表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/52

20話 学園長室に国王がいた件

 なんとか学園長室に来た俺ら。


 ふっ。


 何とか俺の腰は耐えたようだな。


 コンコン


 エリカが学園長室の扉をノックする。


 「入りたまえ」


 ガチャリ


 扉が開くと、俺は頭の方を前にして学園長室に入れられる。


 「よく来てくれたな」


 そう、老人の声が聞こえたと思ったら、俺を運んでいる皆が手を離す。


 そして、俺は床に落下。


 受け身がとれたのが幸いである。


 何事かと思い周りを見ると、皆が白い髭をたくわえた老人に片膝をついている。


 「へ、陛下!?」


 エリカが声を上げる。


 そう、この老人こそがマリウス=フォン=ラザフォード。


 この国の王。


 そして、レオンの父親である。


 老人の息子が俺と同い年なのがおかしいって?


 大丈夫だ。


 何も問題ない。


 王妃は、マリウスの29歳年下なのだから。


 「エ、エルン!早く!早く膝をつけ!」


 痛い。


 まじでお前ら許さん。


 少し俺の扱いが雑じゃないか?


 ちゃんと膝はつくけど。


 「……君がエルンか………」


 「はい」


 余韻の圧。


 圧倒的威厳。


 「………………」


 長いよ?


 そう思った矢先、陛下は俺に頭を下げる。


 「本当に……申し訳なかった!」


 急に声のトーンが上がる。


 この抑揚。


 思わず、気後れしてしまった。


 「へ、陛下!平民に頭を下げるなど!」


 扉の側にいた学園長が校長に向かって言うが、


 「うるさい!」


 と一蹴。


 それに怯える学園長。


 流石である。


 「今回は、あのバカ息子が非常に申し訳ないことをした!謝らせてくれ!」

 

 「い、いえ…」


 「あのバカ息子はもうダメだ!国民の大半は平民だということもわかってなければ、儂らは平民の税で生きていることもわかってない!『卑しい平民を叩き潰せるのは王族の権利だ』だったか?そんなわけないだろう?卑しい平民?なら、王族はいつから貴くなったのだ!それは国を建ててからだろう?その前は王族もただの平民だったのだ!」


 理論はわかる。


 国王は正しいことを言っている。


 ………。


 でも、国の象徴たる陛下が言うのはちょっとマズいよ?


 貴族からの忠誠が無くなるよ?


 だって、それは、貴族にも同じことが言えるからね。


 貴族はいつから貴くなったのか。


 それは、貴族になってからである。


 そんなこと、プライドが高い貴族が認めるわけがない。


 中央集権を目指しているならわかるんだけど。


 「エルンだったな。何か、求めることがあったら言って欲しい!それで君が負った傷を無かったことになど出来ないが、せめてもの償いにさせてくれ!」


 これは、試されているな。


 「爵位をくれ!」なんて言ったら、くれはするだろうが、国王には欲深い人間という目で見られる。


 「何もいりません」って言ったら、利益に目が全く向かず、非常に扱いにくい人間という目で見られる。


 それはそれで、命の危機である。


 さて、何を求めようか。


 ……。


 決めた。


 「陛下、レンツ王国は敵です。その事を頭に入れておいて下さったら、私はもう満足です」


 これで俺の心配ごとは相当減る。


 「…了解した………。で、何隻必要そうなのだ?」


 流石陛下。


 物分かりがいいね。


 もし今回レンツ王国が攻めてくるなら、ラムラダは使うが戦艦ヴァントは使わない。


 目立ちすぎるからだ。


 迷彩で隠していたとしても、光の尾を引く細長い物体や、ボコスカ戦艦を屠る兵器を大量に使用すれば、ラザフォード王国も大騒ぎになる。


 そうしたら、ヴァントの持ち主が俺だと気づかれなくても、俺の平和な生活が脅かされる可能性がある。


 「戦艦多めで最低1万、互角が2万、できれば3万です」


 「わかった」


 俺は今、運ばれている。


 俺の寮に。


 今日は色々あったな。


 気絶し、踏んだり蹴ったりされ、公爵令嬢を泣かせ、レオンが王位継承権を失い、陛下に会った。


 濃厚すぎる。


 「平民!あれはどういうことかしら?」


 「どの事だよ」


 当てはまりそうな事が大量にある。


 「どの事って、レンツ王国のことよ!まるで、戦争になるみたいじゃない!」


 「だって、なるんだもん」


 「師匠、どういう事だ?」


 あー。


 まずった。


 カイルが周囲を警戒しながら教えてくれたことを、そう簡単に広めていいのだろうか。


 「カイル、『ハ』から始まる単語についての事言っていい?」


 『ハ』は勿論ハティのハである。


 「『ハ』?ハーーー…………。ああ、いいよ」


 「サンキュー!レンツ王国のアイリス王女は、『ハティ』という魔導戦艦に乗ってくるらしい」


 ルリアの眉がピクつく。


 「『ハティ』はレンツ王国の象徴とも言える船。そんなもの、模擬宇宙戦の視察程度にいらないだろう?」

 

 「いや、レンツ王国の武威を示すのにはもってこいだぞ?」


 エリカの言うことは正しい。


 だがな、戦艦を単艦運用なんて、バカのすることなんだよ。


 「戦艦が来るなら、艦隊が来る。艦隊が首都星系に入って来るんだぞ?そんなこと、許されるのか?」


 「ダメだな」


 「だから、備えておけって言ってるの。わかる?」


 「レンツ王国の艦隊とか、我がガーランド伯爵家の艦隊だけでどうにかなるわ!」


 「うん、多分惨敗するよ?」


 「ななな!」


 驚いた時のセリフで「ななな!」なんて初めて聞いた。


 「り、理由を言ってみなさいよ!」


 「シャルロッテ、お前のとこの艦隊のファイヤーボールの射程って、10kmくらいだろ?」


 「そうよ!ラザフォード王国最新のファイヤーボール発射装置なんだから!」


 シャルロッテは自慢げである。


 「レンツ王国のは50kmなんだよね」


 「な、な、な!」


 「な」が多いな。


 「師匠、本当か?」


 もちろん本当である。


 「メモメモ」内では、某クソイベで嫌というほど実感する。


 最初挑んだ時は酷かった。


 「今まで何も説明無かったから、どうせこいつらも俺らと同じファイヤーボール発射装置だろ?」って思ってたら、こちらのファイヤーボールが届かないところから屠られるんだもん。


 恐怖である。


 何回も某クソイベを繰り返し、結論づけた射程が50km。


 何も説明が無かった。


 つまり、艦隊決戦前のラザフォード王国は、レンツ王国のファイヤーボールの事を知らない設定なのだ。


 「お前はどうしてそんな事を知っている?」


 「………大精霊に教えてもらった」


 「あの『番衛門』とかいう大精霊か……。そうか……なら納得だな!」


 保健室では「ヴァンえもん」っていうことで呼び出したんだっけ?


 ヴァント様様だねえ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ