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47話 狼に囲まれた件

 ドラゴンを狩って、さらに4日後。


 俺は火山地帯から3400km、雪山地帯に辿り着いた。


 気温は、約-26℃。


 本当に寒い。


 防寒着を持ってきていたので、何とか耐えれている。


 『マスター。囲まれています。狼型の魔物を45体確認。そのうちの一体は体の大きさが異常です。その個体が群れの主と考えられます』


 「え?どこ?」


 一面雪景色。


 狼なんて見えない。


 白い狼なのだろう。


 上手く隠れられているな。


 『マスター、大きな音を出す事を許可していただけますか?』


 大きい音?


 犬は耳がいいから、脅かすのか?


 「いいけど」


 『了解しました。マスターは耳を押さえておいて下さいね』


 ババババババババババババババ


 バイクの音が数段喧しくなった。


 そういえば、ノイキャンされてたんだっけ?


 何匹か、逃げているのだろう。


 白が白の中を動き回っている。


 今なら狙えるな。


 耳から手を離す。


 ババババババババババババ


 うるさすぎて、思わず耳を塞ぎなおしてしまった。


 これ、どっちも膠着状態になっただけじゃん。


 『マスター、巨大な個体以外は離れていきました』


 「逆に、デカいのはまだ残ってるんだね。根性あるなあ」


 『…………。案内しましょうか?』


 「絶対噛み殺されるからいやなんだけど」


 『多分大丈夫でしょう。狼は賢いので、強者とサシでやりあうことは滅多にありません。群れが離れて行った今、奴は無力だと考えられます』

 

 「言ったな?信じるからな?もし噛み殺されたら、末代まで呪ってやるからな!」

 

 『なら安心ですね。私の末代という概念はないので』


 『マスター。30歩先、右折してください。その後、7歩先、目的地周辺です』


 車のカーナビかな?


 俺は恐る恐る、ヴァントの指示に従う。


 「デッカッ!」


 そこに倒れていたのは、全長3mほどの真っ白な狼。


 泡を吹いている。


 音で気絶したんだな。


 『マスター、今すぐ刺し殺すべきです。今なら、無抵抗で魔石と毛皮を手に入れれますよ?』


 …………。


 この狼の顔、前世で飼ってた犬に似てるな。


 「いや、生かしておく」


 『なぜですか?この個体を生かす意味がわかりません』


 「俺な、前世で真っ白な芝犬を飼っててさ。妙に顔つきが似てるんだよね」


 『その程度のことでですか?マスターは、暗殺者の顔が自分の身内の顔と似ていたら、素直に殺されるのですか?………まあいいです。マスターの意向を尊重します』


 そっくりさんだったら、素直に殺されるかもな。


 知り合いのそっくりさんを見つけたら、注意しておくか。


 「このまま気絶してたら、コイツ、喰われそうだよな。………ヴァント、この辺に手頃な洞窟とかない?目が覚めるまでは、見守っておきたい」


 『…………200mほど先にあります』


 洞窟内。


 パチパチパチパチ


 焚き火は何時間見ていても飽きない。


 前世で、一日中見てたこともあったな。


 「Wrru?Grurururu……」


 「お、起きたか。おはようさん」


 白は、俺を威嚇している。


 当然だろう。


 自身が狩ろうとしていた人間が、目の前にいるのだから。


 「’こんに……ちは。私のぉ話している内容がわかりますかぁ?’」


 「え?ヴァント。今日本語でなんか言った?」


 『いえ、そこの狼が話しましたね。日本語で』


 「………今時の狼って日本語で話すんだね。知らなかった」


 『そんなわけないでしょう?今さっき、ガルガル威嚇してたでしょう?』


 ………。

 

 確かに。


 日本語で答えてみるか。


 「’おう。わかるぞ?で、あんたは何なんだ?賢い狼って事でいいか?’」


 「’やったぁ。久しぶりの日本人だぁ!’」


 狼は、人間の俺から見ても明らかに喜びだした。


 狼が人に言葉を話すのって、違和感しかないな。


 それにしても、「久しぶりの日本人」って言ったか?


 「’あんたも日本人なのか?’」


 「’元だよっ!家でゲームしてたら、気づいたら狼になってて………。怖かったぁ!’」


 ゲームだあ?


 まさか………。


 「’そのゲームって、『メモメモ』とかいうクソゲーじゃないか?’」


 「’そうだけど………。まさか、お兄さんも?’」


 「’ああ、『メモメモ』プレイヤーだ!で、この世界は『メモメモ』の世界なんだ!’」


 「’ええっ!?なら、ここはパーリェンの雪山?地形が似てるとは思ったんだけど………。プレデテーラ•ウォーエルは?プレデテーラ•ウォーエルは今、どうなってるの?’」


 地形を見て場所がわかるとは………。


 コイツもガチ勢だな。


 「’残念な事に、普通に生きてるぞ?’」


 「’ええっ!!今、ルリアは何年生?まだ五年生にはなってないよね??’」


 「’まだ、1年生だ。色々あって、廃人状態だが……’」


 「’何があったのさ!まさか、お兄さんが?’」


 ………。


 ちょっと、仕掛けてみるか。


 「’いや。『精神干渉魔法』でな’」


 「’何それ。そんな魔法、なかったと思うんだけど……’」


 コイツは、元祖しかしてないな。


 「’実は『メモメモ』には、続編があったそうだぞ?’」


 「’ふぇ?’」


 ってな感じのことを2時間くらい話し続けた。


 お互い、メモメモの知識を語り明かす。


 本当に、楽しかった。


 「’ふぁぁ。ありがとね、お兄さん!’」


 そう言って、狼はぐにゃぐにゃに変形しだし、ある姿に変わった。


 長い絹のような白髪をもった裸の女。


 普通の人間ではない。


 狼の耳が頭についている。


 モフモフな尻尾もある。


 獣人とでも言うべきだろうか。


 「’びっくりした?お兄さん!’」


 「’服を着ろおおおおお!’」

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