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50話 vsプレデテーラ・ウォーエルな件 後半

 バァァァァァン


 1体、また1体と次々に落とされていくプレデテーラ・ウォーエル。


 アカリは、確実に1発で1匹仕留めている。


 プレデテーラ・ウォーエルの最初の数は13。


 対して、俺の持ってきた弾が24発。


 このままいけば、殲滅は余裕。


 このままいけば、ね。


 『’マスター。1匹が追って来なくなりました’』


 「’面倒くさいなあ!追ってきてるのを殺ったら、引き返さないといけないじゃん!’」


 なるべく、来年にまわしたくない。


 今年で終わらせたい。


 「’い、いっくよー!’」


 バァァァァァン


 ………。


 ほんっとうに、サバゲー経験者って、みんな実銃にすぐに慣れるものなのかね。


 百発百中だよ。


 20分後、ついにアカリは引き返した1匹を除いた12匹をライフルで討伐した。


 残るは、1匹だけ。


 今来た道を引き返す………。


 ………おかしい。


 死体の数が減っている。


 地面に血痕は残っているのに。


 まさか………。


 「Wvrooooooooooooooooor!」


 遥か向こうにいたのは、500mを超えているであろう、巨大なプレデテーラ・ウォーエル。


 引き返した個体は同族の血肉をくらい、自らを成長させたのだ。

 

 『’マスター!敵からファイヤーボール!数8!’』


 魔石も喰らったのだ。


 当然、魔力量も増えている。


 ファイヤーボールも、ある程度連射できる。


 しかも、偏差は超正確。


 これは、厳しい。


 「’アカリ!舌を噛むなよ!’」

 

 ファイヤーボールで穴だらけになった悪路をフルスロットルで駆け抜ける。


 地面がボコボコすぎて、時々タイヤが宙を浮く。


 『’マスター!敵から巨大な氷塊!数………167!接触まで10秒!’』


 「’多すぎだろォォォォ!’」


 ギャギャギャギャギャギャァァァ


 咄嗟に俺はブレーキレバーを引く。


 減速回避である。


 偏差撃ちが正確だからこそ、できる芸当。


 「’キャァァ!’」


 時速200km以上から時速0kmまで急激に落としたのだ。


 当然、尋常じゃない慣性力が働く。


 アカリが俺の方に吹っ飛んできた。


 俺はそれをキャッチできたが、その反動で地面に落ちる。


 偶然視界に入ったアカリの肩は、真っ黒。


 ……無茶をさせすぎた。


 サバゲーやってて、いくら狙いが正確だとしても、ライフルの持ち方までちゃんとしてはなかったのだ。


 ライフルのキックで肩全体に青痣ができてしまっている。


 これ以上撃たせるのは、本当にまずい。


 「Vwooooooooooooooooor!」


 バキッ


 「’今、何か割れたよな’」


 『’はい。マスターのズボンから、膨大な魔力波の放出を確認。おそらく、解散前に渡された魔石ではないかと’』


 確か、非常時連絡用魔石だったか?


 俺の中では、この状況は非常時。


 しかし、この連絡は俺にプレッシャーを与える。


 教師どもが来るタイムリミットを作ってしまったのだ。


 別に、教師からの説教を恐れているわけではない。


 教師がこの状況に巻き込まれるのを恐れているのだ。


 魔導船一隻で来られても、おそらく一瞬で灰になる。


 『’マスター!敵よりファイヤー………’』

 

 どうする?


 どうする?


 どうしようもないな。


 ファイヤーボールは、このままでは俺たちに直撃する。


 バイクに跨がろうとしても、間に合わない。


 アカリを抱えて足で逃げても、バイクがやられる。


 目の前には、大量のファイヤーボール。


 ………これ、死んだわ。


 ドゴォォォォンンンンン



 気づけば、俺は光のなかにいた。


 本当に何もない、ただ光だけが存在する空間。


 「⬛︎⬛︎⬛︎……。⬛︎⬛︎⬛︎、聞こえる?」


 俺を呼ぶ声。


 その声は直接俺の中に入ってくる。


 ⬛︎⬛︎⬛︎は、俺の前世の下の名前。


 今まで忘れていたはずなのに、なぜかその単語が自分の下の名前だと理解できる。


 「⬛︎⬛︎⬛︎。本っ当にあなたはバカ。何で私のためになんか死んで……。親不孝な子」


 「前世の」名前。


 「私のために」。


 「親不孝」。


 ………。


 クソババア?


 「正解よ、⬛︎⬛︎⬛︎。『メモリアル・メモリー』の攻略特典と私の子供は釣り合わなかったわ」


 そりゃそうだろ。


 自分の子供と攻略特典が釣り合ってたら、それはそれで問題だろ。


 あの後、どうなったんだ?


 自分で攻略出来たの?


 「出来るわけないじゃない!結局、攻略特典はゲットできなかったわ」


 そうなんだ。


 今度は親父あたりを犠牲にするかと思ってたんだけど。


 「⬛︎⬛︎⬛︎ったら!私の事をなんだと思ってるの?」


 そうだなあ。


 ただのクソババアとしか思ってないかな。


 「………。それはそうとして、⬛︎⬛︎⬛︎、今世は楽しい?」


 うーん。


 誰かさんのせいで「メモメモ」の知識がそこそこあるから、そこそこ楽しかったかな。


 もう、死んじゃったけど。


 「私に感謝しなさい!」


 誰がするか!


 前世で俺が生きてたら、もっと楽しい人生だったかもしれないだろ?


 「それはないわ。だって、⬛︎⬛︎⬛︎は……………。…………」


 おい。


 そこで止まるな!


 もし俺が生きてたら、どうなってたんだよ!


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