45話 「アレ」の件
☆
「アレ」。
このパーリェンには、ある1匹の化け物がいる。
いや、化け物という言葉では生ぬるいかもしれない。
厄災とでも言っておこうか。
名前は「プレデテーラ•ウォーエル」。
形状は、巨大な鯨。
厄災は成長し続ける。
「メモメモ」内では、5年生の3学期までに倒さなければいけない。
倒さなかったらどうなるか。
「ゲームオーバー」確定となる。
プレデテーラ•ウォーエルには、成長限界がない。
ある湖で大量の魔物を食べたプレデテーラ•ウォーエルは、「メモメモ」ではルリアが3年生を終える頃に空を飛び始める。
その時の全長が約200m。
空を飛び始めたプレデテーラ•ウォーエルは、地上の生物をブルドーザーのように丸呑み。
ドラゴンもまるで小魚のように丸呑みし始める。
そして、ルリアが5年生の3学期の時にプレデテーラ•ウォーエルは宇宙に出る。
その時の全長が約600km。
タチが悪いことに、プレデテーラ•ウォーエルは宇宙に出る頃には光学迷彩を習得し、この後一切見つからなくなる。
こうなると、手の出しようがない。
そして小惑星、衛星、惑星、恒星の順に食べ始める。
そして、ルリアが9年生で学園を卒業する頃に、急にデウロの空がなくなる。
つまり、デウロがコイツの胃袋にいく。
みんな仲良く消化されて、ゲームオーバー。
………。
化け物だろう?
そのような事態を防ぐために、プレデテーラ•ウォーエルを駆除する必要があるのだ。
一応、十分な武器は箱に入れて持ってきたつもりだ。
ただ、ただの箱なので、確実に倒せるほどの武器は積めていない。
箱の内部を空間圧縮すればいいじゃん、って?
ヴァント曰く、
『何もないところを空間圧縮してはいけないです』
だと。
その理論を説明されはしたが、意味不明すぎて覚えていない。
武器はまず、片腕サイズの魚雷5本。
射程は50km。
雷速は120ノット。
弾頭は、ヴァント製超高性能火薬5kg。
威力としては、tnt火薬850kgほどらしい。
対艦ミサイルほどの威力だな。
もちろんアクティブソナーで勝手に追尾してくれる。
ラジコン誘導だったらどうしようかと思った。
次に、対戦車ライフル。
これは、プレデテーラ•ウォーエルが空を飛び始めてしまった時用である。
弾丸は24発。
これでダメなら、今年は諦めるしかない。
俺がいつも携帯してる武器として剣があるが、多分役に立たないだろう。
ヴァント製のコンパウンドボウも持ってきてはいるが、巨体に細い矢が刺さったところで、どうにもならないだろう。
何とか今年で決着をつけたいものだ。
☆
『マスター。前方に魔物が3体』
「はいよ〜〜」
ヒュンッ
「Gyooooooooooooo!」
俺は、プレデテーラ•ウォーエルのいる湖に行くことを最優先としている。
魔物を見つけて、いちいち立ち止まって戦闘するわけにはいかないのだ。
そのため、俺はバイクを走らせながら弓を撃つ。
これが本当に危険だ。
なんせ、スタンディング姿勢で弓を構えるため、ハンドルを握れないのである。
ヴァントがアプテリギディーにバランサーをつけてくれたため横転することはないのだが、俺がアプテリギディーから落ちることは考えられる。
バランサーもなしにバイク射撃をする前世の世界の軍隊はすごいな。
矢と魔石を回収して先へ先へと進む。
アプテリギディーの生息する湖は、火山地帯から北西に約4000kmの場所にある。
パーリェンは古代の地球のように大陸は一つである。
そのため、海を渡る必要がない。
ただひたすらに道中の魔物を狩り、その湖にバイクを走らせるだけだ。
☆
「ふう、うまかった」
初日の夕食は、鹿型魔物の香草焼きだった。
ジビエらしい臭みはあるが、柔らかくて旨みが強い。
3学期が終わったら、デウロに持って帰りたいほどだ。
多分、鍋が合うんだよな。
「どうやって寝よう」
『テントを建てて寝れば良いのでは?』
「見張り番がいない中、熟睡するのは危険でしょ。いつ魔物が襲ってくるかわからないじゃん?」
『私が熱源探知で見張るから大丈夫ですよ』
確かに。
何でそれを思いつかなかったんだ?
コイツはAI。
寝る必要は全くない。
………。
いつのまにか、その選択肢を頭が勝手に除外していたのだろう。
ヴァントに申し訳ない、と。
いつのまにか情が湧いてたんだろうな。
「じゃあ、そうしてもらうよ」
『おやすみなさい、マスター』
「おやすみ」
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