49話 vsプレデテーラ・ウォーエルな件 前半
☆
防御陣地で皆と解散して2週間。
ついに、俺たちはプレデテーラ・ウォーエルの生息する湖に到着した。
この湖に正確な名称はない。
ただ、名前がないと色々不便なので、俺が「メモメモ」をしていた時はこの湖の座標(8888,8888)にちなんで「ゾロハチ湖」と呼んでいた。
ゾロハチ湖の広さは琵琶湖の半分ほどであるが、深さは5倍近くある。
この中から、プレデテーラ・ウォーエルを探す必要がある。
「’お兄さん!どうやってプレデテーラ・ウォーエルを倒すつもりなの?’」
人型になったアリスが聞いてくる。
「’魚雷で倒す’」
「’世界観がめちゃくちゃだね!’」
仕方がない。
この世界には、水中を攻撃する方法が少ない。
そのため、普通はソイツが空を飛び始めてから大量の魔導船で攻撃する。
ただ、今の俺にはヴァントがあるし、2作目による不確定要素に対する心配もある。
そのため、なるべく早く仕留めておきたいのだ。
『’マスター、魚雷を湖に浮かべて下さい’』
「’はいよ’」
チャプチャプ
「’これでいいな?’」
『’はい。ピンをうちます……………’』
さーて、近くにいるかな?
いなかったらいなかったで不安だな。
もう、宇宙に出ている可能性があるのだから。
『’水深300m地点に30mを大きく超えた生物を多数確認!数は………87!’』
87だと?
プレデテーラ・ウォーエルは1匹。
どれがプレデテーラ・ウォーエルなんだ?
いや、探す必要はないか。
全部やってしまえばいいのだ。
「’ヴァント!全部魚雷で潰せるか?’」
『’1発では無理です。最低でも、持ってきた5本をすべて使い切る事になります。よろしいですか?’』
「’ああ!’」
『’1発目、いきます!’』
シャァァァァァァァァァァ
……………。
『’密集地に命中しました。しばらくお待ちください’』
なるべくなら、これでプレデテーラ・ウォーエルが死んでいてくれたらいいが………。
『’13匹が肉片になりました。次の魚雷を浮かべてください’』
13匹か。
同じペースなら、5本で65匹。
22匹は残る。
危ういな。
☆
『’マスター。残り、13匹!’』
5本撃ち終わった。
別に用意していたアクティブソナーで確認したところ、74匹は削れた。
85パーセントの確率で、奴は死んだ。
死んだのだが………。
こんなあっさり終わるのだろうか。
災厄は、こんな簡単に潰せるのだろうか。
「’お兄さん!あっちに、大きな魚影が………たくさん!’」
浮上してきた?
しかも、たくさん?
プレデテーラ・ウォーエルは1匹しかいないはず。
たくさんいるはずが………。
いや、俺はいつから1匹だと決めつけていたんだ?
巨大に成長するのが毎回1匹だけだったにすぎない。
考えてみろ。
ここはゲームの中ではない。
生物が、1匹だけで存在できるはずがない。
「Woooooooooooooooo!」
大量に空に飛び上がる鯨。
すべてが100m級のプレデテーラ・ウォーエル。
総数、13。
サイズ的にまだ飛べないはずだが………。
まさか、コイツは成長したら飛べるようになるのではなくて、飛べるけど飛ばないだけか?
俺は、勘違いしていたのか。
「’どうするの?お兄さん!こっちに来てるよぉ!’」
こっちに来たなら逃げるしかない。
だが、コイツらがパーリェン中に広まらないように、ここで潰す必要がある。
対戦車ライフルは、バイク射撃できない。
反動が強すぎるため、撃ったら俺が地面に落ちる。
どうすれば……
「’アカリ!対戦車ライフルの使い方わかるか?’」
「’うん、一応。前世でサバゲーやってたからね!’」
「’よし、アカリ!リアカーに乗って、対戦車ライフルを撃て!’」
「’わ、わかった!頑張るよ!’」
本当に、アカリを連れてきてよかった。
☆
「’お兄さん!揺れすぎて、照準が………’」
「’なら、ライフル二脚をリアカーに括りつけろ!確か、紐があったろ!’」
「’わ、わかった!’」
2人作業の引き撃ち。
これは、非常に難しい。
もし、俺が急にハンドルをきったら、アカリは照準を合わせられないのだ。
急にハンドルをきらなければいい、って?
そんな………。
「Wuojouoooooooo!」
『’マスター。プレデテーラ・ウォーエルからの魔法攻撃がきました!右に避けて下さい!’』
そんな、呑気に討伐なんてできないんだよ!
飛んできたのは、ドラゴンのよりも大きいファイヤーボール。
しかも、コイツらは最初から偏差を考えている。
避けないと、俺もアカリも死ぬ。
「’お兄さん!撃つよ!’」
「’オーケー!’」
バァァァァァン
リアカーが一瞬右への加速を得る。
それだけ反動がデカい。
「Wvvvuuuuu?」
ドドドォン
『’一撃でしたね。流石私が作った銃’』
そこはアカリを褒めろ。
「’おーい、アカリ!やったぞ!1匹仕留めたぞ!’」
「’ううっ’」
アカリの唸り声?
「’どうしたんだ!’」
「’い、いや、なんでもない!次いくね!’」
バァァァァァン
プレデテーラ・ウォーエルの名前の由来は、プレデター(捕食者)とホエール(鯨)。「ウォー」の部分は、鯨は英語で「whale」と書き、最初に「w」の文字があるため、そうしました。




