表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/45

34話 相手の攻撃がネタ枠だった件

 2日目。


 俺は第4試合まで出番がない。


 暇だなあ。


 メニュー表を見るか。


 …………。


 暇つぶしできそうなものは何もないな。


 …………。


 市松格子のテーブルクロスか………。


 いけそうだな。


 無ければ作ればいいのだ。


 「聞こえますかあ?」


 『は…。バ……せ……ゅ』


 「水を18杯と、”紅茶”と、”ハムとレタスのサンド”をお願いします」


 『りょ……で…』


 相変わらずだな。


 さて、俺は何をするつもりでしょうか?


 わかってるとは思うが、俺は抱かないよ?


 娼婦を注文したのは、「別のこと」の相手が欲しかったからだ。


 5分後。


 「バロイ様。紅茶と、ハムとレタスのサンド、そして、水18杯をお持ちいたしました」

 

 ガチャリ


 扉を開けると、右手のトレーで紅茶とハムとレタスのサンド、左手のトレーで18杯の水入りグラスを持っている昨日の女がいた。


 バランス感覚すごいな。


 「テーブルに置いといて」


 「は、はい。今日、”紅茶”と”ハムとレタスのサンド”を注文されたということは……」


 「うん、相手になってもらおうと思って」


 「そうですか………」


 言葉に語弊があったかもな。


 「あ、脱がなくていいよ?」


 「え?ということは、着…」


 「違う違う!君には、挟み将棋の相手になってもらいたくてさ」


 そう。


 俺は挟み将棋がしたかったのだ。


 市松格子のテーブルクロスは盤になる。


 大量のグラスは駒になる。


 「挟み将棋?バロイ様のバロイ様を挟めばいいのですか?」


 どうしてそうなるのかな?


 もしかして、今の世界には将棋がない?


 俺は、挟み将棋について詳しく説明した。


 ちなみに、俺が説明したのは駒全てが飛車の動きをする挟み将棋だ。


 「ああ、ブルズアイのことですか。ブルズアイよりも縦横4マスずつ拡張されていますが」


 へえ。


 5×5の「ブルズアイ」っていうのはあるんだ。


 「お相手しましょう」

 

 30分後。


 「参りました。もう一戦やらせていただいても?」


 「ああ、いいよ。待機中はこれで暇つぶしするつもりだから」


 さらに1時間後。


 「もう一戦!」


 サンドイッチを2人で半分に分けて食べて、さらに1時間後。


 『バ……様。第…試合…始……す。ア……ナにお……下…い』


 多分、第4試合が始まるからアリーナに来いってことだな。


 「バロイ様。この対局の続きがしたいので、早く勝ってきて下さいね」


 …………。


 目が中毒者の目だな。


 「じゃあ、行ってくる」



 『さあさあ、続いて4試合目です!北門から入場してくるのは、ローランンンンンン!昨日繰り出した、自身の身長を軽く超えているほどの巨大な大剣による回転攻撃は、1対1でも効力を発揮するのか???』


 回転攻撃?


 どっちだ?


 腰の捻りを使うやつか?


 それとも、砲丸投げみたいに全力で回るやつか?

 

 「バロイさん、入場してください」


 俺の側にいた男が声をかける。


 よし。


 行くか。


 『南門から入場してくるのは、蛮族の王、バロイィィィィィィ!』


 おい。


 俺はいつから蛮族の王になったんだ?


 孤高の王ってことか?


 『昨日の試合では、襲ってきたすべての人の剣を弾き、見事、相手に再起不能な屈辱を与えました!』


 ………。


 俺、悪者みたいじゃん。


 『両者、構えてください!』


 さて、どうやって勝とうか。


 昨日みたいに剣を弾くと、また解説のストックから色々言われそうだから、違うのでいこう。


 構えは中段でいいか。


 『オッズは、ローラン選手が1.26倍、バロイ選手が3.80倍です!』


 賭けなんかやってるのか。


 俺の方が弱いって思われてるのは少し悲しいな。


 せめて、同値が良かった。


 『コングがなったらスタートです!………………………………。あれ、コングは?』


 カーン


 「行くぞ!」


 ……………。


 はい、後者でした。


 全力で回る方でした。


 ネタ枠でした。


 これ、剣術大会だったよな?


 この回転に剣術っているんか?


 いるのは筋力と、強靭なクプラだろ?


 これは酷い。


 『おーっと!ローラン選手!お得意の回転攻撃を仕掛けてきた!バロイ選手はどうするのか!』


 どーしよっかな。


 何もしなくても、勝手に敵のクプラが死ぬまで待てばいい気がするが、流石にそれはなあ。


 あ。


 いいこと思いついた。


 ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ、今!


 ギャキィィィン


 「うおっ!」


 『なな、なんと!ローラン選手が勝手に転けてしまったぞぉぉぉぉ!』


 『いや、バロイ選手がローラン選手の回転と同じ向きに剣を当てて、大剣の動きが一定ではなくなったことで、バランスが崩れてしまったんだ!』


 そう、俺は、ローランの大剣の動く向きと同じ方向に剣を当てた。


 ポイントなのは、加速度の向きと同じではないということだ。


 瞬間の速度が上がるとどうなるか。


 一瞬だが、ローランの腕にかかる遠心力が強くなる。


 それをローランは元に戻そうと、腕を引く。


 あとは運動量保存則のような感じで、ローランが重い大剣に引き付けられて、バランスを崩す。


 見てて滑稽だったよ。


 『勝者ッ、バロイィィィィィィ!』



 この日はもう試合がなかったので、個室で娼婦と挟み将棋をし続けた。


 今日は全勝!


 嬉しい。


 今、俺はサーシャと宿に帰っているのだが、サーシャの表情が鬼のよう。


 ………。


 どうした?


 サーシャは試合に勝てたはずだろ?


 なんでそんなに怒ってるんだ?


 「ねえ、エルンストさん?」


 「は、はい?」


 怖い。


 今までのエルンストの人生で1番怖い。


 「個室に娼婦を連れ込んで、一日中帰らせなかったそうですね?どういうことですか?私が理解できるように説明して下さい?ねえ、どうして?」


 その後、誤解を解くのに2時間かかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ