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44話 班員が俺だけだった件

 星系間高速魔道路を使って約1週間でパーリェンに到着した。


 道中色々あったのだが、それはまたの機会にお話ししよう。


 「………臭いな」

 

 腐乱臭がすごい。


 俺らが魔導船で降りたったところは、きっと火山地帯なのだろう。


 「メモメモ」には五感を感じさせるような機能はなかったため、非常に新鮮である。


 周りを見渡すと、何人か生徒が吐いている。


 この匂いに耐えられなかったようだ。


 「ここがお前らが生活する拠点だ!」


 引率の先生、確か名前はバルトロメオとかいうやつが指をさした先には、巨大な………石製の防御陣地があった。


 これは「メモメモ」の仕様と同じである。


 「何よここは!私達は貴族なのよ?こんなところで生活させるなんて、許されると思っているの?」


 本当にシャルロッテは人に噛み付くな。


 考えてみろ。


 豪華な建造物を作ったとしても、ドラゴンなんかが突撃してきたらすぐに壊される。


 ドラゴンよりも…………。


 いや、「アレ」の話はやめておこう。


 どうせ壊されるなら安価な石を積んだ方がいいのだ。


 そもそも、貴族らしい生活が保障されているなんて言われてないだろう?


 最低限の衣食住が保障されてるだけだろう?


 まあ、貴族からしてみれば、平民の生活でも最低限の衣食住を満たしていないのかもしれないが。


 「ここは貴族も平民も関係ないぞ!しかも、貴様らがここに来たということは、両親から許可を得たということだ!」


 多分俺は許可とられてないな。


 俺のお袋の存在は、いつぞやの保健室の件で、エリカくらいしか知らないからな。


 俺が失踪している時に、あいつが言いふらしていない限り。


 あいつはそんなことする人間ではないが。


 「各自、コンテナから荷物を取り出せ!そして、それを各自のゲルに移せ!」


 そう、ここの住居はそこそこ大きいゲルなのである。


 移動させやすいからな。


 俺が持ってきたブツを一部紹介しよう。


 まず、ヴァント製バイク。


 もちろん移動用である。


 ヴァントはそれに、「アプテリギディー」と名前をつけた。


 アプテリギディーとは、英語でキーウイ科という意味である。


 何でキーウィなのかは教えてくれなかった。


 次に、ヴァント製リアカー。


 バイクに取り付けて、物を運ぶためである。


 そして、燃料の入ったポリタンク。


 ヴァントが空間圧縮と重力制御を用いて作ったこのポリタンクは、見た目はよくあるポリタンクだが、容量は1200L。


 ………。


 よくあるポリタンクとはいっても、この世界では異質なのだが。


 その次はヴァント製濾過器。


 水から有害な物質だけを取り除いてくれる優れ物である。


 最悪の場合、魔法が使える人間は水魔法で水を確保できるのだが、俺には出来ない。


 なんで最悪の場合かって?


 魔法で生成された水は純粋な水。


 純粋な水の何が悪いのかって?


 水が純粋すぎて、ミネラルが全く入っておらず、体の電解質のバランスを壊すためである。


 そのため、飲む回数や量を厳しく制限しないと、命に関わるのである。


 「メモメモ」内では弱毒性と説明されていた。


 「王家の呪い」みたいに栄養素についての研究があまりされていなかった「メモメモ」の世界では、弱毒性とした方が世界観を壊さないのだろう。


 魔法が使えない俺には関係ないのだが。


 その次は、フライパンやヤカン等調理器具一式と、マート製の茶葉。


 サバイバル中でも、それなりのものを食べれるようにするためである。


 その他、テントだの服だの武器が入った箱だのをゲルまで運ぶ。


 そこで早速バイクとリアカーが活きた。


 本当に楽ちんだった。


 リアカーを持っていくことを提案してくれたヴァントに感謝である。


 

 「班分けを発表する!」 


 班分けは学園側によって実力を配慮して行われる。


 サバイバル生活は、1人では厳しい。


 素人には尚更だ。


 サバイバルの知恵を出し合うために3人班となる。


 3人寄ればなんとやら、ってことだ。


 衣食住が保障されているサバイバルとは?という感じであるが、衣食住を確保できなかった人間は確保するまで防御陣地内で生活することができる、というだけである。


 食事は1日一回、住居はゲル、睡眠時間も制限される。


 そんな劣悪な環境で生活したくなければ、サバイバルをしろということである。


 …………。


 …………。


 全然名前呼ばれないな。


 「…………以下三名、以上!」


 俺の名前が呼ばれなかったな。


 特待生だからか?


 今は準男爵だが?


 「先生。俺は?」


 「君たちの人数を3で割ったら1人余るのだ!厳正な議論の結果、君は1人でも大丈夫だろうという結論に至った!」


 は?

 

 普通そういう時って4人班を作るか、2人班を2つ作ると思うのだが。


 どういう議論をしたらこうなるんだ?


 まあ、いいけどね!


 見られる心配がないから、ヴァントと話し放題だし!


 「各班のリーダーに非常時連絡用の魔石は行き届いたか?何か重大な事があれば、砕くように!では、解散!」


 さて。


 始めるか。


 「アレ」退治を。


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