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35話 尾行された件

 『さあさあ!12試合目!北門から出てきたのは、昨日、ローラン選手に圧倒的な差を見せつけた蛮族の王、バロイィィィ!』


 だから俺は蛮族の王じゃないって。


 『南門出てきたのは、冷静沈着であるが故に攻撃がワンテンポ遅れてしまう、モヒィィィ!』


 ………。


 紹介でそれを言うのはどうなん?


 可哀想だぞ?


 『両者構えてください!』 


 …………。


 モヒ?


 早く構えて?


 まさか、そのダランとした体勢が構えなのか?


 『オッズは、バロイ選手が1.47倍、モヒ選手が3.13倍となっております!』


 今回は、俺の方に賭けてる人が多いのか。


 それはそれで嬉しいな。


 『では、コングがなったらスタートです。…………』


 カーン


 「降参します」


 は?


 『おおっとお!モヒ選手、降参してしまったぞ!観客席からブーイングが起こっている!』


 ブーイング?


 そりゃそうだろ。


 モヒに賭けた人からすると、怒り以外のなにも生まれなかっただろう。


 惨敗の方がまだマシ。


 コイツは、戦いすらしなかったんだから。


 『多分、逆立ちしても勝てないと感じ、降参してでも自分の剣士としてのプライドを守ろうとしたのでしょう。バロイ選手は圧倒的ですからね』

 

 ………。


 俺、恐れられすぎじゃないか?



 『さてさて15試合目に入ろうと思います!北門から入ってきたのは、第12試合でモヒ選手に戦わずして勝利した、剣士の天敵、蛮族王バロイィィィィィィ!』


 肩書きが増えたな。


 剣士の天敵ってなんだよ。


 剣士のプライドをいつのまにか折りまくってたからか?


 『南門から入ってきたのは、第5試合でモヒ選手を拳で殴り飛ばした、小さき拳闘士カルカァァァァァァ!』


 ………。


 剣術は?


 剣要素すら無くなったぞ?


 短剣を持ってはいるが、普通の剣じゃないのは拳を使いやすくするためか。


 『両者、構えてください』


 俺は中段。


 カルカはボクシングの構え。


 ………。


 剣術は?

 

 『オッズは、バロイ選手が1.92倍、カルカ選手は2.08倍です』


 ちゃんと剣で戦おうとしてる俺よりも、拳のほうが期待されてるのはなんで?


 エンタメ性か?


 『では、コングがなったらスタートです。…………』


 カーン


 「フンッ!」


 「!!!」


 まず繰り出されたのは、カルカの蹴り。


 なんとか避けれた。


 蹴りに於いてはプロだな。


 小手調べで軽く何回か剣を振ってみるが、全て避けるカルカ。


 たぶん、速さはサーシャ並。


 『おおお!バロイ選手、剣を振るものの、カルカ選手に当たらない!』


 ………。


 うるせえな。


 小手調べだよ。


 次は当てにいくぞ?


 上段の構え。


 パシッ


 「は?」


 し、白刃取りだと?


 『カルカ選手!な、な、何と、バロイ選手の斬撃を受け止めたああああ!』


 観客席が湧き上がる。


 カルカはニヤついた。


 まずい。


 腹がガラ空きだ。


 蹴りが来る。

 

 どうすれば………。


 「これで仕舞いだぜ!」


 来た。


 蹴りが来た。


 ………。


 目には目を!


 バン


 「ぐえ!」


 蹴りが腹に直撃したが、それは敵も同じ。


 ふっ飛ばされる反動を利用して…………体勢を低くして剣で相手を地面に叩きつける!


 ドンッ


 「グァァァァ!」


 俺の剣を押さえつけ続けようとしたのが悪かったな。


 途中で手を離されていたら、振り出しに戻るところだった。


 『カルカ選手が倒れたあああ!勝者、バロイィィィィィィ!流石蛮族王だあああああああ!』


 ………。


 なんで俺は蛮族王だから強いみたいなことを言ってるんだ?


 そもそも蛮族王じゃないって。


 3日目の試合が全て終わり、宿に帰還中している俺とサーシャ。


 「エルンストさん、おめでとうございます!」


 「そっちもおめでとう」


 サーシャも、俺も、これまで負けていない。


 ともに3勝0敗である。


 「今日も、待機中は挟み将棋ってのをしてたんですか?」


 「ああ、ずっとな」


 「そうですか…………。ところで、私達、尾行されてません?」


 これは、俺も感じていた。


 ある、3つの足跡が、距離を保ちながらついてきているのだ。


 誰が、なんのために?


 ………。


 「確認するよ」


 「わかりました」

 

 俺らが足音のする方に行くと、何かが建物の陰に隠れた。


 ただ、隠れた方が甘い。


 人の影が3つ見えてしまっている。


 暗殺者とかではないな。


 まあ暗殺者が来たところで、俺らなら楽勝で倒せるだろうが。


 「何か用か?」


 「な、何でついていってる事に気づいたのよ!」


 「………チッ」


 俺が舌打ちした理由はただ一つ。


 3人中2人が知り合いだからだ。


 なんなら、もう1人は俺と面識はないが、「メモメモ」に出てきていた。


 3人とは、エリカ、シャルロッテ、そしてアイリスのことである


 「まあ!伯爵家の私に向かって舌打ちですって?」


 面倒だからな。


 サーシャの後ろにいよう。


 「この人たちを知っていますか?エル…」


 いかん!


 コイツらに俺の名前を聞かせるのはまずい!


 そう思い、俺は後ろからサーシャの口を塞いだ。


 「な、なにイチャついてるのよ!」


 イチャついてはない。


 口を塞いだだけだ。


 「用があるなら早く言ってくれないか?」


 「あ、いいですか?バロイ殿、サーシャ殿、私はアイリス=ド=レンツと申します。御二方には、我が家に仕えて頂きたく……」


 「アイリス!勝手に取らないで!2人は私の家に使えてもらうんだから!」


 「あ、御二方。名前も名乗らない失礼な奴は置いておいて……」


 「何ですって!あなただって、」


 「おい、2人とも!2人が困ってるぞ?」


 「エリカ、あなたは黙ってなさいよ!」


 …………。


 この言い争い、すぐには終わらない気がするな。


 「サーシャ、宿に帰ろうか」


 「………そうですね」

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