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33話 個室が与えられた件

 各グループの勝者には、1人1人に鍵付きの個室が与えられる。


 多分個室が用意される理由は、試合が行われている間に選手を全員個室に閉じ込める(トイレは、監視をつけられるが行くことはできる)ことで他の選手の剣を観る時間を与えないためだろう。


 観て、分析でもしたら不平等だからな。


 大きさ的には六畳ほど。


 まあまあ大きいし、壁が厚い。


 個室の中の、市松格子柄のテーブルクロスがひかれたテーブルには紙が置いてあり、そこにはメニューだの何だのが書いてある。


 それを、壁に設置されている伝声管で注文するのだそう。


 魔導通信でもいい気がするのだが、アレを使う時に魔力が必要なんだそう。


 魔力がない俺にとってはありがたいのだが。


 さーて、腹も減ってきたし、何か頼むか。


 「すいませーん。聞こえますかぁ?」


 『は……。聞こえ……す』


 どうしても、音がこもるな。


 時々聞こえないし。


 「えっと、”紅茶”と、”ハムとレタスのサンド”が欲しいんですが……」


 『こ……ゃ、ハム…タスのサ……でよろ……で…か?』


 「はい」


 ふう。


 なんとか注文できたな。


 ちなみに、注文は全て無料だ。


 メニュー以外も見てみるか。


 ええっと、なになに?


 “昨年までは2日目からトーナメン戦形式でしたが、今年からリーグ戦形式に変更されました”


 ………。


 試合数がだいぶ増えたな。


 まあ、全員の順位をつけれるっていう点ではいいんだけど。


 他には……。


 “優勝者は、閉会式時に国王陛下と握手することができます!”


 ………。


 国王が来るのか。


 握手したくないな。


 身バレするな。


 もう、2回会ってるしな。

 

 指名手配されてるしな。


 他には………。


 “優勝者は、ラザフォード学園の生徒からインタビューを受ける時間が設けられます!”


 …………。


 終わったな。


 これ、勝っちゃいけないやつじゃん。


 でも、手を抜くのは………。


 蛮族の言葉しか話せない設定にしとくか。


 いや、飯を注文する時にバリバリ今の世界の言語で話しちゃったし、試合の時にも 「弱い、弱すぎるぞ!お前ら!」って叫んじゃったしな。


 手遅れか。


 いや、待て。


 何で俺が優勝するの前提になっているんだ?


 俺よりも強い奴がいればいい話だろ?



 「バロイ様。紅茶と、ハムとレタスのサンドをお持ちいたしました」


 ガチャリ


 「はーい」

 

 ドアを開けると、そこにいたのは死んだ目をしている女。


 「あ、どうも。テーブルに置いとって」


 「はい………」


 ……………。


 ………。


 置いたのに、帰らないな。


 え?


 なに?


 俺が食べるまで帰らないのか?


 「戻らないのか?」 


 「え?抱かないんですか?」


 は?


 「抱くって、何を?」


 「それは勿論私をですが……」


 「待て待て!何でそういう話になったんだ?」


 「え?ご存知なかったんですか?”紅茶”と、”ハムとレタスのサンド”を注文するのは、娼婦を注文するっていう事なのですが………」


 は?


 なにその裏メニュー。


 そんなん知らんし。


 サーシャから聞いてないし。


 初出場だし。


 「い、いや。俺はただ、腹が減っていただけだ!」


 「で、でも、”紅茶”と、”ハムとレタスのサンド”を同時に注文する人は珍しく………」


 え?


 紅茶とサンドイッチはアフタヌーンティーの定番だろ?


 まあ俺は、アフタヌーンティーとしてではなく腹ごしらえとして頼んだのだが。


 「え?そうなのか?」


 「はい…………」


 「と、とにかく、俺は飯を届けてもらっただけだ。他意はない!」


 「そうですか………。失礼しました」

 

 そう言い残して、彼女は去っていった。


 今の世界にはアフタヌーンティーはないのだろうか。


 俺は、グラスに入った紅茶を一杯啜る。


 「苦っ。…………センブリ茶じゃねえか」 


 そりゃ、同時に食べる人は少ないわけだわ。


 今の世界では紅茶=センブリ茶なのか?


 じゃあ、俺が寮やマート星内で飲んでいた紅茶は、何と呼ぶんだ?


 ………。


 あの紅茶が飲みたいな。


 

 闘技場のトイレに行っている時に、掲示板に人が群がっているのをみかけた。


 気になって近づいてみると、掲示板に群がっていた人間は皆俺に道をあける。


 蛮族装備さまさまである。


 掲示板には、一枚の貼り紙があった。



 

 2日目以降に出場する選手は、以下の9人になります。


 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ

 サーシャ

 ネルソン

 バロイ

 アルフ

 カイロネイア

 カルカ

 モヒ

 ローラン


〜2日目〜

 第1試合 ネルソン vs アルフ

 第2試合 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ vs モヒ

 第3試合 サーシャ vs カイロネイア

 第4試合 バロイ vs ローラン

 第5試合 カルカ vs モヒ

 第6試合 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ vs カルカ

 第7試合 アルフ vs ローラン

 第8試合 サーシャ vs ネルソン

 第9試合 カイロネイア vs カルカ


〜3日目〜

 第10試合 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ vs ローラン

 第11試合 サーシャ vs アルフ

 第12試合 バロイ vs モヒ

 第13試合 ネルソン vs カイロネイア

 第14試合 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ vs アルフ

 第15試合 バロイvs カルカ

 第16試合 アルフ vs カイロネイア

 第17試合 ネルソン vs モヒ

 第18試合 カルカ vs ローラン


〜4日目〜

 第19試合 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ vs バロイ

 第20試合 サーシャ vs モヒ

 第21試合 ネルソン vs カルカ

 第22試合 カイロネイア vs ローラン

 第23試合 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ vs ネルソン

 第24試合 サーシャ vs カルカ

 第25試合 バロイ vs アルフ

 第26試合 カイロネイア vs モヒ

 第27試合 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ vs カイロネイア


〜最終日〜

 第28試合 サーシャ vs ローラン

 第29試合 ネルソン vs バロイ

 第30試合 アルフ vs カルカ

 第31試合 アルブレヒト=フォン=ヴィッテルスバッハ vs サーシャ

 第32試合 バロイ vs カイロネイア

 第33試合 アルフ vs モヒ

 第34試合 ネルソン vs ローラン

 第35試合 サーシャ vs バロイ

 第36試合 モヒ vs ローラン

 



 ………。


 兄は何で家名まで入れたんだ?


 そのおかげで、兄が出場するところはすぐわかる。


 サーシャと兄以外に、「メモメモ」の知識も踏まえて俺が知っている人間はいないな。


 いや、いるかもしれないか。


 別に、本名で出場する必要ないもんな。


 正確に言おう。


 サーシャと兄以外に、「メモメモ」の知識も踏まえて俺が名前を知っている人間はいないな。


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