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101話 息ぴったりだった件

150話までに30000pvと300ptを目指します!

 マーサと共に攫われていたのは、女子5人。


 言い方は良くないんだろうが、ここでもう少し捕まっていてほしかった。


 なんなら、ここで全員捕まっていて欲しかった。


 あと、10人近くを別の場所で探さなければならない。


 この6人を連れて?


 そんな馬鹿なことはするつもりはない。


 コイツらには自分たちの力でレストランに行って欲しいのだが、また攫われたらどうしよう。


 ……。


 アカリには、機動力と魔法による攻撃力がある。


 ヴァントには、精密射撃能力がある。


 それに対して、俺にできることといえば、警棒を振り回すことだけ。


 え?


 俺って、いらない子?


 ………俺がレストランに連れて行くべきかな。


 「よーし。俺がコイツらをレストランに連れて行くから、捜査を続けてくれるか?」


 「無理です」


 ヴァントが即答した。


 「嫌です」ではなくて、「無理です」。


 なぜだ?


 アカリとヴァントなら、前衛と後衛でバランスがいいと思うのだが。

 

 「駄犬と2人っきりなんて、喧嘩する自信しかありません」

 

 「そんな自信を持つなよ」


 「いいですか?私とアカリの関係は、マスターという架け橋によって成り立っています。架け橋が無くなったら、どうなると思います?」


 「でもさ。お前ら、カイザー博物館での夜は、息がぴったりだったじゃん」


 「それは……」


 「実は、仲がいいんだろ?」


 「ち、違います!」


 「ちょっと待ってくれ!」


 俺とヴァントの言い合いに、突然、マーサが口を挟んできた。


 「どうした?」


 「そんな……私たちのために、言い争わないでくれ!」


 言い方よ。


 まあ、マーサ達の”安全”のために言い争ってはいるな。


 「自分の身くらい、自分で守れる」


 攫われた奴が何を言っているんだ?


 「『攫われた奴が何を言っているんだ?』って顔をしているな」


 ご名答。


 その通りだ。


 「自分で守れるなら、攫われるなよ」


 「それはそうだが、安心しろ!私が責任を持って、皆んなを守ってレストランまでたどり着いてみせる!」


 余計に安心できないんだが?


 どこから、そんな自信が出てくるんだ?


 マーサに剣の実力があるのは知っているが。


 「その代わり、お願いしたい事がある」


 「何だ?」

 

 マーサが近づいてきて、俺の耳元で囁く。


 「今度、『ご褒美』をくれないか?」

 

 「ご褒美だと?何か買えと?」


 「い、いや……。そうじゃなくてな……」


 ん?


 マーサは俺に何か買ってほしい訳じゃないのか?


 なら、俺に何をしろと?


 まさか……。


 「鞭で打てと?」


 「そうだ!」


 これは、難しい選択だ。


 後でマーサを鞭で打てば、俺は残りの生徒探しに専念できる。


 鞭で打てば………。


 考えているうちに、行方不明な奴らのリスクは上がっていく……。


 ええい!


 ままよ!

 

 「わかった……」


 「やった!んんっ!考えただけでっ、かっ、体がっ!」


 はあ。


 他の人に聞かれてなくて、よかった。


 「マスターの変態」


 俺は変態ではないぞ?


 行方不明な奴らのためだ。


 「え?聞こえてた?」


 「勿論。私の身体は超高性能なので、耳も超高性能ですよ?」


 マーサ達と別れて、さらに3箇所に突入してみたのだが、それといって変わったところはなかった。


 変わりなく倉庫になっていたり、変わりなく大麻畑になっていたりしていた。


 「ヴァント!今何時?」


 「いちだ………。21時53分です」


 キツイな。


 もう、3時間弱かかっている。


 手遅れかもしれない。


 どうするべきだ?


 諦めるべきか?


 いや、それはダメだ。


 国王に皆無事に帰ってくるように言われたし、サーシャには「どうにかする」と言ってしまった。


 そうなったからには、簡単に諦めることはできない。


 だからと言って、候補地にいなかったら、どうしろと?


 砂漠に置いてきたインヴィクタスの砲を撃ち、弾着に驚いて出てきた人を片っ端から調べる?


 ……シーザーの外に行ったのだとしたら?


 どうしようもない。


 そもそも、なんで、一度に大量の生徒が消えるんだよ!


 「諦めるかなぁ」


 俺の口からその言葉が漏れた瞬間、前方から寒気。


 走る足を止めて、アカリが睨みつけてきたのだ。


 「ど、どうした?」


 「どうしたも、こうしたもないよ!お兄さん!」


 アカリは激怒している。


 思えば、マーサを見つけたくらいから様子がおかしかった。


 「マーサが、あんなことになってたんだよ!?ボクが1番好きな登場人物だったのに!1番早く見つかった、マーサであれだよ!?他の人は、もっと酷い目に遭っているかもしれないんだよ!?エリカは?シャルロッテは?同じ転生者のアイリスは?お兄さんと仲がよかった人もいたじゃん!なんで、なんでそんなにすぐに諦められるのさ!」


 「何でって言われても………手遅れかもしれないし………」


 「手遅れ”かも”しれないだけで、諦めるの?まだ、可能性があるのに?あーあ、可哀想なエリカ達だなぁ。お兄さんに見捨てられてさ!元はといえば、誰のせいでこうなったと思ってるの?誰かさんがレンツをボッコボコにして、修学旅行の行き先が変わったからじゃないの?」


 「はいはい。この修学旅行で起こったことは、全て俺がわるかったですよ。すいませんでした。……これで満足?」


 「そういうことを言ってるんじゃないよ!お兄さんは、何も感じないの?心配じゃないの?心は無いの?」


 「心があったら、アイツらは助かるのか!?俺だって、心配くらいしてるさ!俺だって、知り合いが酷い目に遭って欲しくない!だから、探したじゃないか!その結果、マーサ達は助けれただろう?」


 「あ、あの……マスター、駄犬。エリカ達がそこで見てますよ?」


 「ヴァントは黙ってて!これは…………え?」

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