22話 貴族社会はやっぱり面倒くさい件
☆
俺がレオン一行に踏んだり蹴ったりされた4日後。
俺はこの日から学校に復帰した。
「師匠!大丈夫か!松葉杖はいるか?」
「いらんけど」
松葉杖使うと腕に負担がかかるじゃん。
俺は教室に入るとすぐに、貴族社会の面倒くささを見てしまった。
ニック=フォン=ラザフォードへの媚び売りが始まったのだ。
それはそうだ。
レオンが王位継承権を失ったため、王家との繋がりを得るためにニックに媚びを売る。
貴族としては当たり前だ。
静かに本を読んでいたニックは、読書が遮られて不機嫌そうである。
そして立ち上がって、教室を出る。
それを相当数が追いかける。
可哀想だな。
今まで取り巻きなんかいなかったのに、レオンが王位継承権を剥奪されたら、すぐこれだ。
「誰もお前に何も求めていない。欲しいのは王家の庇護だけだ」って言われてるようなものだからね。
そんな奴らを相手にしない方がいいよ。
☆
貴族校舎の裏側。
「今日もあの粉を頂戴」
「いいよ」
字面だけ見れば、人目につかないところでの違法薬物の取り引きだが、安心して欲しい。
「あの粉」は茶色い。
カレー粉である。
それを3人のパンに振りかけてあげる。
「やっぱこれこれ!」
「何だこれ!本当に美味しいな!師匠!」
今日の昼食はストックも一緒である。
「師匠の補助がしたい!」って言って、ついてきたのだ。
その結果、やつは一瞬でカレー粉に落ちた。
………。
「メモメモ」にカレーがあれば、一瞬でレオンを落とせたかもね!
俺はまた、サンドイッチにカレー粉を振って食べる。
なんだかんだ言って、平和である。
「お前ら……、僕も混ぜてくれ……」
俺らの昼食中に、木の陰に隠れながら、そう言ってきたメガネ。
ニックである。
「で、で、で、殿下!」
その声に反応したカイル。
第九かな?
「そ、そんなに大きな声を出さないでくれ………。見つかってしまう……」
「師匠!こいつはレオンの弟だ!ぶっ飛ばしていいか?」
「よくないよ?」
「そうか」
「そうか」じゃないぞ?
レオンの時は明らかにレオンが悪かったが、今ニックをぶっ飛ばしても、悪いのはお前だからな?
ニック=フォン=ラザフォード。
「メモメモ」では、何でレオンを攻略しないといけないんだろう、何で同じ王子のニックじゃダメなのだろう、と考えさせられるほど、真面目で、謙虚な人間である。
「で、ニック殿下はなぜここに?」
「い、いやー。学園の食堂に行ったら、また追いかけ回される羽目になるから…嫌だったんだ………」
ニックは逃げてきたのだ。
ニックに取り入ろうとする人間から。
「じゃあ、何で俺らに声をかけたんですか?」
「君らは……僕に近づいても来なかったし、君らの近くにいると…隠れ蓑になるからだ」
俺って隠れ蓑にされるほど嫌われてんの?
それはそれで、ちょっとショックなんだけど。
「それは間違いないね!」
おい、ハンス。
「間違いない」ほど俺は嫌われてんのか?
☆
『マスター、マスター。昼食中に失礼します』
こいつが俺が人前にいる時に通信してくるとか珍しいな。
「そっ……それが…、シャルロッテ嬢が言っていた大精霊か!」
大精霊と呼ばないでやってくれ。
あとでヴァントに何か言われるのは俺なんだから。
まあ、俺があいつに「大精霊」って紹介したのが悪いんだけど。
「何だ?」
『星系間高速魔道路のゲートから、艦隊が出てきました。艦艇総数25453。1000m級の存在も確認』
「まさか、レンツ王国の?」
『はい、ハンス』
25000以上だと?
しかも、1000m級だと?
何だそれは!
「ヴァント、艦隊の詳細は?」
『1000m級46隻、900m級4隻、700m級146隻、500m級480隻、400m級1890隻、200m級6057隻、150m級16830隻です』
「ミャーチは?」
『ミャーチの存在は確認されませんでした』
ミャーチがない?
そんな馬鹿な。
ミャーチを持って来ないなんてこと、ありえないだろう。
どこかに隠しているはずだ!
どこだ!
「ヴァント!1000m級の形ってわかるか?」
『はい、投影します』
空中のホログラムウィンドウに出てきたのは、巨大な箱。
そういうことか!
空母か!




