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43話 初めての3学期スタートな件

 第二長期休暇が終わり、3学期になった。


 貴族校舎の生徒は、3学期はラザフォード学園外で泊まりこみで生活をする。


 どこで生活するかって?


 ラザフォード王国、ターメルト星系の第四惑星パーリェンという惑星である。


 俺は学園外とは言ったが、デウロ内とは一言も言っていないぞ?

 

 幾つもの星系を束ねている国家は規模が違うよな。


 パーリェンは、宇宙の中でも珍しい惑星である。


 パーリェンは魔星と呼ばれるジャンルの惑星で、「元祖メモメモ」内では5つしかない。


 「メモメモ2」の中ではどうなってるのかわからないが。


 魔星には、珍しい生き物がいる。


 魔物である。


 魔物には足が6本の鹿だったり、バカデカいウサギだったり、翼の生えたトカゲだったり、色々いる。


 しかし、それらに共通していて普通の生き物にはない特徴は、魔石を体内に保持していることである。


 「元祖メモメモ」には詳しい設定は書かれていなかったが、ヴァント曰く、


 『オリジナルは、幾つかの恒星で恒星の膨大なエネルギーを直接魔力に変えようとしたのですが、恒星が魔力の保持に耐えられなくて部分的に超新星爆発を起こし、膨大な魔力が現魔星に降りかかりました。そして、大量の魔力を受けた生物は進化し、体に魔石を生成することで魔法が使えるようになりました。ちなみに魔星以外でも魔石が取れる理由は、惑星が浴びた魔力が生物の進化に関わるほどでなかったとしても、魔力を浴びることで惑星内で魔石の生成が促されるからだそうですよ』


 というわけらしい。


 持っていける荷物は、1辺3mほどのコンテナに入る分だ。


 衣食住は最低限保障されているとはいえ、それだけ大量の荷物を入れるスペースがあるのは、貴族の荷物の多さ故だろう。


 ただし、持っていくものには条件がある。


 必ず1つは移動手段となるものを入れることである。


 3学期にパーリェン星ですることは、魔物を狩りまくり、魔石を採取すること。


 それを王国が安値で買い取る。


 王国は魔石を安価で手に入れることができ、学生は授業を受けながら小遣い稼ぎができる。


 win winである。


 そして、サバイバル生活をすること。


 剣や魔法の実践としては、魔法を使う魔物ほど相手に相応しい生物はいないからな。


 魔物を狩るのに、場所をいちいち魔導船で移動していたらキリがない。


 例年では魔導バイクが使われる事が多いらしいが、人によっては乗り心地を求めて魔導車を持っていく人もいるのだとか。


 コンテナを圧迫するだけだと思うがな。


 俺はもちろん魔力が無いため、コンテナに入れる車両は、以前ヴァントに製作を依頼していたバイク。


 ちなみに、俺がバイクを欲した理由はただ欲しかったからであり、3学期のことなど眼中になかった。

 

 なんなら、パーリェンの存在を忘れていた。


 今では、バイクを作るように言ったことは間違ってなかったと思う。


 もう、2ケツなんてゴメンだからな!


 時は少し遡り、ヴァントがバルでバイクを寮に運んできた時のことである。


 「カッコいいな」


 鈍く、深い緑色の車体。


 素朴だが、よく見るとメカメカしさがある。


 『でしょう?しかし、素晴らしいのは見た目だけではありません。最高速度は時速280km。0-100は約5秒。もっと速くできたのですが、マスターが操作しやすいように少し抑えました』


 ヴァントが性能を抑えただと?


 珍しいこともあるもんだな。


 俺を思ってのことだから、嬉しいのだが。

  

 『燃料に超高密度ガソリンを使用することで、燃費は平均して1Lあたり45km。燃料タンクには空間圧縮技術を用い、容量は380L。つまり一回燃料を満タンにすると、約17000kmほど走れます」


 17000km。


 日本からチリまでがそのくらいである。


 すごいな。


 「車重すごいことになってない?燃料タンクに水を入れたとしても、それだけで380kg以上あるんだろ?」


 『はい。車両の重量が2トンほどになってしまったので、重力操作技術を用いて実質200kgほどにしました』


 よかった。


 引き起こしができないところだった。


 流石ヴァント。

 

 抜け目がないな。


 『さらに、このバイクにはバランサーを搭載しており、地面との角度が20°以下にはならないようになっています』


 バイク初心者、前世では二輪は自転車しか乗った事がなかった俺からすると、非常にありがたい。


 『そして、特筆すべきはこのライト!』


 なぜライト?


 特筆すべき事がライトのバイクって、どうなん?


 『つまみで、千ルーメン、三千ルーメン、七千ルーメン、一万五千ルーメン、五万ルーメン、十万ルーメン、五十万ルーメン、百万ルーメン、五百万ルーメン、一千万ルーメンの10段階で調節できます!しかも、光を絞ることで、1点だけを集中的に明るくする事が出来ます!』


 最初の3段階だけでいいな。


 一千万ルーメンとか、ライトが熱を出しすぎて、バイクに乗ってる俺が燃えそうな気がする。


 太陽が3600京ルーメンほどとそれには及ばないとはいえ、バカなんじゃないのか?


 バイク自身の性能を抑えるなら、ライトの性能も抑えてほしかったな。


 『せっかくなので、乗ってみて下さい』


 「おう」


 俺はサイドスタンドを払い、シートに跨った。


 2トンという戦車のような質量を重力操作でねじ伏せているせいか、どこか現実味のない「軽さ」がある。


 ハンドルを握り、イグニッションを入れる。


 「行くぞ」


 ババババババドドドドドドドドドドドド


 スロットルを軽く回す。


 加速は滑らか。


 変速もしやすい。


 「……はは、こいつはとんでもないな」


 『気にいられたようでよかったです。ちなみに、そのバイクのエンジン音は、ノイズキャンセリングで元のより小さくされています。耳が壊れますからね』


 …………。


 そうだった。


 このバイク、v6エンジンだった。

別の物語も作り始めたので、そちらの方も読んでいただけると嬉しいです!

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