトラウムに到着して4日。


 本当に治安が悪いなあ。


 これで何回目の襲撃だ?


 3ケタ超えたあたりから数えてない。


 「何だこの女は!」


 ボワッ


 「な!無詠唱だと?」


 ドォォォォン


 そりゃ、アカリは魔物ですから。


 考えてみろよ。


 ドラゴンが詠唱するか?


 しないだろう?


 それと同じよ。


 「’お兄さん。何回目だろうね。このままじゃ、この星の人がどんどん減る一方だよぉ’」


 「’いや、仕方ないよ。なぜか襲われるんだから’」


 惑星統治を舐めてた。


 戦略ゲーでは、一揆が起こることはあるが、ここまで民が従わないなんてことはなかった。


 『’マスター。おかしいと思いませんか?私たちは468回襲撃されました’』


 回数を覚えているのは流石AIといったところか。


 「’ちょっと前まで宙寇の本拠地だったんだろ?なら、少々治安が悪いのは仕方ないことだろ’」


 『’考えてみてください。なぜ、この周辺にはマスターたちが殺した人間の死体しかないのですか?’』

 

 そりゃ、俺らが襲われたからだろう。


 しかも、ほとんどの人間が元宙寇のゴロツキ。


 何もおかしいことなんかない。


 「’そんなもんじゃない?’」


 『’マスター。馬鹿ですね’』


 ド直球だな。


 『’コイツらがただのゴロツキなら、ゴロツキ同士でも殺し合うはずです’』


 ………。


 確かに。


 「’つまりお前は、今までの襲撃が計画されていたものであり、司令塔が存在するってことが言いたいのか?’」


 『’正解です。あ、次の襲撃がきましたよ’』


 「’アカリ、頼んだぞ。全員は殺すなよ?’」


 「’まっかせといてよ!’」


 ドォォォォン


 「ううっ。コイツら、強い……」


 「’アカリ。生き残ったやつを紐で縛っといて’」

 

 「’わかった!’」


 生き残った襲撃者は6人。


 正直、魔法において人型生物でアカリに勝てる奴はいないと思う。


 詠唱いらないし。


 身体能力高いし。


 さて、情報をコイツらから聞きますか。


 「どうもどうも。こんにちは。私は、つい先日からこの星系を治めることになった、エルンという者だ」


 統治者って、こういう喋り方でいいのかな。


 あまりにもフレンドリーだと、舐められるよな。


 「けっ。何のようだ!」


 「あなた達が誰の指示で私たちを襲っているのかを教えてくれるか?」


 「そんなの、言うわけねえよ!」


 指示を受けたことは否定しないんだな。


 「’アカリ。狼の形態になって、ガルガル威嚇してくれる?’」


 グニャン


 「な、女が狼に……」


 「Grurururururururruwww」


 どうだ。


 3m級の狼の威嚇は怖かろう。


 「な、なんだよ!脅しても無駄だぞ!」


 『’マスター。レッツ拷問です。やっちゃいましょう’』


 ………。


 ノリノリだな。


 俺は全然のれない。


 拷問方法は、ヴァントと元々決めていた。


 だが、実際にやるとなると……。


 「’アカリ。近くの海で、牡蠣をとってきてくれる?’」


 アカリは、拷問の内容は知らない。

 

 方法を決める時は、この世界の言語で話していたからな。


 「’牡蠣?わ、わかった。とってくるよ’」


 内容を知らない方が、牡蠣をすんなり持ってきてくれるだろう。


 ジュウウウウウウウ


 ジュワジュワワアアア


 ……。


 俺は今、アカリがとってきた牡蠣の身を殻から外して串に刺して、火で炙っている。


 ………。


 もしかしたら、トラウマになって牡蠣を一生食べれなくなる可能性があるからな。


 いや。


 トラウマになってほしい。


 「’お兄さん!食べごろだよ!’」


 「’そうか………’」


 何もつけずに食べる。


 さっきまで海にいたのだ。


 少し塩味があって、美味しい。


 ああ、美味しい。


 決して、飯テロではない……。


 「なんだよ!なに呑気にテッポウなんか食ってんだよ!自慢か!?」


 テッポウ?


 フグみたいに、当たると死ぬってか?


 お前らは、その痛みよりも恐ろしい痛みを負うことになるぞ?


 『’マスター。牡蠣は美味しかったですか?’』


 「’ああ……’」


 『’では、始めてください’』


 ………。


 俺は静かに牡蠣の殻を握る。


 そして、先程まで口答えしていた男のそばに行く。


 「’お兄さん?何を………’」


 ………。


 俺は、男の足に牡蠣の殻を当てる……。


 ザリザリザリザリ


 「ギャアアアアアアアアアア!」


 ………これが、人の皮か……。


 グチュグチュッ


 「痛い!いたい!やめてくれ!」


 そりゃ、痛いだろうな…。


 牡蠣の殻で皮膚を剥がされ、肉を削がれるのは……。


 「誰に、指示された?」


 「い、言うわけないだろ!」


 「そうか……」


 ズチュッ


 今度は、脇腹。


 「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!」


 「り、リーダー!言ってください!見ていられません!ボスも許してくれるはずです!」


 捕らえた女がそう言う。


 へえ。


 「ボス」がいるのか。


 「はあっ、はあっ。いや、言うわけには……」


 ザリザリッ


 「グアアアアッ!」


 「リーダー………。おい!貴様は鬼か!」


 鬼の方がタチがいいかもしれないな。


 この拷問方法は古代からあって……、最終的には痛みで絶命するか、失血死するか、牡蠣の寄生虫が直接体内に入り込んでいくかのどれかの結果しか生まない。


 ………。


 ここまで人を殺したいと思ったことはあるだろうか。


 いや、ここまで人を殺してあげたいと思ったことはあるだろうか。


 一面は、男の皮やら血肉やらで赤く染まっている……。


 「オェッ。ゲェェェッ」


 俺は、吐いてしまった。


 胃に入っていた牡蠣も、何もかも。

 

 牡蠣は、胃に受け入れられなかったようだ。

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